平成17年度の調査結果概要

• 　水質汚濁の状況について，平成17年度の水質環境基準の達成状況をみると，カドミウムなど人の健康の保護に関する環境基準は，すべての公共用水域で達成されています。
• 　生活環境の保全に関する環境基準について，その代表的な指標であるＢＯＤ（生物化学的酸素要求量）及びＣＯＤ（化学的酸素要求量）でみると，河川のＢＯＤについては87%，湖沼のCODについては40%，海域のＣＯＤについては29%の水域で環境基準を達成しています。（図１）

図１　環境基準達成状況の推移

資料：県環境対策室
(注)（環境基準達成水域数／環境基準類型指定水域数）×100（％）
湖沼は，平成１３年３月に土師ダム貯水池，弥栄ダム貯水池及び小瀬川ダム貯水池の３水域，平成１７年４月に三川ダム貯水池及び八田原ダム貯水池が類型指定されている。

１　水質環境基準の達成状況等

　公共用水域の水質の状況を常時監視するために策定した平成17年度水質測定計画に基づき，河川は38水系235地点，湖沼は5水域5地点，海域は6海域72地点について水質測定を実施しました。その結果は次のとおりです。

(１)　健康項目

　人の健康の保護に関する項目（カドミウムなど26項目）については，延べ149地点（河川34水系106地点，湖沼3水域3地点，海域6海域40地点）で6,362検体を調査しました。
　その結果，全地点で環境基準を達成していました。（表１）

(２)　生活環境項目

　生活環境の保全に関する項目（ＢＯＤ，ＣＯＤ等9項目）については，307地点（河川235地点，湖沼5地点，海域67地点）で調査しました。
ア）COD等
　環境基準の類型指定がある246地点（河川169地点，湖沼5地点，海域72地点）でみると，不適合率（環境基準値を超える検体数／調査対象検体数）は，河川17％，湖沼24％，海域19％であり，過去5ヵ年（平成12～16年度）の平均と比べて，河川，海域ともにほぼ横ばい傾向にありますが，湖沼については，富栄養化が進み，対策を講じる必要のある2つのダム貯水池を，湖沼として類型したため，達成率は下降しました。（表２，表３，表４）
イ）全窒素・全燐
　湖沼の全窒素については3地点，全燐については5地点で調査しました。その結果，環境基準の不適合率は全窒素は100％，全燐は47％でした。
　また，海域の全窒素及び全燐については，51地点で調査しました。その結果，環境基準の不適合率は全窒素は18％，全燐は17％でした。

２　水域別の状況

　環境基準の類型が指定されている河川82水域，湖沼5水域，海域14水域について，それぞれＢＯＤ，ＣＯＤの環境基準の達成状況を見ると，達成率は河川で87％，湖沼で40％，海域で29％であり，過去4ヵ年（平成13～16年度）の平均と比べてみると，河川で達成率が上がっています。
　また，全窒素及び全燐の環境基準の類型が指定されている湖沼5水域，海域9水域について，環境基準の達成状況をみると，達成率は湖沼で全窒素0％，全燐20％，海域で全窒素89％，全燐100％でした。 [表５]

３　富栄養化の状況

　県内の海域及びダム貯水池においては，生活排水等の流入による窒素・燐濃度の上昇（富栄養化）が原因となり，植物プランクトンが繁殖し，赤潮等の漁業被害や水道水源の利水障害が発生しています。
　このため，海域及びダム貯水池の主要地点において，窒素・燐の水質測定を実施しました。

（１）　海域の状況

　各水域における年平均値は，全窒素0．13～0．88mg/L，全燐0．017～0．099mg/Lでした。安芸津・安浦地先，燧灘北西部は比較的良好な水質を維持していますが，広島湾，備讃瀬戸の各海域は富栄養の状態にあります。[表６]

表６　海域の栄養塩の状況

（平成17年度）

資料：県環境対策室
(注）数値は，表層の年度間を通じての値である。

（２）　ダム貯水池の状況

　貯水量1，000万m3以上のダム貯水池の測定の結果，全窒素の年平均値は0．28～1．00mg/Lの範囲内にあり，全燐の年平均値は0．006～0．034mg/Lとなっています。
　ダム貯水池別では，太田川系の立岩，樽床，王泊及び江の川水系の高暮の各ダム貯水池は比較的清浄な水質を維持していますが，三川，土師，渡ノ瀬，帝釈，八田原の各ダム貯水池は全窒素，全燐とも高く富栄養の状態にあります。[表７]

表７　ダム貯水池（貯水量1，000万m3以上）の栄養塩の状況

（平成17年度）

資料：県環境対策室
(注）数値は，表層の年度間を通じての値である。