物理研究室では、犯罪捜査に関する物理学・工学を応用した鑑定を行います。業務は幅広く、県内で発生した火災・交通事故・労働災害(機械構造物事故)等の現場へ臨場することもあれば、庁舎内で画像・音声解析や銃器類の試射、様々な再現実験のデータ計測をすることもあります。
室員は工学(機械、電気・電子、化学工学など)系や理学(物理(実験))系出身者がおり、専門性を生かしつつ、研修を活用して鑑定に必要な知識・技術を学び、研鑽を続けています。
以下では、主な鑑定業務を紹介します。
火災鑑定
交通鑑定
銃器鑑定
画像鑑定
機械構造物鑑定
音声鑑定
爆発鑑定
火災が発生し、警察署等から要請を受けた際に、現場へ臨場して、出火原因を検査します。特に、火元と思われる場所付近に電気配線・電気器具・燃焼器具がある場合、それらの使用状態や異常の有無などを検査します。
放火事件等の再現実験では、温度の測定や映像撮影を行い、得られたデータを解析します。
物理研究室で最も多い鑑定です。
交通事故が発生し、警察署等から要請を受けた際に、車両見分や事故現場へ臨場して、車両の損壊状況や現場の路面等に残された痕跡を確認します。その後、現場での検査結果をもとに、車両の挙動や速度を解析します。 自動車の「走る・曲がる・止まる」機能は電子制御されているため、車載コンピュータに記録された情報を併用することもあります。
ひき逃げ事件等の再現実験では、速度や加速度の測定や映像撮影を行い、得られたデータを解析します。
拳銃や小銃等の銃器や実包が発見された場合は実際に試射をして、弾丸発射機能の有無や発射された弾丸の威力、実包としての機能の有無を検査します。
発砲事件が発生した場合は、現場から持ち込まれた弾丸が被疑者の拳銃から発射されたものか否かについて検査します。
ブレていて情報が読み取れない動画のフレーム画像を積算して情報を抽出したり、防犯カメラ映像から人物の身長や車両の走行速度を推定したりします。
労働災害が発生し、警察署等から要請を受けた際に、現場へ臨場して、事故原因について検査します。
現場で採取された機械構造物の破断面をマクロ・ミクロ両面で観察し、破断原因を調べます。
音声の声紋(サウンドスペクトログラム)を比較して、同一人の音声か否かを検査します。
データのノイズを除去する明りょう化処理も行っています。
工場などでの爆発事故や、爆発物使用が疑われる事件が発生し、警察署等から要請を受けた際に、現場へ臨場して、原因について検査します。