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RSウイルス感染症の流行状況

印刷用ページを表示する掲載日2025年3月21日

広島県のRSウイルス感染症の流行状況

定点医療機関当たり患者報告数

 令和7年第11週(3/10~3/16)の広島県全体の定点当たり報告患者数は、2.03(報告患者数150人)となり、前週(第10週)の定点当たり報告患者数1.82人(報告患者数135人)と比べ微増しています。

RS保健所別表 R7 11w

定点当たり報告患者数とは
・定点報告の対象となる五類感染症については、広島県が指定した医療機関(定点医療機関)から、1週間ごとに患者数が報告されます。(RSウイルス感染症は74 の小児科定点からの報告)
・定点当たり報告患者数とは、これらの定点医療機関からの報告数を定点医療機関数で割った値のことです。

RSウイルス感染症とは

RSウイルス感染症は、RSウイルスによる急性呼吸器感染症です。

RSウイルスは、一般的には乳幼児の呼吸器感染症の原因ウイルスとして知られていますが、高齢者や基礎疾患のある成人においても、肺炎などを引き起こすことがあります。

以前は夏から増え、秋にピークがみられていましたが、2021年以降は春から初夏に増え、夏にピークがみられています。

全国の発生状況はこちら👉国立感染症研究所RSウイルス感染症疫学情報
広島県の発生状況はこちら👉定点把握疾患(五類)の発生状況 保健所別発生状況

潜伏期間と症状

RSウイルスに感染すると2~8日間(多くの場合4~6日間)の潜伏期間を経て発熱鼻汁など軽い風邪のような症状が数日続きます。多くは軽症で自然軽快しますが、重症化することがあります。

RSウイルスの初回感染時には、より重症化しやすいといわれており、特に生後6ヶ月以内にRSウイルスに感染した場合には、細気管支炎、肺炎など重症化する場合があります。

感染経路

主な感染経路は、咳やくしゃみなどの飛沫を吸い込む飛沫感染とウイルスが付着した手で目・口・鼻などの粘膜を触る接触感染です。

予防のポイント

・石けんでの手洗い
・アルコールによる手指衛生、消毒(RSウイルスはアルコール消毒が有効)
・子どもが日常的に触れるおもちゃなどの消毒
・鼻汁や咳などの症状がある場合は、周囲への感染を防ぐためにマスクを着用

RSウイルス感染症Q&A(厚生労働省ホームページ参照)

Q1. RSウイルス感染症とはどのような病気ですか?
A1. RSウイルス感染症(respiratory syncytial virus infection)は、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症です。RSウイルスは日本を含め世界中に分布しています。何度も感染と発病を繰り返しますが、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスに少なくとも1度は感染するとされています(国立感染症研究所ホームページ参照)。
症状としては、発熱、鼻汁などの軽い風邪様の症状から重い肺炎まで様々です。RSウイルスの初回感染時には、より重症化しやすいといわれています。特に生後6ヶ月以内にRSウイルスに感染した場合には、細気管支炎、肺炎など重症化する場合があります。

Q2. 現在のRSウイルス感染症の発生状況はどのような状況なのでしょうか?
A2. RSウイルス感染症は、近年は夏から増加傾向となり秋にピークがみられていました。一方、2021年以降は春から初夏に継続した増加がみられ、夏にピークがみられています。今後の発生動向について、さらなる注意が必要です。

Q3. RSウイルスはどのように感染しますか。
A3. RSウイルスは主に接触感染と飛沫感染で感染が広がります。接触感染は、RSウイルスに感染している人との直接の接触や、感染者が触れたことによりウイルスがついた手指や物品(ドアノブ、手すり、スイッチ、机、椅子、おもちゃ、コップ等)を触ったり、なめたりすることで感染することを言います。また、飛沫感染は、RSウイルスに感染している人が咳やくしゃみ、あるいは会話などをした際に口から飛び散るしぶきを浴びて吸い込むことにより感染することを言います。
RSウイルスは、麻疹ウイルスや水痘ウイルスの感染経路である空気感染はしないと考えられています。

