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第1回会議の発言録

印刷用ページを表示する掲載日2011年12月1日

県知事あいさつ(15時00分~)

 広島県「減らそう犯罪」推進会議の開催に当たり,一言ごあいさつ申し上げます。皆様方には,平素から県行政にご協力をいただいているところであり,この場を借りて心から感謝の意を表したいと思います。
 さて,本県を取り巻く治安情勢は,強盗など凶悪な犯罪が増加し,特にひったくりや侵入盗難など県民に身近な犯罪が多発しております。さらには,暴走族等少年非行集団に関わる問題もあるなど,本当に厳しい状況にあります。
 こうした治安の悪化に対しましては私自身も強い 危機感を抱いております。昨年12月には,県民の安全を考える基本的な条例として「減らそう犯罪」ひろしま安全なまちづくり推進条例を上程いたしましたところ,議会でもご賛同をいただき,本年1月1日から施行されているところでございます。
 この条例に基づきまして,この度,県,市町村,県民,事業者及び関係団体等が自由に意見を交換し相互に協力して犯罪の起こりにくいまちづくりを進めるための推進体制として,この会議を設立することといたしました。
 皆様には,委員のご就任をお願い申し上げましたところ,いずれの方々からもご快諾いただいたというふうに聞きまして,まずもって御礼を申し上げる次第でございます。また,今回初めての試みといたしまして,大学生の皆様にもご参画いただきましたことは,大変心強く感じ ているところでもあります。
 私自身,会長を務めさせていただきたいと存じますが,皆様方には犯罪の起こりにくいまちづくりを進め,犯罪を減らすための忌憚のないご意見を出していただき,有意義な会議にしたいと考えておりますのでよろしくご協力賜りますようお願い申し上げます。

出席者紹介(15時05分~):里岡生活安全企画課長

 出席者の紹介に入ります。本日は時間の関係上,お手元の出席者名簿によりましてこれに代えさせていただくことをご了承願います。

県内の治安情勢(15時06分):戸田生活安全部長

 治安情勢と新しい条例の概要について,説明をさせていただきます。

最初は治安情勢でございます。配布資料の1をご覧いただきたいと思います。資料の1でございます。最初に,刑法犯の全国的な認知件数などでございます。認知件数と申しますのは,犯罪の被害にあったと警察に届けられ,警察が犯罪があったと認めた数字でございます。
 1ページの上段をご覧ください。少し小さい数字で見えにくいかと思いますが,平成5年が約180万件,昨年平成14年が285万件と,この10年間で刑法犯が約100万件増加していることがお分かりいただけると思います。
  刑法犯の昨年中の総数285万件余りの罪種別につきましては,資料の中段のとおりでございます。全体の83.4パーセントが窃盗犯でありました。殺人,強盗などの凶悪犯は0.4パーセントでございます。
 窃盗犯の認知件数の内訳は,資料下段のとおりであります。家の中に上がり込まない「非侵入盗」が53.2パーセント,その中で「車上狙い」が18.7パーセントでございます。自転車やオートバイ,自動車などが盗まれる「乗り物盗」,これが全体の32.6パーセントを占めております。

 次は,県内の刑法犯の認知件数,2ページでございます。県内もこの10年間,全国と同様,右肩上がりに認知件数が増加をしております。昨年でございます。5万9,000件余りの刑法犯の発生でございました。
 平成5年に比べまして36パーセント程度増加をしております。ただ,昨年春から「減らそう犯罪!」と県民の皆様に訴えてきておりますが,その成果か,その増加率に一定の歯止めがかかっております。県内の認知件数の内訳,また窃盗犯の手口別の内訳などは資料のとおりでございます。

 次に3ページでございます。治安が悪いと実感するのは強盗などの怖い犯罪ではないかということで,全国と広島の強盗事件の認知件数の推移を示しております。
 昨年,全国で強盗は6,984件,平成5年が2,466件ですから2.8倍の増加,広島でも10年前に比べまして45件,68パーセントの増加でございます。
 強盗事件のうち「路上強盗」の認知件数の推移は中段のとおりでございます。主として女性が被害者となります「ひったくり」の認知件数の推移は下段のとおりでありますが,これも年々増加していることがお分かりいただけると思います。ただ,ひったくりの広島県の認知件数は,一昨年以来暴走族に対する集中的な取締りを実施した効果と思われますが,やや減少傾向になっております。

