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スペシャルインタビュー

ムダな制度や仕組みはすぐにでもやめる。それもリーダーシップ。

松本氏(写真)カルビー株式会社 代表取締役会長 兼 CEO 松本 晃氏

次代に生き残るための働き方改革とダイバーシティ

 1990年を境に、日本の経済は低成長時代に突入しました。90年以前の高度成長は、もはや期待できません。時代は変わったのです。日本人、男性、シニア(年長者)、一流大学卒業者というひと握りの人間が中心の従来の働き方では、今後、企業の成長は見込めません。これまでの働き方を徹底的に変え、女性をはじめさまざまな人に活躍してもらわなければ、企業は生き残れないのです。企業が求めるのは成果で、そのために仕組みと制度を変えるきっかけがダイバーシティであり、働き方改革につながるのです。社員の意識は自力では変わらないので、トップが意識を変えて力ずくで進めなければ何も改革できません。働き方改革やダイバーシティは、しないと生き残れない、逆にやれば成果に必ず結び付くものと確信しているからこそ、取組むのです。
 国籍や性別、年齢にとらわれず、多様な働き方を認め実現すること。世界では当たり前のことが、日本の企業では、まだまだできていないのです。カルビーでは、特に女性の管理職を増やすことに注力してきました。
2020年までに女性管理職の比率を30%に上げるという目標を掲げ、出産や育児に関する制度をきめ細かく設定するなど、環境を整え支援しています。当社には、売れなかった商品の「フルグラ」を大ヒット商品に変えた女性社員の成功例があります。優秀であれば男性・女性にかかわらず抜擢し、柔軟な発想で仕事に取組んでもらったからこその成果です。

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社員が成果を上げるために環境を整える

 ダイバーシティを実行する場合、必ず抵抗勢力が出てきます。会社のポジションには限りがありますので、誰かが役職に就けば外れる人もいます。既得権を奪われて憤る人もいるでしょう。しかし当社には、チャンスが公平にあります。一度ポジションを外れても、またチャンスを生かし成果を上げればよいのです。男女を問わず切磋琢磨することが、会社の力になり、世界で戦える競争力になるのです。そして社員たちには、どんどん新しいチャレンジをしてもらいたい。そのために働き方を変えていくのです。
 多くの企業が、第二次産業を中心とした、時間と成果が比例した時代の働き方から抜け切れていません。しかし今の時代、成果と時間は比例しないのです。求めているのは成果であって、会社に来ることが仕事ではありません。成果を上げるために時間を有効に使ってもらえれば、午前8時30分に出社する必要はなく、早めに帰宅してもOKです。社員には「成果を上げるために、自分は何ができるのか?」を常に考えてほしいのです。長時間労働では、新しいことを考える暇も、勉強する時間もありません。働く人が能力を発揮して成果を出せるよう、会社は環境や制度を整える。教養や文化を身に付け、健康にも配慮してもらうために、会社は時間とお金を提供するのです。働き方改革とは、ダイバーシティとは、実にシンプルなことです。
 ただ、何度も言うように、社員の意識改革はとても難しい取組です。だからこそトップが宣言し、仕組みや制度を変えていく。ムダな制度やサービスは思い切ってやめてみる。やめること、それもリーダーシップです。

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松本 晃 氏 プロフィール

1947年、京都府生まれ。京都大学大学院を修了後、伊藤忠商事に入社。1993年にジョンソン・エンド・ジョンソンメディカル株式会社(現:ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社)に入社。代表取締役社長、最高顧問を経て、2009年にカルビーの代表取締役会長兼CEOへ就任。