スマートフォン等のインターネット接続機器の普及によって,インターネットはますます私たちの生活に身近なものとなりました。子供たちも自分のスマートフォンを持つようになり,メールや調べ物,ゲームなどを利用することも多くなりました。
一方で,有害情報サイトなどにアクセスし,犯罪やトラブルに巻き込まれるケースも絶えません。そこで,トラブル防止のために,保護者が行うべきポイントを紹介します。
進学や進級をきっかけに,子供にスマートフォンを持たせることを検討しているご家庭は多いのではないでしょうか。自分のスマートフォンを持つ子供の割合は年々増加しています。
内閣府が行った「令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」(※1)によれば,スマートフォン(※2)を利用している割合は,小学生で約4割(40.1%),中学生で約8割(81.8%),高校生では9割以上(98.6%)に達しています。
※1 調査対象は満10歳から満17歳までの青少年(5,000人)及び前記青少年の同居の保護者(5,000人)
図1:青少年のスマートフォンの専用率
資料:内閣府「令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)」
このように,自分のスマートフォンを持つ子供が多くなっている中で,保護者の皆さんは,自分の子供がどのようにインターネットを利用しているのか,きちんと把握しておられるでしょうか。
同調査によると,青少年のインターネットの利用内容は,高校生では,コミュニケーション,動画視聴,音楽視聴が,中学生では,動画視聴,ゲーム,コミュニケーションが,小学生では,ゲーム,動画視聴がそれぞれ上位を占めています。
図2:青少年のインターネット利用内容
資料:内閣府「令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)」
1日のインターネット平均利用時間は約182分で,1日2時間以上インターネットを使用する子供割合は約7割(67.8%),小学生(4年生~6年生の児童)でも約5割(48.9%)となっています。
スマートフォンでのインターネット利用は,家庭以外の場所でも行われるため,保護者の目が届きにくいのが現状です。そのため,子供がインターネット上でトラブルに遭遇したり,問題行動があったりした場合でも,保護者が把握できていない場合も少なくありません。
インターネット上の世界には,子供たちにとって役立つ情報がたくさんある一方で,暴力的表現やアダルト画像といった悪影響を及ぼす有害な情報も数多く存在します。
また,メールやインターネット掲示板,SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などのコミュニティサイトについても利用方法を誤ると,自分が気づかないうちに見知らぬ人に個人情報が知られてしまうなど,様々なトラブルが生じる危険があります。
SNSなどで人の悪口を書き込むなど,インターネット上での人権侵害やいじめが発生し,被害に遭った子供が不登校になるなどの事例が発生しています。
SNSなどに安易に個人情報を記載したために,写真や名前,メールアドレスが知らないところで勝手に使われ,嫌がらせを受ける被害が発生しています。
最近は,出会い系サイトだけでなく,SNSやゲームサイトなどで知り合った人からの誘い出しを受けて,子供が性的被害を受けるケースが増えています。令和元年には,SNSに起因して犯罪被害にあった子供の数は2082人となっています。
「無料」とうたっているオンラインゲームで遊んでいる間に,アイテムが有料であることに気づかず購入してしまったため,高額の料金を請求されてしまうトラブルが,子供の間で多く発生しています。
ウェブサイト名 | URL |
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総務省「2020年度 インターネットトラブル事例集」へのリンク | https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/jireishu.html |
広島県「インターネット適正利用に関する啓発資料」へのリンク | /site/seisyounen-kennzennikusei/internet-tekisei.html |
こうしたトラブルに巻き込まれることなく,子供たちが安全に安心して,インターネットを利用するために,保護者がその特徴や,様々なリスクについても理解しながら,子供を見守ることが重要です。そのためのポイントを紹介します。
子供にスマートフォンや携帯電話を持たせるときは,ただのプレゼントやご褒美としてではなく,「何のために必要なのか」「どのように使うのか」を話し合うことが大切です。例えば,「緊急連絡」「(GPSによる)所在確認」「防犯」「学習のための調べ物」といった利用目的を,あらかじめ子供と話し合って決めておく,などが有効です。
また,子供も自身に「スマートフォンや携帯電話を持つ必要性と責任」を自覚させるために,インターネットの特徴や有害情報などの危険性,個人情報を守る必要性などを説明し,本人に危機意識を持たせるようにしましょう。
