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現在地ひろしまたてものがたり

たてもの情報(13)|奥田元宋・小由女美術館


印刷用ページを表示する 掲載日:2017年10月14日

奥田元宋・小由女美術館/Okuda Genso Sayume Art Museum

自然との調和が基本理念
満月の夜、より輝きを放つ

奥田元宋1 

 平成6年(2006)の開館以来、「日本で一番、月が美しく見える美術館」として鑑賞者の心を揺さぶり続けている美術館。三次市出身の日本画家・奥田元宋と人形造形作家・小由女ふたりの作品を収蔵・展示している。構想から足掛け5年の歳月を要して建てられた美術館は、三次市の郊外丘陵地の敷地形状を生かし、大きな傾斜地を切り崩さずに複雑な起伏を活かした設計を施し、周辺の自然木も必要最小限の伐採しか許さないなど、自然景観にも配慮しているのが特徴です。

その設計意図としては、風景画の中に月や太陽を描き込んだ作品を数々手掛けてきた元宋の想いを汲み、三次の地における自然の力や、森羅万象が働く空間を用意することとしています。

建物は、北側の前面道路に沿ったエントランスギャラリー、管理部門を配置し、道路からの喧噪を遮断し静謐な鑑賞空間を確保しています。南側奥には、常設展示収蔵庫棟とエントランスがあり、つなぐロビーからは建物中心に位置する池とその背後に山並みを臨む空間構成になっています。構造は、高低差8.5mもある複雑な地形を活かし、入館者はまず直接3階のエントランスに入り、ロビーから常設展示空間へと動線を展開。搬入動線は、一段低くなる東側から確保して、その同じレベルに管理部門と収蔵庫を集約しています。さらに地形に沿って低くなる1階部分には企画展示室を設けるなど、複雑な自然の地形を活かし、はまり込む美術館を実現しています。そうすることで、元宋が描く風景画の原風景に通じる自然の力を上手く共有することで、鑑賞者が五感で芸術鑑賞の心を深めることができます。

 さらに美術館の最大の特徴としてあげられるのが、美術館の中心となるロビー正面に水盤を設けている点です。満月の夜には、このロビーから、元宋の代表作品でもあり、三次市内の長土手という場所で描いた作品「待月」が再現され、眺めることができます。


設計者/柳澤孝彦+TAK建築研究所
階数/地上3階
建物高さ/16.85m
敷地面積/9,500平米
延床面積/4,891平米
構造/鉄筋コンクリート造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造、茶室は木造)
用途/美術館
住所/三次市東酒屋町453-6
問合せ先/0824-65-0010
交通アクセス/JR三次駅から備北交通 三次工業団地(美術館経由)などのバスで、
 「奥田元宋・小由女美術館前」バス停下車、徒歩すぐ
公開情報/見学可能※(9:30~17:00※満月の夜は21:00まで)
入館料/大人800円
撮影/OK(展示室は不可)
HP/http://www.genso-sayume.jp/index2.html


写真データダウンロード(御自由にお使いください。)

エントランスギャラリーから水盤(池)越しに常設展示棟を望む。水盤の時間の流れ,季節の移ろいを移す。

 エントランスギャラリーから水盤(池)越しに常設展示棟を望む。水盤の時間の流れ,季節の移ろいを移す。 (その他のファイル)(9.06MB)

美術館は緑に囲まれ,一歩外に出ると静寂を楽しめる

美術館は緑に囲まれ,一歩外に出ると静寂を楽しめる (その他のファイル)(10.14MB)

常設展示棟とエントランス棟の間には水盤と屋上庭園を配置

 常設展示棟とエントランス棟の間には水盤と屋上庭園を配置 (その他のファイル)(11.26MB)

 1階の企画展示室へと続く階段

1階の企画展示室へと続く階段 (その他のファイル)(12.7MB)

 元宋の歌碑がある遊歩道

 元宋の歌碑がある遊歩道 (その他のファイル)(11.96MB)

 


今回ご紹介した建物は9月1日(金)から11月5日(日)まで特別展が開催されます!
詳しくは「たてものがたりフェスタ2017」のページをご覧下さい!

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