安全で楽しい登山のために(夏期)
山岳遭難対策の必要性
広島県には、瀬戸内海から中国山地まで、さまざまな風景が楽しめる魅力的な山がたくさんあり、県内外から多くの登山者が訪れています。
それらの山々は、いずれも標高が1,500メートル以下で、比較的簡単に登ることができると思われがちですが、実際は、道迷いや滑落により遭難したり、尊い命が失われた山岳遭難も発生しています。
山岳遭難の多くは、天候に関する不適切な判断や、不十分な装備で体力的に無理な計画を立てるなど、知識・経験・体力の不足等が原因で発生していることから、事前に十分に準備をして、安全な登山を楽しみましょう。
山岳遭難発生件数(件)
区 分 |
令和4年 |
令和5年 | 令和6年 |
増減 |
---|---|---|---|---|
発生件数 | 29 | 34 |
33 |
-1 |
山岳遭難者数(人)
区 分 | 令和4年 | 令和5年 | 令和6年 |
増減 |
---|---|---|---|---|
死者 | 2 | 4 | 4 | ±0 |
行方不明者 | 0 | 0 | 0 | ±0 |
負傷者 | 15 | 7 | 14 | +7 |
無事救出 | 22 |
34 |
19 | -15 |
合 計 | 39 | 45 | 37 | -8 |
令和6年夏期(7月~8月)は、4件(4人)の山岳遭難が発生しています。
※ 死者1人 負傷者(軽傷)1人 無事救出2人
夏山シーズン到来!!
夏の行楽シーズンを迎え、単独での登山・ご家族やグループでの登山をされる方も多くおられますが、遭難を防止するためには、知識・技術・経験・体力に応じた山を選び、現地の気象や登山ルートの状態などをよく確認した上で入山することが大切です。
夏山では、特に登山経験の少ない方は、開放的な気分になるなどして、「遭難するはずがない」「少々のことであれば大丈夫だろう」と油断しがちですが、実際には、山の天気は変わりやすいこともあり、突然の悪天候や準備不足、気の緩みなどが原因で道に迷ったり、登山道から転落・滑落する事故が発生しています。
少しでも不安を感じることがあれば、無理な行動は避けて「引き返す勇気」を持つことが大切です。
そこで、登山をされる際は、次の点に留意してください。
山岳遭難防止のための注意事項
無理のない登山計画を立てましょう
- 気象状況や体力、技術、経験、体調等に見合った山を選択しましょう。
山の天気は変わりやすく、不測の事態が発生することもあるため、慎重に登山する山を選定しましょう。 - 参加者全員で、休憩時間を確保した余裕のある行程を計画しましょう。
体力に自信のない参加者を基準に無理のない行程を決めるなど、安全を第一に計画を立ててください。 - 山小屋が休業したり、登山道を閉鎖している場合があるため、事前に十分確認しましょう。
山小屋や登山道の閉鎖を知った場合は、無理をせず、登山する山の変更や計画の中止、延期を検討しましょう。 - 登山計画を家族や職場にも知らせておきましょう。
登山届(登山計画書)を作成した場合、登山する山岳を管轄する警察署や広島県警察本部地域課に提出しておくことで、万が一の際には捜索活動をスムーズに行うことができます。
十分な装備品、服装、食料等を整えましょう
- 登山する山の気候に合った服装や靴、装備品を用意しましょう。
- 装備品や携行品を十分点検し、取扱い方法をよく確認しておきましょう。
- 服装は、幅広い天候・気温に対応できるものを選びましょう。
- 転落・滑落防止や疲労軽減のため、登山に適した靴を使用しましょう。
- 突然の悪天候にも対応できるよう雨具も持参しましょう。
- 食事のほかに、予備の飲料水や携行食も用意しましょう。
- 安全に登山するため、ストック(トレッキングポール)やヘルメットなどを用意しましょう。
- 携帯電話・ラジオ・無線機は、登山の必需品です。
万が一遭難した際に助けを呼ぶための連絡用通信機を必ず携行しましょう。
GPS機能付きの携帯電話等は救助要請手段として有効ですが、山中では圏外である場合が多く、バッテリーの消耗が激しいため、常に充電状態を確認し、予備電源(電池、モバイルバッテリー等)を用意しましょう。
夏山は、自分でも気づかない間に脱水症状を発症する可能性が高いので、普段の登山時より多めに飲料水を携行し、事前に自動販売機の位置や給水ポイント等を確認しておきましょう。
必ず、事前に緊急時の通信手段を確保しておきましょう。
【参考】必要な水分量(ml)=体重(kg)×行動時間(h)×5
現地の気象や山の状況をしっかり把握しましょう
- 入山前に、現地の気象状況や、登山ルートの状態(閉鎖、変更)などについて確認しましょう。
- 悪天候の場合、視界不良で道に迷ったり、濡れた地面で足を滑らせるなどして転倒・転落・滑落事故が発生する可能性が高くなります。
- 天候以外にも、ガスや霧等の状況に十分注意してください。