最初のうちは,子供のスマートフォン等の利用を保護者が見守りながら,子供がインターネットを利用する際のマナーや安全に利用するための知識を身に付けられるようにしましょう。
ペアレンタルコントロールとは,子供のスマートフォン等の使用状況を保護者が把握したり,安全管理を行ったりする仕組みで,OS事業者,アプリ開発事業者からサービスが提供されています。例えば,子供がスマートフォン等でゲームをプレイする場合,保護者のスマートフォンで,子供の日々のプレイ状況を確認したり,プレイする時間の長さや時間帯の調整,課金の制限等を行ったりすることができます。子供の使用状況に応じて上手く活用しましょう。
◆ ペアレンタルコントロールについて ◆
ペアレンタルコントロールとは,子供のスマートフォンやタブレット,ゲーム機の利用状況を,保護者が把握したり,安全管理を行ったりする仕組みです。利用時間の制限・調整,課金等の管理,ネットワーク利用の制限,年齢区分(レーティング)のチェック等を行うことが可能です。 (1)OS事業者(Apple・Google等)が提供する,ペアレンタルコントロールのサービスを活用しましょう。 (2)各ゲーム機にもペアレンタルコントロールのサービスがあります。各説明書やホームページなどを確認し,最初に設定しましょう。 内閣府HP掲載 低年齢層の子供の保護者向け普及啓発リーフレット「スマホ時代の子育て~悩める保護者のためのQ&A~(幼児・児童編)」令和2年1月版(https://www8.cao.go.jp/youth/kankyou/internet_use/leaflet.html) 一部抜粋 |
子供がスマートフォン等を利用する際には,有害情報へのアクセスを制限する「フィルタリング」を活用しましょう。うっかりあるいは故意に危険なサイトにアクセスしないようにコントロールしてくれる便利な機能です。それによって,出会い系サイトやアダルトサイト,暴力的な表現のあるサイトなどを,子供が閲覧できないようにします。
なお,携帯電話会社では,18歳未満の子供がスマートフォン等を利用する場合には,フィルタリングサービスについての説明や設定を行っています。子供の年齢や使い方によりレベル設定ができ,利用したいサイト,SNS等の個別設定もできますので,上手に使って,子供の安全を守りましょう。
また,『青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律』第六条において,保護者は「青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用その他の方法によりインターネットの利用を適切に管理し」,努めるものとされています。
◆ フィルタリングについて ◆
フィルタリングとは,うっかり,あるいは故意に,危ないサイトにアクセスしないようにコントロールしてくれる,便利な機能のことです。
“子供にとって不適切な内容のサイト”や“犯罪やトラブルを誘発するサイト”だけでなく,“個人情報を盗むなりすましサイト”“架空請求などを目的とするサイト”,“ウイルスファイルをまき散らすサイト”といった悪質なサイトへのアクセスも,制御してくれます。
現在,携帯電話事業者をはじめ各社がフィルタリングサービスを提供しており,閲覧制限だけでなく,有害アプリの起動制限やスマートフォンの利用時間帯を制限する機能なども備わっています。年齢や家庭のルールに応じて,カスタマイズできるものもあります。
ぜひ,活用しましょう。
【携帯電話事業者が提供するフィルタリングサービス】
あんしんフィルターロゴfor(企業名/ブランド名) |
あんしんフィルター for docomo |
あんしんフィルター for au |
あんしんフィルター for SoftBank |
注意点 |
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~コラム うちの子は大丈夫だから!?~ 「子供を信頼しているから」という理由で,「あんしんフィルター」を解除する保護者もおられるようですが,『信頼』と『安全』は別問題です。 また,「子供が使いたいサービスやアプリが使えない」という理由も多いようですが,使いたいサービスやアプリは個別に利用許可設定できます。 携帯電話販売等の店頭で設定してもらう場合,子供にパスワードが伝わらないように気を付けてください。誕生日などの想像しやすいパスワードもNGです。これは,ご家庭で設定する場合も一緒です。 パスワードの管理は,必ず保護者が行ってください。 (参照:『インターネットトラブル事例集(平成29年度版)(総務省)』) |
実社会でやってはいけないことは,インターネット上でもやってはいけません。また,たとえ友達や知り合いに向けて発信したつもりでも,一度インターネット上に公開した情報は勝手に拡散され,いろいろな人に見られるだけでなく,削除することも難しくなるという危険性があることを認識させましょう。
子供が,スマートフォン等で上手にインターネットを活用できるようにするために,家庭のルールを作りましょう。ルール作りは保護者の一方的な押し付けではなく,子供と一緒になって,利用目的や利用場所・時間帯を話し合ってルールを決めることが大事です。また,そのルールは成長と共に少しずつ改定していくことが必要です。