 次は,ページ3の1であります。身近な犯罪の認知件数であります。この表は,昨年から取り組みました「減らそう犯罪」広島県民総ぐるみ運動を検証したものであります。 「減らそう犯罪」運動では,県民の身近で発生する犯罪「乗り物盗,街頭犯罪,侵入強・窃盗,性犯罪」,これに目標を定めまして,主としてこの犯罪を減らそうと訴えたものであります。ご覧のとおり,「乗り物盗」は20パーセント余り,街頭犯罪の「ひったくり」「車上狙い」も当県では減少してきております。ただ,街頭犯罪のうち「自動販売機荒し」そして「器物損壊」,これが合計しますと1年間で4,351件と大幅に増加をしております。

 次は4ページでございます。国際的な犯罪についてであります。来日外国人の検挙状況の推移等でございます。来日外国人による犯罪が増加しているのもこの10数年の状況でございます。平成13年には1万4,000人余りを検挙しております。平成4年に比べまして55パーセントも増加しております。広島県における昨年の外国人犯罪は下段のとおりでございます。検挙人員が約140人と,この10年間で最多を記録しております。平成5年に比べて2.5倍以上となっております。特に窃盗犯,これはピッキングなどによる空き巣とか事務所荒しであります。1年間で100人を検挙するなど,来日外国人による地方都市を狙った犯罪,これが多発したことがうかがえます。

 次は,少年犯罪であります。5ページです。少年人口が減少しているにもかかわらず,少年による犯罪の多発状況がお分かりいただけると思います。広島県の少年犯罪は,平成10年をピークにやや減少してきております。なかでも少年人口比が減少してきております。次に,暴走族の推定勢力でございます。広島県で暴走族が一番多かったときの平成11年の428人に比べまして,昨年末で163人減少しました。現在では265人と推定しております。
  暴走族の検挙状況は下段のとおりでございます。昨年,県内では4,041人を検挙しました。そのうち929人を逮捕いたしました。逮捕人員はここ数年,全国1位という記録でございます。私どもは暴走族少年に「犯罪を犯せばこうなるんだ」ということを教えるためにも,あらゆる法令を適用して取り締まっております。
 ちなみに,昨年は道路交通法はもちろんでございますが,強盗,公務執行妨害,暴行,傷害,窃盗,暴力行為,ときには決闘罪という明治の罪名を引っ張り出して適用して検挙したり,あるいは覚せい剤,毒劇物,こういった罪名を適用して検挙したところでございます。

 次は6ページ,諸外国との犯罪情勢の比較でございます。治安悪化が叫ばれておりますが,他国との比較はどうかなという観点の資料でございます。統計の取り方は,国によりまして差異がございますが,凶悪犯,殺人,婦女暴行,強盗,こういった罪につきましては概ね比較できるのではなかろうかということでここにお示ししております。
  殺人をみますと,人口10万人当たりの犯罪率からいえば,日本が1,アメリカが6.8,イギリスが2.7,フランスが3.41,ドイツが3.48でございます。婦女暴行,強盗については資料記載のとおりであります。犯罪率からいえば,先進欧米国に比べまして,まだ治安は保たれているとも言えます。
 しかし,この表でございますけれども,これは我が国の統計は平成11年のものであります。犯罪率が欧米諸国に近づきつつあるというのも現実でございます。小泉総理も「安全神話の復活」とこう言われており,治安問題は大きな政治課題の一つともなっております。

 次に条例の概要につきまして,説明を致します。 この条例名をカギ括弧付きの「減らそう犯罪」ひろしま安全なまちづくり推進条例といたしましたのは,県民の皆様にこの運動が浸透しつつあるということ,そして親しみやすく身近に感じていただいていたということもありまして,少しユニークではありますがこの条例名にさせていただきました。

 7ページ以下の条文でございます。この条例は,一言で言えば,犯罪の機会を減らすことによって犯罪者に犯罪を起こさせないこと,つまり犯罪の起こりにくいまちづくりをしよう,とこういう条例でございます。
 そのために,「ひと」,「場所」,「物」という3つの要素を考えまして,前文と8章23条から構成をしております。前文には,犯罪の発生する背景,今取り組むべき決意などを盛り込んでおります。

