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学生と企業が価値を共創する

叡啓大学が企業の「新規事業」をプロデュース!「価値創造」の最前線

ひろしまを学ぶ |

叡啓大学 (広島市中区) と連携し、地元企業が続々と「変革」を遂げています。企業・教員・学生がチームを組み、新規事業を生み出す「共創プログラム」。その中心にいるのが、産学官連携・研究推進センターの定金基 (さだかね もとい) 教授です。

自らも実務家として20年以上のキャリアを持つプロジェクトの仕掛け人。企業の未来の価値を掘り起こす、産学共創の最前線に迫ります。

共創プログラムとは?

共創プログラムの構造図

共創プログラムは、単位付与をしない形で、企業と学生と教員が共に新しい価値の創造に取り組む場です。東京で、プロジェクトの伴走支援やコンサルティングを手掛ける定金教授が中心となり、企業の新しい価値創造を叡啓大学の学生たちと生み出しています。

企業×大学×学生 本気の6カ月間

アイデアをノートに書き起こす

これは、学生有志が企業の「課題」に挑む、実践的なビジネスの場。まずは最初の3カ月、定金教授が実践知に基づき、企業の新しい価値を探ります。その後の3カ月、学生有志が企業や街へ飛び出し、社員やユーザーの本音を徹底調査。

そこで掴んだアイデアを、企業の担当者と磨き上げます。最後は、成果報告会として学内外に加え経営陣へも発表。優れた提案はそのまま事業化されることも。失敗を恐れず、現場で揉まれながら、「突破力」を身に付けます。

最大の特徴は、学生を「教わる側」ではなく「対等なパートナー」として扱うこと。企業と雇用契約を結び、報酬を得ながら新規事業の立案や商品開発に取り組みます。企業からは「会社の固定概念をなくした若い発想が得られる」と好評です。学生にとっては、社会の予行演習となり、実践的なスキルを鍛えられます。

学生発 業界に新たな発想も

学生と企業が意見交換する

実際にどんな活動をしてきたか紹介します。株式会社シンギでは、環境に配慮し、容器の蓋をフィルムにする「シュリンテックエコ」の販売戦略を立案しました。

学生はスーパーや飲食店で、店舗スタッフや消費者の声を収集。その需要や課題をもとに、被災地活用や医療用など多角的な視点で提案を行いました。終了後には学食で試験導入を行うなど、新規事業に新しい風を吹き込む成果を出しています。

ほかにも、米農家の親子継承を支える新規事業案の検討や、廃棄物処理業のイメージアップ戦略、新規事業のリーダーとなる人材の採用方法…。さまざまなテーマでアイデアを考案し、今まで導き出せなかった解決策につなげました。

学生を戦力に 共創モデルを構築したい

定金基教授

共創プログラムの仕掛け人、定金基教授に取組の狙いを聞きました。

取組のおもしろさは。

このプログラムの面白さは、学生と企業が「対等」であること。企業の社員は、どうしても自社特有のバイアス (思い込み) に囚われがちです。そこに、業界の常識を知らない学生が、徹底的なフィールドワークで得た「生の実態」をぶつける。これが、企業のプロでも気づかなかった新しい価値を生む鍵になるのです。

「授業」や「課外活動」との違いは。

学生が企業から報酬を得る「有償型」の仕組みです。お金を払っているからこそ、企業も「戦力」として本気で評価し、時には厳しく向き合ってくれます。学生もまた、対価に見合う成果を出すために「仕事」としての覚悟と責任感を持って挑みます。この緊張感ある構造が、単なる学習を超えた「本物の事業開発」を実現させています。

今後の展望は。

広島の企業には、外部の知見をうまく取り入れることで大化けするポテンシャルが眠っています。目指すのは、このプログラムから実際の新規事業が次々と立ち上がり、広島が「共創によるイノベーションの聖地」になること。その成功事例を積み上げ、世界でも通用するような共創のモデルを確立したいです。

企業の価値をプロデュース

広川グループと新和金属の外観

現在は、広川グループ (広島市西区) と新和金属 (府中町) と新たな取組を進めています。どんな課題にどんな解決策が出るのでしょう?2月にあった打ち合わせの現場に密着しました。

広川グループ

広川グループと学生の打ち合わせ

広川グループは、エネルギーから食品卸、保険、旅行業務、新企業まで、多彩な事業を7社で展開しています。挑むのは、取引先で、多岐にわたる商材を「誰でも、同じ品質で」クロスセルできる共通の営業資料づくり。初期営業から他のグループ会社や他部署の担当営業につなげ、全体の提案力を底上げするのが狙いです。

打ち合わせでは、作成中だった電力削減サービスであるエレトクの営業資料を営業担当者に提出し意見を聞きました。「何がメリットなのかが一目で分かる簡略化された営業資料がよい」。「営業資料をくわしく書いたために、質問された時にどうするのか。他部署の製品についてどこまで答えられるか」。現場の営業マンによるフィードバックを受けながら、「他グループの担当者につなげる資料」に磨き上げています。

4年福富優一さんは「何を求められ、何が課題かを引き出す力を現場で学べています」と成長を感じているようです。「若い感性」と「プロの知見」がぶつかり合い、全社員の武器となる新たな資料になるのか?期待が膨らみます。

新和金属

新和金属と学生の打ち合わせ

金属部品のメッキ加工などで広島のモノづくりを支える新和金属。学生たちと挑むのは、現場のメンテナンス精鋭部隊が同業他社に「社内の困りごとの解決」や「設備の修理」を提供する新サービスの開発です。

打ち合わせでは、新和金属が積み上げてきた膨大な設備の改善事例を検証しました。「工場の雨漏り」から「機材の老朽化」まで、現場のリアルな課題を「工場補修」「設備補修」「業務改善」に分類。現場作業員さえ気づいていない「リスク」を言語化し、解決策を提示するにはどんな方法がよいかを話し合いました。

さらに議論は白熱し、他社への提案方法や収益モデルの検討へ。学生たちは、改善提案から施工まで一貫して行う案など、具体的なプランを提示。今後は他社へのインタビューを実施し、需要や改善点を探ります。4年森岡志織さんは「有償で取り組むため、責任の重みを感じます。顧客のニーズを徹底的に掘り下げるという今の経験は、将来に生かせると確信しています」。学生の発想が、熟練の職人技の新たな可能性を引き出します。

学生は学び、企業は変わる 広島がよりおもしろくなる

叡啓大学の外観

共創プログラムは、大学が社会と深く連携し、地域から新たな価値を創出する拠点としての役割を担っています。今後、このプログラムは学生の自由な発想と、定金基教授による視点を掛け合わせ、広島の企業が持つポテンシャルを最大限に引き出す「新規事業開発のプラットフォーム」へと発展していきます。

実際に、現場の事実に即した学生の提案が企業の意思決定を動かし、具体的な事業化へ繋がる成功事例が着実に積み上がっています。自社の「当たり前」というバイアスを学生と共に打破し、現場の「お困りごと」からイノベーションを起こしませんか?広島から世界へ通じる新しいビジネスを共に作り上げましょう!