「ひろしま『ひと・夢』未来塾」のはじめの一歩コースの第3回講座(実地研修)を開催しました。
・デザインやアートを活かした地域の魅力や課題の発信についての実例や手法を学ぶ 講師 梶高慎輔氏(みつぎさいこう代表)
梶高氏が取り組んでいる「みつぎさいこう」の活動について,説明していただきました。
「みつぎさいこう」は,「御調町を『再考・再興』して『サイコ~』にしよう!」を合言葉に,新たな視点とアイデアで町のヒト・モノ・コトをより面白くしていくことを目的に,平成22年から活動をしている団体です。
会場は,「みつぎさいこう」が活動の拠点としている「まるみデパート」です。大正時代に建てられた医院を改修した建物でレトロな趣があります。
まずは,今回の会場となった「まるみデパート」を再生させるため,地元の方たちと改修に取り組まれたことを説明していただきました。
続いて,草刈りが得意な90歳を超えたおばあちゃんや,山野草を愛する女性など,地元の方々を紹介していただきました。御調には梶高氏の取組に協力してくださる,地元の“面白い”方々がたくさんいらっしゃるそうです。
主な取組の一つである,「フットパス」について説明していただきました。ヤギを連れて歩いたり,生物を観察するほか,独自で案内看板を制作したり,カフェを設置したりして楽しく取り組まれています。
フットパスとは:イギリスを発祥とする「森林や田園地帯,古い街並みなど地域に昔からある,ありのままの風景を楽しみながら歩くこと【Foot】ができる小径(こみち)【Path】」のこと
その後,梶高氏と「みつぎさいこう」のメンバーの案内により,実際に御調のまちあるきをしました。途中,用途を検討している空き家や,梶高氏の取組に協力している菓子店へ立ち寄りました。
実際に地域を歩き,地域の方と話をすることで,「みつぎさいこう」の取組が地域に浸透していることが実感できました。
メイン講師の尾野氏が尾道市で実施している姉妹講座「おのみち若者チャレンジ講座」のプラン発表会に参加しました。この姉妹講座では12名の受講生が学んでおり,尾道らしい生活を楽しむプランなどが発表されました。塾生にとってはマイプランの発表のイメージトレーニングとなったそうです。
発表会の終了後,尾道市の講座受講生と未来塾の塾生が混合したグループになり,「マイプランの輪を拡げる」をテーマに意見交換を行いました。それぞれのグループで,尾道市の発表者のプランへのアドバイス等を行いながら,互いに交流を深めていました。
この日,塾生は二手に分かれて,尾道市内のゲストハウス「あなごのねどこ」,「ヤドカーリ」に宿泊しました。
講義や尾道市の受講生との意見交換で刺激を受け,気分が高揚していた塾生たちは,夜遅くまで語り合い,楽しい時間を過ごし,より一層仲間意識を高めたようです。
・アーティストの創作活動を通した離島の活性化を試みる「ART BASE百島」の活動を学ぶ 講師 大橋実咲氏(ART BASE百島チーフマネージャー)
大橋実咲氏を講師に迎え,「ART BASE百島」の取組について,説明していただきました。
「ART BASE百島」は,旧中学校校舎を活用して,アーティスト柳幸典氏と協働者たちの創作活動を通して,離島の創造的な再生を試みるアートセンターです。
尾道港から20分程度の船旅を楽しんだ後,福田港(百島)へ到着しました。大橋氏から活動状況などの説明を受けながら,徒歩で「ART BASE百島」へ移動しました。
途中,元映画館で,現在はアートで再生を試みている「日章館」という建物に立ち寄りました。この建物は,平成25年から改修工事が行われ,平成26年の夏には,一夜限りの映画館の再現として,映画が上映されました。
原口典之氏の作品「物性」についての説明を受ける塾生
難解な作品が多い現代アートですが,大橋氏に解説をしていただき,塾生は熱心に聞き入っていました。
大橋氏は百島でアーティストとの創作活動を行うだけでなく,地域住民と協働して地域の活性化にも取り組んでおり,その内容について説明していただきました。講義の前には,町内会長の林氏にもご挨拶をいただき,その中で大橋氏が地域に溶け込んでいくことで,地域にも活気が出てきたことを話してくださいました。
休止していた地域のお祭りが復活したほか,地域外からの来訪者が増えたことで,「ART BASE百島」の近くに地域の方が花を植えてくれるなど,目に見える変化も表れているそうです。
ゲスト講師の大橋氏も参画していただいて,ワークに取り組みました。ワークも第3回を迎え,今までより,プランの核心に触れる助言,提案を発言する塾生が多くなりました。第3者の意見を聞くことにより,本当に取り組んでみたい「自分ゴト」が明確になった塾生も増えてきたようです。