 第1条は目的でございます。ちょっと条文を読んで見ます。「この条例は,犯罪の起こりにくいまちづくりを推進するため,県,県民及び事業者の責務を明らかにするとともに,それぞれの連携の下に,県民の防犯意識の向上を図り,及び犯罪の防止に配慮した道路,公園,住宅等の普及その他犯罪の防止のために必要な措置を講じ,もって安全な県民生活の実現を図ることを目的とする。」と定めております。
 第2条は県の責務,第3条は県民の責務,第4条は事業者の責務をそれぞれ定めております。
  第5条に「減らそう犯罪の日」を定めております。「県民の防犯意識の向上と県民参加による取組により犯罪の減少を図るため,毎年10月11日を「減らそう犯罪の日」とする。」第2項に「「減らそう犯罪の日」には,犯罪の防止や犯罪の起こりにくいまちづくりについての知識の普及を図るなど,「減らそう犯罪の日」の趣旨にふさわしい活動を実施するものとする。」と定めております。

 第2章は推進体制であります。第6条の規定に基づき,本日この推進会議を設立したものであります。第7条は地域安全推進指導員等の委嘱でございます。「公安委員会は,地域及び職域における犯罪を防止するための取組を推進するため,社会的に信望があり,かつ,犯罪防止活動に関し熱意と識見を有している者のうちから,地域安全推進指導員及び職域安全推進連絡員を委嘱することができる。」と定め,第2項に指導員の活動を定めております。なお,この地域安全推進指導員でございますけれども,各警察署ごとに2名以上の配置を考えております。

 第3章は地域における犯罪防止活動等への支援を規定しております。第8条は地域における自主的な犯罪防止活動への支援,第9条は学生等による自主的な犯罪防止活動への支援,第10条は犯罪発生情報等の提供を定めております。配布資料の一番最後に今年1月6日付けの「減らそう犯罪情報官」制度の新聞記事を載せておりますが,これもこの条例を根拠としまして,警察が捜査のために集めた情報を積極的に県民に提供し,防犯活動に役立ててもらうために設置したものでございます。

 次は第4章でございます。学校等における幼児,児童,生徒等の安全の確保等を規定しております。第11条に学校等における安全の確保,第12条に学校等における安全対策の推進体制の整備を定めております。

 第5章は犯罪の防止に配慮した道路,公園等の普及,第6章は犯罪の防止に配慮した住宅の普及等について規定しております。各条文について,後ほど熟読していただきたいと思います。県による普及や指針の策定などについても定めております。

 第7章でございます。犯罪の防止に配慮した自動車等の普及について規定しております。この章は,県民に身近で,かつ,犯罪被害に遭いやすい「物」に対する対策について定めております。
 第20条は犯罪の防止に配慮した自動車等の普及であります。自動車等の製造又は販売を業とする者は,イモビライザーなど防犯機器を装備するなど,犯罪の防止に配慮した自動車等の普及に努めるものとすると定めております。
 第21条は犯罪の防止に配慮した自動販売機の普及について定めております。犯罪情勢の中でも少し説明をいたしましたが,自動販売機荒しが昨年は一昨年に比べまして2,000件余り増加しておりますことから,この条文を定めたものであります。
 第22条は犯罪の防止に配慮した錠前の普及について定めております。この推進会議に自動車の製造又は販売を業とする者とか,自動販売機の製造業者の方などをお招きしまして,ともに犯罪防止について検討できる機会を持てれば意義あるものと考えております 。

 第8章は雑則,指針の策定手続等であります。県は指針を定め又は変更したときは,これを公表することを定めております。以上が条例の概要でございます。 次の12ページには,この条例の概要を図示しております。

推進会議設立趣旨及び規約説明(15時25分~):加藤防犯指導室長

 設立趣意についてであります。13ページの資料3「設立趣意書案」をご覧ください。
 県条例の第6条を根拠とし,総合的な取組を進めるための推進母体として,広島県「減らそう犯罪」推進会議を立ち上げるという趣旨でございます。 趣意書では,まず,誰もが犯罪被害に遭わない安全な社会は日常生活を営む上での基盤であること,次に社会の匿名性の増大や社会における連帯意識の希薄化,さらには有害情報の氾濫などを背景に,日常生活の場において犯罪が増加し,看過できない状況になっている。これは本県でも例外ではない。
 よって,犯罪の起こりやすい環境が広がりつつある現状を認識するとともに,県民と行政が一体となって犯罪を防止するための取組を進めることが必要不可欠である。ここに,犯罪の起こりにくい広島県づくりを進めるために,この推進会議を設立することを表しております。

