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探求報告会イベントの様子

「地域×AI」で広島が変わる!広島AIラボの探究報告!

ひろしまを学ぶ |

AIでわたしたちの明日をどう描くか―。広島県のAI精鋭部隊を集めた「広島AIラボ」が、発足してから1年半。彼らの探究報告が2月、「広島で未来を切り拓く~『地域×AI』広島からの挑戦~」で披露されました。

セミナーでは、自治体や企業のトップリーダーによるパネルディスカッション、学生によるアイデア発表もあり、地域や企業の課題解決や新しい価値の創出につなげるための可能性を探りました。

「地域×AI」広島からの挑戦

イベント内での展示

セミナーは広島市内 (広島大学東千田キャンパスSENDA LAB) で開かれ、自治体やAI関連企業などから約450人(会場80人、オンライン374人) が参加しました。広島AIラボの取組をPRし、AI活用についての情報交換、異業種交流の機会となりました。会場の熱をリポートします!

広島AIラボの探究活動をご紹介!

広島AIラボのメンバーは4人。地域が直面する社会課題をAIで解決するため、各々が検証テーマを決めて取り組んできました。どのような成果が出たのでしょうか?

江盛さんと川崎さん
江盛翔太さん(画像左)
行政現場の業務改善には、現状把握に膨大な時間を取られ、改善まで辿り着きにくいといいます。そこでAIで業務資料からフロー図を自動生成するプロトタイプを開発。人の手でゼロから書く労力をスキップし、AIが数分で作った「叩き台」を職員が修正する手法へ転換しました。
「AIに任せること・任せないこと」を切り分け、まずは素早く試す。今後も職員が住民サービス向上に集中できるよう、AI活用の新しい可能性を探り続けます。
川崎恵祐さん(画像右)
AIが自ら判断して動く「エージェント型AI」を活用し、過去35年分の議会記録や統計データを自律的に検索・分析し、答弁案を自動生成します。これにより、特定の職員が持っていた暗黙知や、膨大な資料に埋もれた専門知識を、誰もが即座に引き出せるようになります。
苦労していた下調べやデータの構造化をAIに任せ、職員はAIが提示した叩き台をもとに、意思決定やクリエイティブな企画に専念できます。
大島さんと森永さん
大島風雅さん(画像右)
広島県内に膨大に存在する「法面」の老朽化は崩落事故につながる危険があります。しかし一つ一つ目視点検するには、莫大なコストと時間がかかります。そこで、AIが法面の「学習データなし」で、写真から法面のひび割れや植物の侵食などの異常を自動検出し、崩壊リスクを評価する仕組みを検証しました。
専門家しか気付けなかった予兆を、AIの力で誰でも・素早く・低コストで発見。インフラ管理の効率が劇的に上がることが期待されます。今後は専門家による評価を経て、実用化に向けたさらなる精度向上を目指しています。
森永雄一朗さん(画像左)
「将来、何がしたいか分からない」。そんな中高生の悩みに助言する「対話型の進路サポートアプリ」を開発しました。生徒が好きなことを語ると、AIがその背景にある興味を深掘りし、関連する学問や研究室を提案します。
例えば「テニスラケットをつくりたい」と対話をスタート。AIは「ラケットの選び方への関心」なのか「ラケットの材料への関心」なのかを引き出し、本人も気付かなかった「スポーツ工学」や「センサー工学」といった具体的な研究分野を提案し、進路の選択肢を一気に広げます。

次世代を担う学生もアイデア発表!

成果発表をする学生たち

大崎上島町を舞台に、次世代クリエイターの学生たちがAIを活用して課題解決に挑んだプロジェクト「ゆるっとAI」の成果発表もありました。

佐々木造船チームは、外国人技能実習生が直面する「コミュニケーションと学習」の課題に挑みました。日本語が不自由な実習生にとって、造船所の専門用語や会話に慣れるのは時間がかかります。そこで、騒音下でも確実に指示が届くインカム連動型の「音声翻訳アプリ」を提案。会話ログから、復習クイズをAIが自動作成し、働きながら用語を学べるサイクルを検討しました。

観光協会チームは「島のファンを増やしたい」という要望に、観光ガイドアプリを考案しました。ChatGPTを活用し、対話形式で島の魅力を紹介し、クイズを通じて「また来たい」と思わせる愛着を醸成する狙いです。

学生たちは5か月弱の取組の中で、島を訪問し、現場の空気感を肌で感じる大切さを学びました。「AIが答えを出すのではなく、人がやりたいことをAIがどう助けるか」。答えのない課題へ向き合う姿勢を身に付け、自らの手で未来を切り拓くための、大きな一歩を踏み出しました。

リーダーが集結!パネルディスカッション

パネルディスカッションの様子

私たちの暮らしに溶け込むAIは、地域をどう変えていくのでしょうか?

「地域未来の再設計:AIが拓く地域の力」をテーマに、広島県知事の横田美香氏、東京都副知事の宮坂学氏、グーグル・クラウド・ジャパン日本代表の三上智子氏、エクレクト代表取締役の辻本真大氏、一般社団法人シェアリングエコノミー協会代表理事の石山アンジュ氏が、熱い議論を交わしました。

横田氏は「失敗を糧にする」マインドで、業務プロセスの可視化や行政サービスのデジタル化を推進中。宮坂氏も、現場職員が自らAIアプリを作れるプラットフォームを紹介し、生活保護業務などの複雑な意思決定をスマートに支援している現状を語りました。

三上氏は、誰もが自然言語でAIを使いこなせる「AIの民主化」が地域を救う鍵になると指摘。これを受け、石山アンジュ氏は、AIとシェアリングを掛け合わせ、地域に眠る、空き家や高齢者のスキルなどの「遊休資産」を可視化しマッチングすることで、人手不足の地方を活性化できる可能性を強調しました。

パネリスト全員が共通して語ったのは、「AIは主役ではなく、心強いパートナー」だということ。技術の進化を力に変え、人間の感性と知恵を掛け合わせることで、広島から日本全体の未来をより良くしていく決意を共有しました。

横田知事が語る、広島が目指す「心豊かなテクノロジー社会」

横田知事

広島県の取組やセミナーの狙いについて横田美香知事に聞きました。

取組について教えてください。

広島県は、AI技術が生活を豊かにする大きな可能性と捉え、2024年に「『AIで未来を切り開く』ひろしま宣言」を行いました。

AIのポテンシャルを最大限に引き出し、新産業育成や地域活性化、若い世代の活躍を目指しています。このセミナーでは、学生たちの柔軟なアイデアやパネリストとの議論を通じて、広島と日本の未来を切り拓く一歩となることを期待しています。

AIがどれだけ進歩し、効率化が進んだとしても、最後に重要になるのは人間ならではの「他者を理解する力」です。正解がない課題に対して、粘り強く向き合って考える「人間力」こそが、AIを使いこなす鍵となります。

地域課題を可能性へ。広島から未来をアップデート

イベント会場で談笑する様子

セミナーの後は参加者による交流会がありました。ここで生まれたご縁から、新しい構想が生まれるかもしれません。

AIは、人間が向き合うべき創造的な活動や課題解決をブーストさせてくれるもの。「失敗を糧にする」という信念のもと、広島AIラボなど、行政の現場から日々新たな価値が生まれています。地域課題を可能性へと書き換え、広島から未来をアップデートしていきます!