Q4. RSウイルスに感染すると、どのような症状が出ますか?また、感染してからどのくらいの時間で発症しますか?
A4. 通常RSウイルスに感染してから2~8日、典型的には4~6日間の潜伏期間を経て発熱、鼻汁などの症状が数日続きます。多くは軽症で自然軽快しますがが、重くなる場合には、その後咳がひどくなる、喘鳴が出る、呼吸困難となるなどの症状が出現し、場合によっては、細気管支炎、肺炎へと進展していきます。初感染乳幼児の約7割は、鼻汁などの上気道炎症状のみで数日のうちに軽快しますが、約3割では咳が悪化し、喘鳴、呼吸困難などが出現します。重篤な合併症として注意すべきものには、無呼吸発作、急性脳症等があります。生後1か月未満の児がRSウイルスに感染した場合は、非定型的な症状を呈するために診断が困難な場合があり、また突然死に繋がる無呼吸発作を起こすことがあります。
RSウイルスは生涯にわたって感染を繰り返し、幼児期における再感染での発症はよくみられ、その多くは軽い症状です。
成人では通常は感冒様症状のみですが、RSウイルスに感染した小児を看護する保護者や医療スタッフでは、一度に大量のウイルスに曝露して感染することによって、症状が重くなる場合があります。また、RSウイルスは特に慢性呼吸器疾患等の基礎疾患を有する高齢者において急性の重症肺炎を起こす原因となることが知られていて、特に長期療養施設内での集団発生が問題となる場合があります。

Q5. 特に感染しないように注意すべき人はどのような人ですか?
A5. 感染によって重症化するリスクの高い基礎疾患を有する小児(特に早産児や生後24か月以下で心臓や肺に基礎疾患がある小児、神経・筋疾患やあるいは免疫不全の基礎疾患を有する小児等)や、生後6か月以内の乳児への感染には特に注意が必要です。また、慢性呼吸器疾患などの基礎疾患を有する高齢者も感染に特に注意が必要です。

Q6. 感染しないようにするために、どのようなことに注意すればよいですか。
A6. RSウイルス感染症の感染経路は接触感染飛沫感染で、発症の中心は0歳児と1歳児です。
一方、再感染では感冒様症状又は気管支炎症状のみである場合が多いことから、RSウイルス感染症であるとは気付かれていない年長児や成人が存在しており、症状がある場合、可能な限り乳幼児との接触を避けることが乳幼児の発症予防に繋がります。
接触感染対策としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すりなどはこまめにアルコールや塩素系の消毒剤などで消毒し、流水・石鹸による手洗い、またはアルコール製剤による手指衛生が重要です。
飛沫感染対策としては、鼻汁、咳などの呼吸器症状がある場合はマスクが着用できる年齢の子どもや大人はマスクを使用することが大切です。

Q7. 受診の目安について
A7. 機嫌がよく、辛そうでなければ、慌てずに様子をみたり、かかりつけ医にご相談ください。ただし、呼吸が苦しそう、食事や水分摂取ができない時は医療機関への受診をご検討ください。
受診を迷った場合や夜間・休日の場合は、「こどもの救急」などの関係Webサイトを参照したり、#8000(こども医療相談)にご相談ください。

Q8. 治療方法はありますか。
A8. RSウイルス感染症には特効薬はありません。治療は基本的には対症療法(酸素投与、点滴、呼吸管理など症状を和らげる治療)を行います。

Q9. 予防方法はありますか?
A9. 60歳以上を対象としたワクチン及び生まれてくる子の予防を目的に妊婦に接種するワクチンがあります。
また、以下の対象者については、遺伝子組換え技術を用いて作成されたモノクローナル抗体製剤であるパリビズマブ(Palivizumab)の投与があります。RSウイルス感染症の流行初期に投与し始めて、流行期も引き続き1か月毎に筋肉注射することにより、重篤な下気道炎症状の発症の抑制が期待できます。
 ・在胎期間28週以下の早産で、12カ月齢以下の新生児及び乳児
 ・在胎期間29~35週の早産で、6カ月齢以下の新生児及び乳児
 ・過去6カ月以内に気管支肺異形成症の治療を受けた24カ月齢以下の新生児、乳児及び幼児
 ・24カ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患の新生児、乳児及び幼児
 ・24ヵ月齢以下の免疫不全を伴う新生児,乳児および幼児*
 ・24ヵ月齢以下のダウン症候群の新生児,乳児および幼児*
 *本剤の添付文書では、投与に際しては学会等から提唱されているガイドライン等を参考とし、個々の症例ごとに本剤の適用を考慮すること、とされています。なお、パリビズマブ製剤の投与は保険適用となっています。

RSウイルス感染症啓発資料

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