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命の環つなげる 八幡湿原自然再生事業 ~再生事業の実施状況~

印刷用ページを表示する掲載日2011年12月1日

広島県では,「八幡湿原自然再生実施計画」(H18.10月策定)に沿って,H19年度からH21年度の3ヵ年にかけて,霧ヶ谷湿原において再生事業を実施しました。

事業の方針

 これまでの調査結果や対照区域内で実施されてきた試験結果から,次の方針を設定して事業を行いました。

水文環境の改善

 現在、明渠及び暗渠により排水されている水を対象区域内に止め、地下水位を上昇させることにより、対象区域内を湿潤化させる。

湿原植生への遷移の誘導

 水文環境の整備と現存植生を整理することにより、湿原植生への遷移を図る。植生については、外来種を排除するとともに人為的な持ち込みは行わず、環境整備により遷移を誘導する。また、現存する湿原については可能な限り保全する。

事業の内容 

 
 上記の方針に基づき,次の整備手法により事業を実施しました。

年度別実績一覧表

(H22.3月一部修正)

工種 H19 H20 H21
河川改修 流路工撤去・埋戻し 272.0m 200.0m 40.0m 512.0m
取水堰工 3.0基 3.0基
帯工 3.0基 7.0基 10.0基
落差工 7.0基 9.0基 1.0基 17.0基
床固工 1.0基 1.0基
導水路の整備 幹線導水路(素掘り) 320.0m 141.5m 461.5m
補助導水路(素掘り) 1384.0m 844.0m 2228.0m
明渠埋戻し 437.0m 148.0m 585.0m
既設水路撤去 管渠撤去 10.0m 9.7m 4.8m 24.5m
側溝撤去 141.0m 141.0m
町道周辺水路の改良 町道側溝等改良 23.0箇所 23.0箇所
観察路 木道,木橋等 753.7m 753.7m
立木等の伐採 伐採 4.0ha 1.8ha 5.8ha
除伐 6.0ha 6.0ha
標識 解説板,指導標 5.0基 5.0基

 

コンクリート三面張り水路の撤去・自然河川の整備

 計画地の中央河川はコンクリート三面張り水路となっています。湿原の水位をあげるために、この水路を改修することとしました。
 環境学習やレクリエーションの場としても活用できるようにするため、できる限り自然河川に近い状態に改修しています。。
 このことにより、河川の中が動物の生息環境として機能することも期待しています。

工事前の写真
工事前

右向き矢印

工事後の写真
工事後

 ※撮影箇所は同一ではありません
 中央河川の内部には帯工落差工を約20m間隔で設置し、河川の縦断勾配を緩和するとともに、土砂の流出を抑止することとしました。
 埋戻しの材料は、土砂ではなく直径10cm以上の石を使用することとし、大きな出水時にも流されないように配慮しました。埋め戻した石には大きな間隙があるので、事業地から流れ出る土砂を貯める効果も期待できます。
 また、取り壊したコンクリートを埋戻し用の資材として活用することにより、工事による廃材の持ち出し量を低減させました。帯工や落差工の上下流部等にはフトン篭を埋設することにより強度を高めています。

工事後の写真
工事後

落差工の写真
落差工

  工事の風景写真
 事業区域の最下流部には床固工を設置し,事業区域外に土砂が流出しないよう配慮しました。

床固工の写真
床固工

河川の堰上げ(取水堰の整備)

 中央河川から計画地内に導水するため、取水堰を3箇所設置することとしました。取水堰には、帯工や落差工と同じく縦断勾配を緩和し縦侵食を防止する機能や、事業地から流れ出る土砂を貯める機能も持たせています。

1号取水堰の写真
1号取水堰

2号取水堰の写真
2号取水堰

 

導水路の整備

 導水路は、乾燥の進んだ区域に水路の水を誘導し、湿潤化させることを目的としています。
 取水堰と直接つながる導水路を「幹線導水路」、幹線導水路から溢れた水を受けとめる導水路を「補助導水路」と呼んで区別しています。構造はいずれも素掘りとし、あくまで水平に設置するという点に注意を払いました。水は上流から常に供給されているため、無理に勾配をつけなくても自然と導水路から溢れることになります。

幹線導水路の写真
幹線導水路

補助導水路の写真
補助導水路

 

町道周辺水路の改良

 カスミサンショウウオなどの小動物の移動に配慮した構造とするため、事業区域内の町道の側溝及び集水桝を部分的に改良しました。具体的には、側溝に落ちた小動物が山側に這い上がれるようにするため延長約8mにつき1箇所ずつ、山側の側壁を切断して地山部分を掘削し、スロープを設けました。

側溝改良箇所の写真
側溝改良箇所

 

立木等の伐採

 河川改修工事や導水路の設置などに先行して、立木等の伐採・除去を行いました。
 ただし、八幡湿原自然再生協議会において残置することが決定された樹木(ハンノキ,胸高直径15cm以上の樹木)、野鳥のソングポストとして必要であると専門家が判断した樹木は残しました。

伐採前(2004年6月)の写真
伐採前(2004年6月)

右向き矢印

伐採後(2007年11月)の写真
伐採後(2007年11月)

 ※撮影箇所は同一ではありません。
 アイコン季節による移り変わり

観察路,解説板の設置

 自然再生基本方針の趣旨に基づき,本事業地を自然環境学習の場として積極的に利活用するために,観察路を設置しました。
 また,八幡湿原自然再生事業の目的や趣旨等を解説した解説板を3基設置しました。

木道(1)の写真
木道(1)
 離合箇所を一定間隔ごとに設置しました。 

木道(2)の写真
木道(2)
 湿原の見所と思われる箇所には,写真のように木道と垂直に観察ポイント(離合箇所)を設置しました。

木道と観察広場の写真
木道と観察広場
 木道の間に2箇所,観察広場を設け,解説板を設置しました。

 


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事務局

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