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原爆死没者慰霊碑

広島から世界に発信する「ひろしまラウンドテーブル」とは?

ひろしまを学ぶ |

世界情勢が緊迫化する中、核抑止への依存を強める国もあります。こうした流れを変えるため、国内外の有識者が毎年広島に集まり議論するのが「ひろしまラウンドテーブル」です。

広島県と一般社団法人へいわ創造機構ひろしま (HOPe) が開催し、今年で13回目となります。平和な未来に向けた一歩を、一緒に考えてみませんか?

核兵器を巡る国際情勢とひろしまラウンドテーブルの役割

原爆ドーム

「ひろしまラウンドテーブル」は9月初旬、広島市で開かれました。2日間の議論で、何が話し合われ、どのような成果が出たのでしょうか。

国内外の専門家が核リスクと対応策を議論

各国の専門家が議論する様子

ロシア・ウクライナ戦争や朝鮮半島、中東の情勢、米中間の緊張など、核兵器を巡るリスクが懸念される状況が各地で続いています。核兵器の使用リスクは、国際社会全体が向き合うべき課題です。

会議には、日本をはじめ、米国、ロシア、中国、フランス、インドなど9カ国から、研究者や政府関係者14人が参加しました。参加者は、今後1年の核リスクと国際社会が取り得る対応について議論しました。

会議の成果は?

モニターに映し出される議事録

会議では、17カ国55人の専門家に対する事前アンケート調査の結果をとりまとめた「ひろしま NUCLEAR FORECAST2026」 (ニュークレアフォーキャスト) を出発点に、今後1年に懸念される核リスクと、その対応策を議論しました。

その結果を踏まえ、議長を務めた秋山信将氏が15項目の政策提言を取りまとめ、参加者の同意を得て公表しました。

この政策提言は、核リスクの低減と核兵器のない世界の実現に向けて、国際社会に求められる具体的な対応を示したもので、核兵器の使用に関する意思決定に人間のコントロールを維持することや、民生用の原子力施設への攻撃を禁止する規範を強化することなどが盛り込まれています。

広島から国際社会へ政策提言を発信

原爆死没者慰霊碑の碑文

1945年8月6日、米国による原子爆弾の投下により広島の街は破壊され、多くの市民が一瞬で命を落としました。被爆地・広島には、被爆の実相を伝え、核兵器廃絶に向けて国際社会に働きかける役割があります。だからこそ、世界へ伝えられるメッセージがあります。

ひろしまラウンドテーブルに参加した、第11回NPT (核拡散防止条約) 運用検討会議議長も務めた国連ベトナム政府代表部常駐代表のドー・フン・ヴィエット大使は会議後の基調講演で、被爆地・広島は、核兵器の影響が世代を超えて人々や地域社会に及ぶことを思い起こさせる場所だと語り、ここで議論することの特別な意義に触れました。

また、「核兵器が存在する限り、使用されるリスクも存在し続ける」と述べ、核軍縮と核兵器の完全廃絶が最終的な目標であることを強調しました。

広島県の横田美香知事は、今回の提言を国連や各国政府、研究機関をはじめ、広く国際社会に向けて発信していくとしています。

「今、動くべき理由」秋山信将氏に聞く

秋山信将氏

第1回のひろしまラウンドテーブルから参加し、今年の議長を務めた日本国際問題研究所 軍縮・科学技術センター所長で一橋大学教授の秋山信将氏に、会議の狙いや広島から発信する意義などを聞きました。

今年は有識者にアンケートを実施して「ひろしま NUCLEAR FORECAST」をまとめられました。これまでの核廃絶を訴える従来の提言とどのような違いがあるのでしょうか。

世界中の専門家が核のリスクをどのように認識しているのか、国際社会のトレンドがどこへ向かっているのかを「集合知」として改めて確認しました。個別に評価してきた従来より、優先して取り組むべき課題をデータとして可視化できたと思います。

しかし、今回集めたデータは国際社会全体に比べると限られており、多少の偏りがあるという批判もあるかもしれません。来年以降はさらに多くの方から回答を得て、より正確で公平な予測やリスク評価を行いたいと考えています

左から横田知事・秋山氏・ティモア氏

今年で13回目となります。継続して開催してきたからこそ見えてきた変化はありますか。

当初は主に東アジアにおける核のリスクや問題解決を扱っていましたが、次第に視点がグローバルになってきました。世界に目を向けると解決すべき課題は各地にあります。対立が激化すると対話自体が難しくなるため、このラウンドテーブル自体が対話のハブや要となる役割を担っていく必要性をさらに感じています。

被爆地・広島から継続して発信し、訴え続けていくこと自体の意義も大きいですね。

広島が持つ倫理的な力があるからこそ、現実的な対応の必要性もリアリティと説得力を持って受け止められます。知識として理解するだけでなく、実感を持って自分事として捉える想像力が核問題を考える上で不可欠です。世界の為政者にも「自国の市民が核の被害に遭ったら」と実感を持って考えてもらうことが、核兵器への向き合い方に影響を与えると考えています。

ここ数年、核兵器の問題は徐々に一般の市民に近づいています。その緊急性を理解していただくことが大切です。為政者やリーダーだけでなく、研究者、市民社会の方々、学生さんなど幅広い人々にもレポートを読んで頂き、「何をすべきか」を考えるきっかけを作れればと思っています。

世界を動かすのは、私たちの「知る」「考える」という第一歩

原爆の子の像

核兵器のない平和な国際社会の実現に向けて、まず核兵器を巡る国際社会の状況を正確に理解することが大事です。その第一歩として、「ひろしまラウンドテーブル」の成果に目を向けてみてください。