 次に,推進会議規約案についてであります。14ページからの資料4をご覧ください。すでに皆様方にはお送りをしておりますので,要点のみを説明させていただきます。
  第1条名称でありますが,条例の名称の趣旨に倣い,また,他の県民会議との混同を避けるという意味から,広島県「減らそう犯罪」推進会議としております。
  第2条は目的ですが,条例第6条に基づき,県,市町村,県民,事業者等が自由に意見を交換し,相互に協力し合って,犯罪の起こりにくいまちづくりのための総合的な取組を進めることとしております。
 第3条及び第4条は推進会議の構成と会議の運営についてであります。会長職には県知事にご就任いただき,また会長を補佐するものとして副会長をおくこととし,会議は会長が必要に応じて招集することや,会長に事故があるときには副会長がその職務を代行することなどを定めております。
 第5条は幹事会についてです。本推進会議の円滑な運営を図るための助言,指導及び協力を行うこととしており,構成員は別紙2,16ページのとおりでございます。
 第6条は事務局ですが,本条例の事務を担当しております生活安全企画課で対応することとしております。 その他第7条で雑則を定めています。

設立趣意及び規約案についての承認(15時30分~)

 異議なし

役員紹介(15時31分~):里岡生活安全企画課長

 本推進会議の規約が承認されましたことから,次に役員紹介に移ります。規約で,会長は広島県知事の職にある者をもって充て,副会長は委員のうちから会長が指名するとなっております。
 会長からはすでに副会長として,宇田県防犯連合会会長,本田広島消費者協会会長,竹花警察本部長の3名の方を指名されておりますのでご報告申し上げます。それでは協議に入らせていただきます。規約によりまして,以後,進行を会長にお願いいたします。

協議「犯罪減少の数値目標設定について」(15時32分~):会長(県知事)

 厳しい治安情勢に立ち向かい,犯罪を減少させるため各方面でご活躍されておられる皆様方に忌憚のない自由なご意見を頂きまして,有効な方策に役立ててまいりたいと考えております。
 それでは,本日のテーマであります「犯罪を減らすための具体的な目標設定」についてご意見等を頂戴したいと思います。
 言うまでもなく,施策を進める上で目標を設定することは重要なことでございます。暴走族対策につきましても,暴走族勢力の半減,暴走族によるい集行為 の一掃,暴走行為の半減という3つの具体的な目標を掲げて取り組んでいるところでございます。犯罪の起こりにくいまちづくりのために総合的な取組を進めていく上においても,具体的な犯罪減少の数値目標を設定する必要があると考えておりますがいかがでしょうか?まずは,竹花副会長の方から数値目標についてどのようにお考えかご意見をお願いいたします。

竹花副会長(警察本部長)

 1つの施策を打ち上げたわけですので,何らかの目標を持って取組むことが成果をあげる上で大事なことだと私は思っております。 しかしながら,この目標を具体的に考えますのは非常に難しいことでありまして,今,皆さん方のお手元に資料5というのがあろうかと思います。この資料の2枚目に「県民の治安に対する意識の変化」という表がございます。これを手掛かりに一応私の方から,こういう考えもあるということを示させていただければと思います。

 これは広島県政の世論調査の過去をずーっと明らかにしたものでございまして,この世論調査では,今後県が行う重点施策について要望をとっておりまして,そこの点線の中に高齢者対策,雇用安定等々27項目の行政の内容が書かれておりまして,それについて「3つ大事だと思うのを選んでください。」というのと,とにかくまず「一番重要だと思うものを選んでください。」というアンケート調査をいたしております。
  その下のグラフに表しておりますけれども,平成14年,一番最近のもので19.1パーセントの方が3つの要望の中に犯罪防止対策というものを掲げておられます。これは,27の要望項目の中で5番目に多いものでございます。それから,一番重要と思うという方が6.7パーセントおられるということになっております。 昭和60年からずーっと見ていただきますと,平成7年にちょっと伸びまして,その後平成8年に少し下がりましたが,平成11,12,14年と高い状況が続いていることがうかがえると思います。