- 登山ルートの閉鎖・変更などは、迂回を余儀なくされ道に迷ったり、転落・滑落の原因となることがあります。
登山ルートの閉鎖・変更などを知った場合は、迂回ルートなどを事前に確認しておきましょう。
必ず事前に危険箇所や、トラブル発生時に途中から下山できるルート(エスケープルート)等を把握し、登山中は常に最新の気象情報の把握に努めましょう。
複数人で登山しましょう
- 単独登山は大変危険です。
動けなくなったり携帯電話が圏外の場合など、自分で救助を求めることが困難となることがあります。
転落や滑落などにより登山道から外れてしまった場合でも、他の登山者に気づいてもらうことができません。 - 可能な限り、経験豊富な信頼できるリーダーを中心とした複数人でパーティを組んで登山しましょう。
- 経験豊富な方でも、不測の事態が起きることもあるため、可能な限り複数人での登山を心がけましょう。
複数人で、より安全で楽しい登山を心がけてください。
道迷い防止
- 地図、コンパス、登山アプリ、地図アプリなどを活用して、常に自分の位置を確認するよう心がけましょう。
- 地図の見方やコンパスの使用方法を事前に習得しておきましょう。
- 登山アプリ等と紙の地図を併用することで、より正確な位置を把握することができます。
- 山中は圏外の場所も多いため、登山アプリ等は事前にインストールしておきましょう。
アプリを現地でインストールすると、バッテリーの消耗や通信制限の原因となります。 - 「道に迷ったかも」と思ったら、今歩いて来た道(トレース)を辿り、正規の登山道まで引き返すなど、状況を的確に判断しましょう。
- 自分の位置がわからなくなった場合は、闇雲に移動せず、他の登山者等に助けを求めたり、通報するなどして救助を要請しましょう。
道に迷った場合、不安になり闇雲に動いてしまうことで、さらに複雑な場所に迷い込んだり、滑落や転落をするおそれがありますので、冷静さを保ち、落ち着いて行動しましょう。
滑落・転落防止
- 滑りにくい登山靴を使用しましょう。
- ストック(トレッキングポール)やピッケル等の装備品を日ころから手入れしておき、有効に活用しましょう。
- 気を緩めることなく常に慎重な行動を心がけましょう。
- 悪天候等で視界不良となった場合は、滑落・転落の可能性が高くなることから、闇雲に移動しないようにしましょう。
- 危険箇所やその付近を通過するときは、滑落・転落や上方からの落石等に備え、必ずヘルメットを着用しましょう。
的確な状況判断
- 登山中の視界不良や体調不良時には、道に迷ったり、転落・滑落などの事故に遭うおそれが高くなります。
状況を的確に判断して、早めに登山を中止しましょう。 - 無理をして移動せず、通報するなどしてすぐに助けを求めましょう。
不安を感じたときこそ、早めに状況判断してください。
天候や健康状態に少しでも不安な要素があれば、登山を別の日に延期しましょう。
登山届(登山計画書)の作成・提出
登山届(登山計画書)の作成
- 登山届(登山計画書)は、登山者の氏名、年齢、連絡先、緊急連絡先、目的山域・山名、登山の予定、ルート、携行する食料の量、装備品などを記載します。
- 山岳遭難や行方不明時に捜索の手がかりになるだけでなく、他の入山者からの目撃情報など、捜索に有効な情報を得るための助けになります。
- 作成した登山届(登山計画書)の写しを、家族や職場など身近な人に渡しておきましょう。
- 登山届(登山計画書)は、特に決められた様式はありません。
下記様式は、公益社団法人日本山岳協会のホームページに掲載されている参考書式例です。
登山計画書(PDFファイル) / 登山計画書(Excelファイル)
登山届(登山計画書)の提出
登山届(登山計画書)を作成したら、広島県警察本部地域部地域課指導係又は登山する山を管轄する警察署地域課に、郵送またはFax送信等で提出してください。
県外の山に登山する場合は、お手数ですが、登山する山を管轄する警察本部地域課または警察署地域課にご確認ください。
- 広島県警察本部地域部地域課指導係
- 登山する山を管轄する警察署地域課
(警察署地域課に提出する場合は、登山する山の地域を確認し、事前に連絡してください)
登山アプリで登山計画書を作成する
登山計画書は、登山アプリでも作成することができます。
広島県警察は、令和5年11月6日に、
- 山岳安全対策ネットワーク協議会(登山届受理システム「コンパス」)
- 株式会社ヤマップ(YAMAP)
と協定を締結しました。
山岳遭難等の事故が発生した場合、協定に基づいて、アプリ上に登録された情報を確認し、捜索や救助活動に活用することとしています。
オトモポリスの活用(現在地送信機能)
☝画面をクリックしてください。
外部リンク
内閣官房及び内閣府オフィシャルサイト 政府インターネットテレビ
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