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グローバル未来塾に参加した奥谷駿さん

平和な世界へ踏み出す一歩!「グローバル未来塾 in ひろしま」高校生の記録

ひろしまを学ぶ |

平和の担い手、集まれ。平和な世界のために活躍できる人材を育てる「グローバル未来塾 in ひろしま」。広島県と一般社団法人へいわ創造機構ひろしま (HOPe) が、高校生を対象に10年前から始めた取組です。

今期も新たな志を持った高校生たちが挑戦を始めています。英語演習やグローバル・ユースフォーラム、広島研修への参加を通して、悩みながらも成長を遂げる1人の未来塾生の姿を追いかけます。あなたも一緒に、平和について考えてみませんか?

「グローバル未来塾 in ひろしま」とは?

グローバル未来塾 in ひろしま

「グローバル未来塾 in ひろしま」は、「核兵器のない平和な世界」を目指し、国際舞台で活躍する次世代の人材を育成するプログラムです。広島県とHOPeが連携し、県内の高校生を対象に2016年から実施しています。

専門家による講義や実践的な英語演習をはじめ、広島・長崎・沖縄でのフィールドワークのほか、フィリピンでの海外研修など、7カ月間の多彩な学びを提供しています。

海外や全国から集まる同世代と英語で議論を交わし、被爆の実相や世界の課題を「自分ごと」として捉え、自ら行動・発信できる確かな国際感覚と人間力を育みます。

平和を考える グローバル未来塾での挑戦

被爆者の話を聞く奥谷さん

今年度のプログラムに参加した高校1年生の奥谷駿さん。被爆者や同世代との対話を重ねるなかで、彼の意識は大きく変化していきました。

世界の課題を「自分ごと」として捉え、自ら一歩を踏み出した彼の成長ストーリーを追いかけます。

国境を越えた対話!グローバル・ユースフォーラムで芽生えた強い決意

海外の参加者とも対話するユースフォーラム

奥谷さんがグローバル未来塾を知ったのは、学校の掲示板でポスターを見かけたのがきっかけでした。当時は「フィリピンや長崎などに行けて貴重な体験ができそう」と軽い気持ちで応募。平和についての深い知識があったわけではなく、ごく一般的な知識しか持っていませんでした。

7月の開講式では、志を同じくする同世代が集まり「ここからスタートするんだ」と胸を高鳴らせていました。ところが、8月のグローバル・ユースフォーラムで大きな壁にぶつかります。

海外からの参加者やインターナショナルスクールの生徒たちが流暢な英語で議論を交わす中、自分の語学力では話についていけず、ただ聴くことしかできませんでした。「何をしに来たんだろう」と情けなくなり、強い悔しさを味わったといいます。

しかしフォーラム最終日、「ここで勇気を出さなければ何も残せない」と奮起した奥谷さんは、4日間の振り返りで「Welcoming failure (失敗を歓迎すること)」と題して自身の意見を発表。スピーチの中には「I want to punch myself (自分自身を殴りたい)」という言葉を込め、抱えていた葛藤とそれを乗り越える決意を素直に打ち明けました。

失敗を恐れず挑戦する決意を固めたこの経験が、彼にとって大きなターニングポイントとなりました。フォーラムで同じグループになった仲間や仲良くなったメンバーとは、現在もSNSで会話を交わすなど交流が続いています。

また、「相手の母国語を理解できたら、英語以上に心が通じ合うはず」と考えた奥谷さんは、英語だけでなくスペイン語や言語学の勉強にも励むようになりました。

フォーラムで得た語学への学びと意識の変化は、すぐさま次の行動へと結びつきます。10月の長崎研修では、自ら外国人に積極的に話しかけ、英語でのコミュニケーションを心から楽しむことができました。まさに「人生が変わった」と思えるほどの、大きな成長のステップを踏み出しています。

広島で被爆の記憶を受け継ぐ

被曝体験話を聞く高校生たち

9月の広島研修では3日間、被爆の実相に触れ、平和への理解を深める貴重な体験を重ねました。長崎や沖縄から訪れた高校生とともに、講義やワークショップに参加。世界情勢や核兵器廃絶に向けた課題について、多様な視点から議論を交わしました。