 この平成7年というのは,最近の治安をめぐるターニングポイントとなっておりまして,具体的な事案として,オウム真理教による地下鉄サリン事件が平成7年の3月に発生をいたしております。これ以降,急速に全国的にも治安の問題への関心が高まりまして,全国の世論調査の中でも「日本が誇れるものは何ですか」という世論調査に対して,治安はかねてからずっと一番を示していたんですけれども,平成7年の調査以降,これが1位から転落をして4,5位以降になっているという状況に変化をいたしているわけであります。
 そういう平成7年というのが1つの大きなものだろうと思います。ただ,広島県の場合,平成12年の調査結果が非常に高くなっておりますのは,例の西鉄のバスジャック事件が5月にございまして,その直後の調査だったということもあるのだろうというふうに思うんです。
 そして,ちょっとその前のページを見ていただきたいと思います。そこに,広島県の刑法犯認知件数検討資料というものがございます。この平成7年ごろというのが1つのターニングポイントだと申し上げましたが,それは広島県の刑法犯の認知件数の上昇状況にも表れているようにうかがえます。平成4年に4万件そこそこだったものが,平成7,8年までそのくらいだったんですけれども,平成9年以降,一貫して伸び続ける状況が生じております。

 このような状況の中でございますので,1つの目安としては,この広島県においても平成7,8年ころの数値に戻すということが,治安の復活あるいは安全神話の復活といった内容に相応しいものではないだろうかというふうに思います。
 そういたしますと,平成14年の犯罪の発生件数の3割を減らしていくということが大体の目標になるのではないかと思います。しかしながら,これを1年で実現するのは非常に難しいというものでございまして,3年くらいかかりまして県民の皆さんと一緒になってやっていければいいのではないかと思っております。

 したがって,今後3年間で平成14年の3割減,具体的には4万件そこそこくらいの数字になればいいのではないか,それを目標にしてはいかがだろうかというふうに思っております。
 それが可能なのかどうかということについて考えておかなければいけないんですけれども,厳しいが可能性はあるというふうに私は思っております。
 厳しいといいますのは,実は去年も4月以降,犯罪を減らそうということで,随分私どもも取組んでまいりましたけれども,結局終わってみますとですね,わずかマイナス0.4パーセントに過ぎませんで,実はうちの内部では,犯罪を減らすのは容易ではないという認識を非常に強く持っております。
  しかしながら,県民の皆さん方が総参加をしてやっていただくのは条例ができたこれからではないか,警察一人の努力ではなくて多くの県民の方々のご参加がこれから期待できるわけでありますので,あるいは関係の行政機関等の努力もこれからあるわけでございますので,そうした点が加わっていけば3割減というのは不可能ではないというふうにも思っております。
 そんなことで一応私どもとしては,そんなものかなというふうに考えているわけでございます。これは一つの提案でございますので,ご意見がございましたらよろしくお願いいたします。

会長(県知事)

 ありがとうございました。ただ今,竹花副会長からご意見ございましたけれども,他にご意見ございましたらご自由にご発言をお願いいたします。

戸田委員(生活安全部長)

 今,警察本部長が説明をいたしましたが,この会議にこの3割減を提案する我々には非常に葛藤がございました。
 本部長が言いましたように,これは警察の約束というのではなくこの推進会議の目標として定めるものでありまして,それにしても達成できなかったときにはどうなるんだろうかということもありまして,だいぶ私どももこの数字を出すことに悩んだということもあります。
 広島県の約6万件の犯罪発生の中で,やはり乗り物盗,自転車とかオートバイとかですね,あるいは車上狙い,自動販売機荒しとかそういった数が相当の割合を占めているということもございまして,これは県民の皆様と一緒になってやれば減らせる数字ではなかろうか,こういうことで本部長が今,説明したとおりでございます。
 どうかできれば,我々も実務的には1割か2割くらいにしたいんですけれども,やはり目標は高い方がいいだろうということもあって,今,説明をしたとおりでございます。青木さん,どうでしょうか?

