環境ホルモンと認定されたノニルフェノール及び4-オクチルフェノールによる環境汚染の状況を把握するため,河川水質及び大気の調査を実施した。
ア 調査時期: 平成14年11月5日~11月11日
イ 調査地点: 25地点(御手洗川等の8河川)
ウ 調査項目: ノニルフェノール,4-オクチルフェノール
エ 調査結果(詳細は,別紙のとおり。)
(ア) ノニルフェノール
調査結果は次表のとおり,1地点で予測無影響濃度※1(魚類に対してのもの)を超過していたが,その他の地点は全て予測無影響濃度を下回っていた。なお、予測無影響濃度を超過していたのは大田川下流(大田橋上流:尾道市高須町)で,濃度は2.2であった。
(イ) 4-オクチルフェノール
全ての地点で予測無影響濃度を下回っていた。
物 質 名 | 検出範囲 () |
予測無影響 濃度を超え た地点数 |
〈参考〉全国調査結果 (平成10~13年度) |
|
---|---|---|---|---|
検出範囲 () |
予測無影響濃度を 超えた割合 |
|||
ノニルフェノール | <0.05~2.2 | 1/25 | <0.03~21 | 4.2%(90/2,164) |
4-オクチルフェノール | <0.01~0.08 | 0/25 | <0.01~13 | 0.1%(2/2,164) |
※1 予測無影響濃度
○ ノニルフェノール:0.608,4-オクチルフェノール:0.992
○ 魚類へ内分泌攪乱作用による影響を及ぼさない最大の濃度に,10倍の安全率を乗じて設定された濃度である。
○ 人への健康影響については,現在国が各種実験中であり,魚類の予測無影響濃度が,そのまま人には当てはまらないことに留意する必要がある。(環境省の報告書による。)
ア 調査時期: 平成15年3月3日~11日
イ 調査地点: 大竹油見公園等の8地点
ウ 調査項目: ノニルフェノール,4-オクチルフェノール
エ 調査結果: 全ての地点が検出下限値未満※2であった。(詳細は,別紙のとおり。)
※2 検出下限値
分析法,分析機器の精度等により,検出できる濃度の下限値をいう。
ノニルフェノールが予測無影響濃度を超過していた大田川について,大田橋上流域の工場・事業場の立入調査を実施するとともに,ノニルフェノールを使用・排出していた事業者に対して代替製品の使用等を指導した。
また,大田川の大田橋上流において,ノニルフェノールの水質確認調査を実施した。
ア 実施時期:平成15年1月~4月
イ 立入調査内容:大田橋上流域の66工場・事業場へ立入り,ノニルフェノール含有洗剤の使用・排出等について聞取調査を実施した。
ウ 指導内容:ノニルフェノールの使用・排出が判明した5工場・事業場の事業者に対して代替製品への転換等を指導した。その結果は次のとおりである。
事業者の対応 | 工場・事業場数 | |||
---|---|---|---|---|
代替製品への転換 | 3 | |||
排出しないよう作業工程の改善 | 1 | |||
代替製品への転換を検討中 | 1 |
ア 調査時期:平成15年4月22日及び4月30日
イ 調査地点:大田橋上流
ウ 調査項目:ノニルフェノール
エ 調査結果:次表のとおり,予測無影響濃度を下回っており,水質が改善したことを確認した。
試料採取日 | 4月22日 | 4月30日 | |||
---|---|---|---|---|---|
ノニルフェノール濃度() | 0.314 | 0.451 |
(1) 代替製品への転換を検討中の工場については,早期に転換するよう引き続き指導する。
(2) 平成15年度も引き続き,大田川においてノニルフェノールの水質確認調査を実施するとともに,主要河川におけるノニルフェノール等の環境汚染状況調査を実施する。