広島研修の2日目は平和記念資料館を見学後、ガイドの八木真理子さんの案内で平和記念公園を巡りました。動員学徒慰霊塔の前で、当時12歳で建物疎開作業中だった叔父を亡くした八木さんが「家族はずっと悲しみから立ち直れなかった。誰もこんな思いをしてほしくない」と呼び掛けると、奥谷さんは真剣な表情で耳を傾けていました。

続く被爆体験講話では、5人の被爆者・伝承者を招きグループに分かれて交流。奥谷さんは、4歳で被爆した伊藤正雄さんから、兄姉を失った悲しみや、後遺症に苦しんだ記憶を聞きました。伊藤さんは、自宅の中に多くの負傷者が逃げ込み、「近くで火葬される人々の強烈な臭いが忘れられない」と振り返りました。

かつてはアメリカを憎んだものの、資料館で涙を流す米兵の姿を見て「憎しみは平和を生まない。多くの友人をつくることが平和の原点になる」と心境が変化したことを明かし、「原爆の怖さは、後々まで苦しみが続くこと。無関心が戦争を起こす」と訴えました。

講話後、奥谷さんたちはグループ内で印象に残ったことや自身の考えを発表し合いました。被爆地・広島の真実に触れ、自らの言葉で世界へ問いかけるための「平和への意識」を大きく深める一日となりました。

世界の課題が「自分ごと」に

取材に応じる奥谷さん

奥谷さんに、これまでの研修で学んだことを聞きました。

同世代と意見を交わし、どんなことを学びましたか?

国や学校の教育が違えば、戦争や平和に対する見方が全く違うことを知りました。日本で当たり前に知られる原爆や被爆の実相も、海外では全く知られていなかったり、ドイツではホロコースト (ユダヤ人大量虐殺) を重点的に学んでいたり。自分が知っている常識だけで判断せず、相手の背景にある歴史や文化を知る大切さを学びました。

また、研修では発言の機会が多く、「できない自分を恐れずに一歩を踏み出すこと」の重要性を実感しました。そこから「自分はどう行動すべきか」というゴールを明確に描けるようになりました。

9月の研修で印象に残ったことは?

被爆者の伊藤さんのお話です。かつてはアメリカへの強い憎しみや復讐心といった、生々しくドロドロとした感情を抱いていたそうです。しかしアメリカ人と接する中で、最終的には「許し合うこと」が大切だと気付いたというお話が強く心に残りました。

今まさに世界で争う国々において、許し合わなければならない場面は数多くあります。世界中に届いてほしいメッセージだと感じました。

たくさんのメモを取っている奥谷さん

今、実践している平和への取組はありますか?

平和記念資料館の展示や被爆者の声を、どう発信していけばいいのかを考えるようになりました。SNSでの発信にも挑戦しましたが難しさも実感し、まずは身近な「対面での対話」を大切にしようと決めました。

友達に未来塾での学びを直接語ったり、学校の探究授業で「広島が世界平和にどう貢献できるか」という論文を執筆したりしています。目の前の課題に全力を尽くすことこそが、世界へ想いを届ける一番の近道だと信じています。

参加前と現在で、自分の中で一番変わった部分はどこですか?

最初は興味本位での参加でしたが、知識が増え、自分の考えを言葉にできるようになりました。核兵器廃絶や防衛費の増額など複雑な国際問題について議論を深める中で、「単なる賛否ではなく、簡単に答えが出ないからこそ対話を通して模索し続ける姿勢」が必要だと気づきました。

核抑止に頼らない新しい安全保障の形を、僕たち若者が人と直接顔を合わせて議論し、模索していくことが何より大切だと思います。

平和のためにできること

千羽鶴

未来塾のメンバーは長崎や沖縄、フィリピンでの研修を経て、戦争の記憶と平和への知見を深め、2月に成果発表会に臨みます。 「自分に何ができるだろう」と悩む必要はありません。失敗を恐れず一歩を踏み出し、同世代と議論を交わすことで、世界の見え方は大きく変わっていきます。

平和な未来を創るのは、あなた自身です。将来、世界や地域で活躍する第一歩として、あなたも「グローバル未来塾 in ひろしま」で新しい挑戦を始めてみませんか?