青木委員(中国新聞社編集政策本部長)

 昔,警察まわりをやっておりましたので,事件担当の方にとって,かなり厳しい数字だと思います。
 ただ一方,今,戸田さんの方から話がありましたように,乗り物盗とか自転車盗,僕も家族が何回か盗まれて探したこともありますけれども,そのへんは防犯登録をきちっとしたりとかですね,いろいろなことをきちっと守っていけば,着実にそのへんのことをやっていけば,可能性のある数字かなというような気がします。

池内委員(広島県商工会議所連合会会頭)

 何事も目標がないといけないということはよく分かるんですけれども,今日説明を直に受けて,若干その飲み込みが悪い。
 この推進会議の規約というのが資料4にありますよね。これでは総合的な取組を推進する,会議はこれ,運営はこれ,幹事会はこれ,ということ。内容的にですね,もう少し何をどうするのかというのが,この推進会議のところでは見えてこないわけです。そういう面からして,目標とのつながりはどうなるのかということであります。
 それから,先ほどもお話がございましたように,暴走族が急速に減ってきたのは,これは条例を作ってですね,糧になる罰則の強化を行ったその結果で,こういうふうになっているんです。それで,ここで取り上げている問題は,単に精神的な問題とか,あるいはまちづくり家づくりの物理的な問題だけで解決するというのか,もう一つ,そういうこの罰則の強化と言いますか,取締りの強化と言いますか,そういったものをどのようにされるのか,そこらが総合的にもう少し見えてこないと,目標をいくらにするというのは非常に難しいんじゃないかという感じが,私はいたします。
 作ることに反対しているわけではなく,それは確かに必要だと思いますが,その為にはもう少しその辺りの組立てがいるかな,という感じがしております。

竹花副会長(警察本部長)

 この推進会議の役割については,条例の第6条に推進体制の整備というのがございまして,そこに非常に抽象的ではありますけれども,犯罪の起こりにくいまちづくりを推進するための総合的な取組を実施するためということがございまして,この推進会議はそういうことを実施することが目的だというふうに,一応ここの条例の本文で書かれております。
 規定上はこの文言を具体化したものはおいておりませんけれども,目標を立てるというのは,そうした総合的な取組の実施の一つの手法ということで考えているところでございます。
 それから,二つ目の点でございますけれども,暴走族対策は確かに罰則を作っていただいて,い集の問題について対処したということがございます。けれども,もう一つの手法して,市民の方々と一緒になって様々な働きかけを暴走族に対して行ったという側面もまた一方でございます。
 そういう意味では,あれも総合的な取組だったんではないかというふうに,私どもは思っておりまして,この犯罪を減らすという手法というのは,幾つもあるわけでございまして,現実には警察が犯人を検挙する,しかもその検挙がおっしゃいますように罰則,刑事手法として役に立つような,重いといいますか,そうした重罰にかけられるというようなこともまた一方で必要なことでもありましょうし,また一方で環境整備,会や県民が一緒になってやっていく,とそういうふうな側面もまた必要なんだろうというふうに思います。
 ここでの議論は,この条例はそうした罰則の方向については警察サイドなり,刑事手法の世界で考えるべきことで,もちろんそこに対する様々な提言はこの会議でしていただいてもよかろうかと思うんですけれども,中心的な課題としては,そういう側面よりもむしろ県全体の取り組みとしてやっていくべきことを中心に進めていこうというものだろうと思うんです。
 確かにおっしゃいますように,そうした刑事手法の内容という犯罪を減らすという上で非常に重要なものが,一方でこの推進会議の権限というか責任の範囲の中に十分取り込まれていないのに,目標を掲げるのはどうかという議論は確かにご指摘のとおりで,理由があるというふうに私も思うんですけれども,その部分は警察サイドでの犯罪捜査とかそうした点で,推進会議の一翼を担っている広島県警察がしっかり対応するということで,私どもの対応が足りない部分について推進会議でいろいろとご指摘をいただくと,チェックをしていただくというふうなことで,大方は対応できるのではないだろうかというふうにも考えますので,全体としては推進会議として目標を立てるということはさほどそう大きな,何と言いますか,我々では十分できないことを目標に立てるのはおかしいということにはならないのではないかとも私は思っておりますが,いかがでございますでしょうか。

池内委員(広島県商工会議所連合会会頭)

 実際の推進会議の構造とですね,広く警察の構造とタイアップしてやる,ということであれば。
 たまたま推進会議のあれだけ見るとその辺りがはっきりしないということで言わせていただきました。

