安全で楽しい登山のために(春期)
山岳遭難対策の必要性
広島県には、瀬戸内海から中国山地まで、さまざまな風景が楽しめる魅力的な山がたくさんあり、県内外から多くの登山者が訪れています。
それらの山々は、いずれも標高が1,500メートル以下で、比較的簡単に登ることができると思われがちですが、実際は、道迷いや滑落により遭難したり、尊い命が失われた山岳遭難も発生しています。
山岳遭難発生件数(件)
区 分 |
令和4年 |
令和5年 | 令和6年 |
増減 |
---|---|---|---|---|
発生件数 | 29 | 34 |
33 |
-1 |
山岳遭難者数(人)
区 分 | 令和4年 | 令和5年 | 令和6年 |
増減 |
---|---|---|---|---|
死者 | 2 | 4 | 4 | ±0 |
行方不明者 | 0 | 0 | 0 | ±0 |
負傷者 | 15 | 7 | 14 | +7 |
無事救出 | 22 |
34 |
19 | -15 |
合 計 | 39 | 45 | 37 | -8 |
令和6年3月~令和6年5月(春期)は、11件の山岳遭難が発生し、6人が負傷しています(死者0人)。
春山シーズン到来!!
春の行楽シーズンを迎え、単独での登山・ご家族やグループでの登山をされる方も多くおられますが、遭難を防止するためには、体力・技術・経験に応じた山を選び、現地の気象や登山ルートの状態などをよく確認した上で入山することが大切です。
春山は、温暖で天気の良い日も多く、「遭難するはずがない」「少々のことであれば大丈夫だろう」などと油断しがちですが、実際には、山の天気は変わりやすいこともあり、突然の悪天候や準備不足、気の緩みなどが原因で道に迷ったり、登山道から転落・滑落する事故が発生しています。
少しでも不安を感じることがあれば、無理な行動は避けて「引き返す勇気」を持つことが大切です。
そこで、登山をされる際は、次の点に留意してください。
無理のない登山計画を立てましょう
参加者全員で、ゆとりのある行程で無理のない登山計画を立てましょう。
体力に自信のない参加者を基準に行程を決めるなど、安全を第一に計画を立ててください。
その計画をもとに、事前に登山届(登山計画書)を作成し、登山する山岳を管轄する警察署や広島県警察本部地域課に提出しておくことで、万が一の際には捜索活動をスムーズに行うことができます。
また、登山計画を家族や職場にも知らせておきましょう。
十分な装備品、服装、食料等を整えましょう
装備品や携行品を入山前に十分点検し、取扱い方法をよく確認しておきましょう。
ラジオ・携帯電話機(無線機)は、登山の必需品ですので、充電状態を確認し、予備電源(電池、モバイルバッテリー等)を用意しましょう。
山中では、天気や時間帯によって気温差が激しくなることもあるため、服装は、幅広い気温・天気に対応できるものを選び、突然の悪天候に対応できるよう雨具も持参しましょう。
登山する山の状況や体力・経験等を考慮して、ストック(トレッキングポール)やヘルメットなどを用意し、転落や滑落などを防止するため、登山に適した靴を使用してください。
また、飲料水・食料等も十分準備しておきましょう。
現地の気象や山の状況をしっかり把握しましょう
入山前に、現地の気象状況(雨、雷など)や、登山ルートの状態(閉鎖,変更など)などについて情報を入手し、場合によっては計画の変更や中止を検討してください。
悪天候などで無理に登山をすると、視界不良で道に迷ったり、登山道を見失ったり、濡れた地面で足を滑らせるなどして転倒・転落・滑落事故が発生する可能性が高くなります。
登山ルートの閉鎖・変更なども、迂回を余儀なくされ道に迷ったり、転落や滑落の原因となることがあります。
必ず事前に現地の気象や登山ルートの状態を確認しましょう。
複数人で登山しましょう
単独登山は大変危険です。
万が一の際、動けなくなったり携帯電話が圏外の場合など、自分で救助を求めることが困難となることがあります。
転落や滑落などにより登山道から外れてしまった場合は、他の登山者に気づいてもらうことができません。
可能な限り、経験豊富な信頼できるリーダーを中心とした複数人でパーティを組んで登山しましょう。
山岳遭難防止のための注意事項
