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調査研究(北部農業技術指導所)

印刷用ページを表示する掲載日2020年4月21日

1 テーマ名

 培地内水分モニタリングによる夏秋いちごの安定出荷技術の実証

 

2 背景

 夏秋いちご栽培では,気温や天候等の環境条件および,生育状況を確認しながら日々の灌水量を決定していく必要がある。しかし,培地の水分状態は把握しにくく,天候の変化が激しい昨今において灌水過不足による収量品質の低下が課題となっている。そこで,培地内の水分状態を常時モニタリング記録し,適正値を維持することによる収量品質に及ぼす影響を調査する。

 

3 目的

 水分過不足によって発生するといわれる「種うき果」「白ろう果」等の奇形果減少による品質の向上。これに伴う可販果率の向上。

 

4 調査研究の内容

(1)灌水管理方法

 培地内水分測定機を高設ベットへ設置し,値を常時確認し灌水管理を行う。

 適正水分値を1.5~1.8(広島県農業技術センター試験結果参照)とし,常時適正水分値を保つように灌水管理を行う。

(2)調査項目

 環境調査:気温,地温

 潅水管理調査:灌水量(ml/株/日),時間,回数

 収量調査:ハウス別収量,品質

 培地調査:pF値,培地内EC・pH,硝酸態窒素値

 生育調査:クラウン径

 ※栽培に悪影響を与えるため対照区は設置せず,下記と比較する

 ・1日のみ灌水量を抑えた疑似対照区

 ・H30年度 同ほ場収量

 ・R1年度 同経営体他ほ場収量

 

5 成果

(1)土壌水分見える化による効果

ア.乾燥湿潤状態の発生回数

 4~9月の栽培期間において,栽培に悪影響を与える培地の乾燥湿潤状態(pF値1.8以上,1.5以下)の発生回数は8月の1度のみ(乾燥状態)であった。

イ.灌水量・灌水時間帯

 灌水量はH30実績,北部農業技術指導所より提供している栽培指標値とほとんど変わらなかった。

 灌水時間帯はH30実績と比較し,午後灌水期間が7月中旬以降の1か月半から6月以降の4か月に増加した。(図1)また,高温の日に限り,17時以降の灌水を行い,夕方以降の培地乾燥を回避した。(図2)

(2)施肥量

 日窒素施肥量はH30実績,指導所より提供している栽培指標値とほとんど変わらなかった。培地内硝酸濃度はH30実績よりも低い値で推移した。(図3)

(3)灌水量を抑えた疑似対照区との比較

ア.疑似対照区のpF値(実測)

 9/11 天候:晴,気温:30~35℃の環境下において灌水を実施しない場合,1時間あたり「0.025」の傾きでpF値が上昇した。(図4)

イ.疑似対照区のpF値シュミレーション

 H30の9月を想定し,午後灌水を実施しない日が続いた場合のpF値推移のシュミレーションを作成した。その結果,灌水終了後の13時ころからpF値が上昇し始め,乾燥害が発生するpF値1.8を超えることが予測された。(図5)

(4)収量

ア.時期別収量

 東城八幡ファームの他ほ場5か所と時期別単収(t/10a)を比較したところ,処理区は他ほ場よりも7~9月の収量が増加した。また,他ほ場は10月まで収量低下が続いたが,処理区は10月の収量が回復した。(図6)

イ.収穫後期品質

 同ほ場のH30収量実績と比較したところ,H30は10月以降,白ろう果・種浮き果当の奇形果が多発したが,R1は奇形果が激減し,10~11月の出荷量が増大した。(図7)

ウ.単収

 その他ほ場は1.8t/10a,H30同ほ場は2.3t/10aであったが,処理区は3.0t/10aと他ほ場比1.7倍増,前年比1.3倍増となった。(図8)

 

6 普及活動における活用方法

 試験ほ場には昇温抑制対策として自動調光システムが導入されており,本試験機材と組み合わせ,適正管理を行うことで,より高収量が得られると考える。これらのICT技術を利用した夏秋いちご栽培モデルの構築を行う。

 

7 留意事項

 来年度は安定して高収量を得るための栽培管理条件の検証に取り組む予定である。

 

■ 別紙「培地内モニタリングによる夏秋いちごの安定出荷技術の実証」

図1,図2

図3,図4,図5

  図6,図7,図8

 

 

 

 

 

 

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