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1991年10月広島県友好訪問団が四川省を訪れた際,戦後本県で実施してきた「裸地化した山地の復旧事業」の実情を話し,治山技術を活用して四川省の「緑の長城」造成に協力したい旨提案し,四川省側も快諾した。
これを受けて,1992年6月行政関係者に民間団体の代表者を加えた調査団を編成し,2週間にわたって現地調査を行うとともに,四川省林業庁と協議の上,「緑の長城」造成計画に関する合作協議(協定)を締結した。
この「緑の長城」造成事業は,(1) 記念植樹祭の開催 (2) 「友好の森」造成 (3) 「乾燥山地試験林」造成 (4) 緑化技術協力 の4つの柱で構成している。
緑の再生に協力する「友好の森」造成の記念植樹祭は,1992年10月に四川省成都市から北へ約100kmの綿竹県で盛大に開催された。 本県からは,林業関係者を中心とする民間ボランティア約200人が参加した。一方,四川省からは,副省長,林業庁庁長等関係者をはじめ地元の児童,近隣住民など約800人,観衆約3万人と大規模な参加となった。 写真の説明: 1992年 記念植樹祭の様子
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「友好の森」造成は,1992年の記念植樹祭を受けて,1993年度から1996年度までの4年間で四川省綿竹県新市鎮に約330haの植林を行う事業であり,(社)広島県みどり推進機構と連携して支援を行った。 植林地は,30数年前に大洪水のあった揚子江支流(石亭江)の堤防沿いにあり,5~10cm位の玉石がごろごろしている荒地で,四川省ではこの一帯を石亭江の防護林及び経済開発区予定地の保健休養林として位置付けている。 写真の説明: 1994年 記念植樹祭の様子
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植樹記念碑(2004 |
2004年7月の様子( |
2004年7月の様子( |
2004年7月の様子( |
「乾燥山地試験林」造成は,1993年度から1996年度までの4年間で四川省茂県の乾燥山地(標高1700~2500m,年間降 雨量400mmで実施するものである。
1993年5月には治山技術専門家2名を現地に派遣し,四川省林業庁と合同で現地調査や技術指導を行った。
その結果,山腹基礎工として石筋工,水路工,土留工,かん水施設等を実施するとともに,山腹緑化工の植栽樹種には適地適木を考慮して,四川省の在来種である刺槐(ハリエンジュ),沙棘(サキョク),黄連木(ランシンボク)等を選定した。
更に,施工地の気象条件等が本県と類似していることから,本県の乾燥山地に耐える樹木(ヤシャブシ,ヒメヤシャブシ,ヤマハンノキ)の種子を送り,四川省において養苗し植栽することにした。
1994年山腹工施工状況(石筋工、植栽工) |
「緑の長城」造成事業を技術面からフォローするため,研修生の受入,専門家の派遣等を行っている。 治山技術協力面で,水土保全・荒廃林地の復旧・国土緑化等の技術を修得してもらうため,1992年度から2001年度までの10年間に,毎年治山技術研修生2名(研修期間3か月),計20名を受け入れ,主に県立林業技術センターで研修を行った。
また,「乾燥山地試験林」造成に関して,1997,1998及び2001年の3カ年で計6名の専門家を派遣した。
このほかにも,主に森林造成に関する知識及び技能を修得してもらうため,1993年度から1996年度までの4年間に,中堅林業技能者計20名(研修期間6か月)を受け入れ,森林組合の作業現場を中心に植林,下刈,除伐等の実務研修を行った。
1993年林業技能研修状況