山岳遭難の多くは、天候に関する不適切な判断や、不十分な装備、体力的に無理な計画を立てるなど、知識・経験・装備・体力の不足などが原因で発生しています。
山岳遭難を防ぐために次の点に注意しましょう。
安全な登山計画
山の天気は変わりやすく、気温の低下で体力を激しく消耗するなど、不測の事態が発生するケースも多いため、体力、体調、登山の経験などに見合った山を選択し、登山コース、日程、十分な装備・食料などに配意して、余裕のある安全な登山計画を立てましょう。
また、地域によっては山小屋が休業したり、登山道を閉鎖している場合があります。
事前に山小屋や登山道の状況を確認して、安全な登山計画を立てましょう。
山小屋の休業や登山道の閉鎖を知った場合は、無理をせず、登山する山の変更や、計画の中止を検討しましょう。
道迷い防止
地図、コンパス、登山アプリ、地図アプリなどを有効に活用して、常に自分の位置を確認するよう心がけましょう。
地図の見方やコンパスの使用方法を事前に習得しておきましょう。
登山・地図アプリと紙の地図を併用することで、より正確な位置を把握することができるため、道迷いの防止につながります。
「道に迷ったかも」と思ったら、今歩いて来た道(トレース)を辿り、正規の登山道まで引き返すなど、状況を的確に判断しましょう。
道に迷うなどして自分の位置がわからなくなった場合は、闇雲に移動せず、通報するなどして助けを求めましょう。
闇雲に移動すると、さらに複雑な場所に迷い込んだり、滑落や転落をするおそれがあります。
滑落・転落防止
滑りにくい登山靴、ストック(トレッキングポール)などの装備を有効に使用するとともに、気を緩めることなく常に慎重な行動を心がけましょう。
天候や登山する山の状況に応じた装備を使用することで、滑落や転落事故を防止しましょう。
悪天候などにより視界不良となった場合は、滑落・転落する可能性が高くなることから、闇雲に移動しないようにしましょう。
的確な状況判断
登山中の視界不良や体調不良時には、道に迷ったり、転落・滑落などの事故に遭うおそれが高くなるため、状況を的確に判断して、早めに登山を中止するよう努めましょう。
視界不良や体調不良時には、無理をして移動せず、通報するなどしてすぐに助けを求めましょう。
また、天候や健康状態に少しでも不安な要素があれば、登山を別の日に延期しましょう。
登山届(登山計画書)の作成
登山届(登山計画書)は、登山者の氏名、年齢、連絡先、緊急連絡先、目的山域・山名、登山の予定、ルート、携行する食料の量、装備品などを記載します。
山岳遭難や行方不明時に捜索の手がかりになるだけでなく、他の入山者からの目撃情報など、捜索に有効な情報を得るための助けになります。
作成した登山届(登山計画書)の写しを、家族や職場など身近な人に渡しておきましょう。
登山届(登山計画書)は、特に決められた様式はありません。
下記様式は、公益社団法人日本山岳協会のホームページに掲載されている参考書式例です。
必要であれば、プリントアウトまたは修正してお使いください。
登山届(登山計画書)の提出
登山届(登山計画書)を作成したら、広島県警察本部地域部地域課指導係又は登山する山を管轄する警察署地域課に、郵送またはFAX送信等で提出してください。
県外の山に登山する場合は、お手数ですが、登山する山を管轄する警察本部地域課または警察署地域課にご確認ください。
- 広島県警察本部地域部地域課指導係
- 登山する山を管轄する警察署地域課(警察署地域課に提出する場合は、登山する山の地域を確認し、事前に連絡してください)
登山アプリで登山届を作成する
登山届(登山計画書)は、登山アプリでも作成することができます。
広島県警察は、令和5年11月6日に、
- 山岳安全対策ネットワーク協議会(登山届受理システム「コンパス」)
- 株式会社ヤマップ(YAMAP)
と協定を締結しました。
山岳遭難等の事故が発生した場合、協定に基づいて、アプリ上に登録された情報を確認し、捜索や救助活動に活用することとしています。
オトモポリスの活用(現在地送信機能)
☝画面をクリックしてください。
外部リンク
内閣官房及び内閣府オフィシャルサイト 政府インターネットテレビ
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