それから,ルールやマナーを守る習慣を身に付けさせましょう。
スマートフォン等の利用状況については,子供と折に触れて話し合い,問題がないか確認しましょう。万が一,トラブルが生じたときには,子供が一人で抱え込まず,すぐに保護者に相談するよう,普段から子供と話し合っておきましょう。
家庭のルールの具体例 |
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(1)初めてのインターネット期《サイトや動画の閲覧のみ許可し,SNS等は禁止》 □ゲームとインターネットを合わせて,使っていいのは1日_分までです。 □保護者にことわって,近くで使います。食事中や車の中では使いません。 □夜_時以降は使いません。リビングで充電します。 (2)インターネットレベルアップ期《家族間に限って,メールの利用を認める》 □家の中ではリビングで使います。 □話しかけられたら手を止めて応対します。 □決まった人からのメール以外,返信やアクセスはしません。 □変わったことや困ったことが起きたら,すぐに相談します。 □公共の場で利用する時は,ルールやマナーを守ります。 (3)SNSデビュー期《顔を知っている友人・知人に限定して,メールやSNSの利用を認める》 □自分や友だちの個人情報(名前・住所・学校名など),写真はネットに公開しません。 □メールやSNSは実際に会ったことのある友達だけにします。 □自分が言われて嫌な事や悪口はSNSやメールで送りません。 □目的をもって利用します。目的を終えたらスマホから手を放します。 (4)SNSレベルアップ期《インターネットを介して知り合う人とのコミュニケーションを認める》 □インターネットやSNSで知り合った人とは直接会いません。 □インターネットで買い物やお金のやり取りをするときは,保護者の許可を得ます。 □インターネット上に公開する内容は,送信前にしっかり見直します。 □他人にIDやパスワードを絶対に教えません。 □毎月の通信量(料)をチェックし,計画性をもって利用します。 (引用:内閣府HP掲載 普及啓発リーフレット一部抜粋「ネットの危険からお子様を守るために 今,保護者ができること」https://www8.cao.go.jp/youth/kankyou/internet_use/leaflet.html) |
保護者は、子供に携帯電話やスマホを持たせる場合に、携帯電話会社(通信事業者)の販売店において、契約時に、18歳未満の子供が使用することを伝えることが義務づけられており、他方、販売店は、保護者から「不要」との申し出がない限り、18歳未満の子供が使用する携帯電話にはフィルタリングサービスを提供することが義務付けられています。フィルタリングの設定等については、携帯電話販売店にご確認ください。
「2 子供たちのインターネット利用に潜む危険」で,様々なインターネットトラブルを紹介しました。実際に,インターネットトラブルに遭った時には,どこに相談すればいいのでしょうか。ここでは,インターネットトラブルに遭った時の相談窓口を紹介していきます。
どこに相談したらいいかわからない時は,各県の警察で設置されているサイバー犯罪相談窓口(広島県の場合は,県警が設置している「サイバー110番」)に相談してみましょう。また,SNSを通じて犯罪被害に遭うなどにより,犯罪被害でお悩みの場合は,広島県が設置している犯罪被害者等支援総合窓口で相談してみてはいかがでしょうか。
※24時間対応 (執務時間外(平日の午後5時15分から翌日午前8時30分、土曜日、日曜日、祝祭日、12月29日から1月3日)に送信された場合は、翌執務日以降の受付となります。)
※人命にかかわる場合など緊急を要する場合は,110番または最寄りの警察署へ電話してください。
犯罪被害に遭われた方が,再び平穏な生活を営むことができるようになるために,適切な情報提供を行っています。
※相談日時は,月~金曜日(祝日・年末年始を除く)8時30分~17時15分(12時00分~13時00分を除く)。電話相談,面接相談(事前に電話してお越しください。)を行っています。
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ヤングテレホン ☎082‐228‐3993〔県警察本部少年サポートセンター〕
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広島県生活センター ☎082‐223‐6111〔消費生活相談〕
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24時間子供SOSダイヤル(いじめ等相談窓口)☎0120‐0‐78310
子どもの人権110番(なやみごとに関する相談窓口)☎0120‐007‐110
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違法有害情報センター(インターネット上の違法・有害情報に関する相談窓口(web窓口))
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