会長(県知事)

NPOマンション協会の竹山さんに伺ってみるのですが,ピッキング盗などに対して,ピッキングしにくい鍵に替えるとか,あるいはマンションの玄関等に監視カメラを付けるとか,そういった動きはあるのでしょうか。

竹山委員(広島県マンション協会理事長)

 当協会は,そういう建築の指針を持っておりまして,それでやっておりまして,だいぶ最近のマンションについては,そういうハード面ではかなり防犯マンションとして進んできております。
 特にピッキングについては,昨今話題になっておりますし,いろんな講習会あるいはセミナーでやっておりますので,住民の方,あるいは管理組合の方が非常に関心を持っていただいて,自治体全体でピッキングできない鍵に取り替えるとか,非常に進んできております。
 そういう面では防犯対策はなされているのですけれども,今度は逆にですね,バールを使って壊すとか,最近,ATMが重機ごと持っていかれるようにですね,設備を向上させば,さらにその上をいくような犯罪がやっぱりここにきて起こってきているようで,数は減っておりますけれども,凶悪化といいますか上をいくような形でなされている,というような点も見受けられますので,更に一層,そういったことについてのセミナーであるとか,それに対応するようなことをやっていく,それはコストとかいろいろな面倒がありますけれども,やっていかないと件数がなかなか減っていかないのではと,そういう風に考えているところであります。

会長(県知事)

 イモビライザーの話も出ておりましたけれども,自動車盗難等防止連絡協議会の清田さん,その普及率とかは増えているのでしょうか。

清田委員(広島県自動車盗難等防止連絡協議会会長)

 狙われているのは,人気車ということになるのですけれども,車を売るうえにおいては,人気があるというのは本当にありがたいことですけれども,そういう高級車あるいは人気のある車種につきましては,先ほど戸田部長さんもおっしゃいましたように防犯装備としの標準装備として徐々に,数字はつかんでおりませんけれども,標準装備として備え付けられている傾向にはなっております。
 そのほかにつきましては,いろんな防犯機器とかありますので,個々につけていただく形になろうかと思います。

会長(県知事)

 先ほど,自転車盗の話が出ましたが,実は私の娘が,新品を買っては,その新品を盗まれるということが繰り返しまして,後で聞いてみるとしっかり鍵を掛けてなかったというケースが大部分であったのですけれども,今日は,修道大の濱田さん,女学院大の山本さん,広大の里村さんがお見えですけれども,中学生,高校生時代にしっかり鍵をかけたのに,あるいはチェーンをまいてかけていたのに盗まれたというようなことはありませんでしたでしょうか。
 そういったケースとかありましたでしょうか。

濱田委員(広島修道大学学生)

 ありました。

会長(県知事)

 それはチェーンを掛けていたのですか。

濱田委員(広島修道大学学生)

 チェーンも掛けていましたけれども。駅に置いていたんですけど,一気に車体ごと持っていかれたのです。
  多発していたんです。その駅は。

竹花委員(警察本部長)

それは駐輪場か何かですか。

濱田委員(広島修道大学学生)

駐輪場です。

竹花委員(警察本部長)

 監視している方がおられましたか。

濱田委員(広島修道大学学生)

 いませんでした。

竹花委員(警察本部長)

 屋根がついている駐車場で,雨をしのぐだけの所だったのですね。

濱田委員(広島修道大学学生)

 いいえ,屋根もありませんでした。

竹花委員(警察本部長)

 ああ,屋根もなかったのですか。
 それは,夜盗られたのですか。

濱田委員(広島修道大学学生)

 そうですね,夜から朝にかけてですね。

竹花委員(警察本部長)

 なるほど。

会長(県知事)

 そうなるともうこれは計画的ですね,トラックか何かに積んで逃げるというのは。

濱田委員(広島修道大学学生)

はい,トラックだと言われました。

会長(県知事)

 山本さんはどうですか,自転車を盗まれた経験とか,こうすれば盗まれないんじゃないとか。

山本委員(広島女学院大学学生)

 私は,盗まれた経験はないのですけれども,近所の友達の家に置いてあった自転車を盗ってどこかの駅に行くのに使った人がいるようで,探して近くの駅で見つかったのですけれども,そういうちゃんと家に置いていても盗まれることがあるんだなあと。

