
人気沸騰「アーバンスポーツ」ってなに?広島で最高峰の大会
日本トップクラスのすご技が広島に集結しました。2025年4月、ひろしまゲートパーク (広島市中区) で開催された「URBAN FUTURES HIROSHIMA」。
BMXフリースタイル、スケートボード、パルクールなど「アーバンスポーツ」の各競技大会が行われ、パリ五輪代表たちトップアスリートや子どもたちが華麗な技を披露しました。会場の盛り上がりや息を飲むパフォーマンスの様子をお届けします。
目次
「URBAN FUTURES HIROSHIMA」トップ選手集結

会場には、3日間で延べ約5万人が訪れました。各競技の周りには多くの人だかりができ、目の前で繰り広げられる離れ技に大歓声が送られていました。
「アーバンスポーツ」ってなに?
アーバンスポーツは、街中の遊びの中などから生まれた都市型スポーツのことです。BMXやスケートボード、パルクール、ブレイキンなど、速さや高さを極限まで追求する、まさに「自分の限界に挑む」スポーツ。音楽やファッションとミックスさせる楽しみもあります。
2020年東京五輪でBMXフリースタイルやスケートボードが採用され、日本代表選手が活躍したことで注目が高まっています。
最高峰の大会 熱気あふれる瞬間をレポート

会場に足を踏み入れると、ヒップホップが鳴り響く中、大歓声が聞こえます。「瞬き禁止!一瞬たりとも見逃せませんよ!」とMCが叫び、場を盛り上げます。ど派手なパフォーマンスが決まるたび、観衆のボルテージは最高潮に!
各競技の体験会も開催。初心者でもわかりやすく、インストラクターが基本的な動きを指導しました。
今回の「URBAN FUTURES HIROSHIMA」は、被爆80年の広島で、スポーツの力で平和の願いを発信しようと、日本アーバンスポーツ支援協議会などが主催しました。
もっと知りたい!競技の魅力

見るだけでも楽しいアーバンスポーツ。種目やルールを知れば、もっと楽しく観戦できます。各競技の見所をご紹介!
風切る車輪「BMX」

体の一部かのようにBMXを操る選手たち。「URBAN FUTURES HIROSHIMA」の一部として行われた「マイナビ・ジャパンカップ」では、ジャンプ台を使う「フリースタイル・パーク」と、平地で技を決める「フリースタイル・フラットランド」で競いました。
パークで大きな注目を集めたのは、東京、パリの両五輪で5位入賞を果たした中村輪夢 (なかむらりむ) 選手。猛スピードで駆け抜け宙を舞い、目にも止まらぬ速さで空中技を連発。圧巻のライディングで優勝しました。
フラットランドでは、各選手が高速スピンやハンドル回しなど絶妙なバイクコントロールを見せつけました。
世界トップライダー・中村輪夢選手が見る景色

圧巻のパフォーマンスで試合を制した中村輪夢選手に、BMXの魅力を聞きました。
競技の魅力を教えてください。
上達できるかは自分次第なので、成長が実感できること。新しい技を何度も練習して成功させた時は、言葉では表現できないほどの快感が味わえます。
BMXの見所は。
個性が出る競技なので、選手の技に注目してほしいです。同じ技でも選手によって少しずつ形が異なり、どこでどんな技を出すのか、そのオリジナリティーを見つけてもらえたら楽しいですよ。
縦横無尽に駆け抜ける「パルクールフリースタイルの様子」

壁を蹴って宙返りした瞬間、流れるように次の障害物を跳び越える―。人間離れした連続技に、観客の視線はくぎ付けです。
コースには壁が複数あり、鉄棒のようなバーも。「フリースタイル」は、これらを利用して、技の完成度を競います。内容や演技時間は選手次第。技の完成度を競う他には、タイムを競う「スピード」も盛り上がっていました。
今回の「URBAN FUTURES HIROSHIMA」では、「日本選手権予選」と子どもたちが競う「ネクストジェン選考会予選」でこの2種目がありました。「移動の芸術」と呼ばれる演技に、人間の無限の可能性を感じる瞬間でした。
広島のホープ・田村桃花選手 (小6) が飛躍誓う

U13女子のスピードとフリースタイルでダブル優勝した、広島市の小学6年生田村桃花 (たむらももか) さんに、目標を語ってもらいました。
競技する上で心掛けていることは。
最後まで諦めないこと。自分だけの技を出したいです。得意技は「サイドフリップ」。前方に飛びながら横向きに回転する難しい技で、着地の美しさにこだわっています。地元で練習の成果を出せ、ダブル優勝できてうれしいです。
目標を教えてください。
世界大会で優勝したい。パルクールは、相手と競うだけではなくて、自分自身を強くしてくれることも広めていきたいです。
華麗なトリックで魅了「スケートボード」

U字型のミニランプ上を行き来し、ジャンプ! キッズスケーターの登竜門「FLAKE CUP」では、大人顔負けの技に、盛大な拍手が沸き起こりました。ハイレベルな技に挑戦し、失敗して涙を流す姿も。成功すれば、ガッツポーズが飛び出し、見ている方もドキドキが止まりません。
体験会では、子どもたちが、スタッフから乗り方を教わりました。地面を蹴ってゆっくりと前進。徐々にスピードを上げ、目を輝かせながら楽しんでいました。
広島をアーバンスポーツの聖地に

大会主催者の1人で、全日本フリースタイルBMX連盟の西川佳宏副理事長は、広島を拠点に活動するフラットランドの国内第一人者。大会への思いを聞きました。
大会を通して、伝えたかったことは。
アーバンスポーツは、順位を争うものではなく、仲間や観客と楽しむスポーツです。相手へのリスペクトが根底にあり、平和都市「広島」でできることは意義深いです。
広島での競技の広がりは。
5年前、広島で国際大会「FISE」が開催されたことで、認知度が上がりました。日本のBMXのレベルは世界トップクラス。広島でも子どもの競技者が増えました。僕も広島競輪場 (広島市南区) などで教室を開いているので、遊びにきてくださいね。
身近な体験チャンス

「ひろしまゲートパーク」 (広島市中区) では、ストリートダンスやBMXを楽しめる広場やジャンプ台などを備えたスケートボードパークがあります。
各地域でもアーバンスポーツを楽しめる施設の整備が着々と進んでいます。広島競輪場 (広島市南区) や広島広域公園 (広島市安佐南区)、呉ポートピアパーク (呉市)、こざかなくんスポーツパークびんご (尾道市) に、今後施設が完成する予定です。
ぜひ、誰かと競うことを目的とせずにスポーツを楽しみたいなと思われた方は「アーバンスポーツ」に挑戦してみてはいかがでしょうか。