会長(県知事)

ありがとうございます。里村さんはいかがですか。

里村委員(広島大学学生)

 私自身は,盗まれた経験はないのですが,賀茂地区の防犯組合連合会の方と活動しておりまして,自転車を盗まれないためには二重ロックをかけるとか,そういう広報を駅の近くで活動したりしているのですが,盗まれる台数が若干減ったということを聞いています。
 駅に行くために,たまたまあった自転車を使うとか,そういう犯罪行為とかを気軽にやってしまう人が比較的いると思います。
 それは本当に犯罪行為だということをもっと広く,若いうちから,小学生のうちから教えていくことが必要だと思います。

会長(県知事)

 他にどなたか意見がございましたらご発言をお願いします。

小川委員(広島経済大学助教授)

 さっきの数値目標,まだ結論が出ていないと思いますので,話を元に戻して申し訳ないのですけれども。
 先ほど本部長のほうから説明がありましたけれども,これまでの懇談会をずっとやって,その間いろんな活動をされたけれども,結果を見たらそれほど減ってなかったとおっしゃっておられましたが,増えなかったということは非常に大きな成果だったのではないかと思います。
 数値目標で,どの数字を目標にするかというのはいろいろあると思いますけれども,一時期下がっていた平成8年あたりまでの数字に戻すというのは,やはり当面の目標とすれば,その数字は合理的なのかなと思いました。
 それと減らなかったということにそれなりの意義があると思うのは,懇談会でいろいろな資料をいただき,説明を受けたましたけれども,広島県は,他県に比べて防犯意識が低いという報告がありました。
 そういうことに対するいろんな働きかけにもなったのだと思いますし,私が資料をださせていただきましたけれども,規範意識について,20代前後の人たちのアンケートをしたのですけれども,これも非常に下がっていたと思います。
 暴走族の取締りなどを通じて,非常に毅然とした態度で,処罰すべきは処罰するという態度で臨んだということに対する評価というのは,いろんな方面から声を聞きますけれども,非常に好意的にとらえられたのだと思います。
 そういう意味では,規範意識の向上にもつながったのだと思います。

 また,最近ピッキングなんかの問題も含めてハード面のことの話がありますけれども,これについても,ここにきていらっしゃるメンバーを通じてハード面の整備ができれば目標達成,具体的な手法についてはこれからになると思いますが,ハードの面,ソフトの面で対策を講じていけば,実現できるかどうかは結果を見ないとわかりませんけれども,数字の設定としては平成8年頃の数値を目標にして3割減を目指すというのは,非常に根拠のある数字だというふうに私は思います。

会長(県知事)

 濱田さんの場合には,チェーンをかけていたのを盗まれてしまったという大変不幸なケースだと思いますが,諸外国に行きますと,チェーンで並木とかガードレールにくくりつけるとか,前の車輪を外して,それだけを持ち歩くとか,そういったことまでして盗難防止をしていますので,日本でも,あるいは広島でそこまでいってほしくないなという気持ちがあります。
 自転車を停めるときは,チェーンをかける,あるいは人気車にはイモビライザーを装備する,さらにはピッキングされにくいに錠に替える,更には,里村さん,小川さんから話のありました防犯意識,というか犯罪意識というものを教えていく,そういったことを県民が総力を挙げてソフト,ハードの両面からいった場合に竹花副会長から話がありました3年で30パーセント削減を目標とするというというのは,大変厳しいラインかと思いますけれども,こういう高い目標を持って努力してみることも重要ではないかと思いまして,これを目標として考えてみてはと思うのですがいかがでしょうか。お諮りを申し上げます。
 ご意見がなければ拍手でいただければと思います。

(全員拍手)

会長(県知事)

 拍手を頂戴いたしまして,ご承認をいただきました。
 従いまして,3年間で30パーセントの減少を目標にして,今後,県民,事業者,関係団体,さらに行政が一体となって各種取組を進めてまいりたいと考えます。
 皆様にも今後より一層のご協力をよろしくお願い申し上げます。

閉会さいさつ(15時50分~):県知事

 本日の予定しておりました議事は終了いたしました。
 委員の皆様方には,今日は,熱心なご議論をいただき,感謝申し上げます。
 設立総会ということで,委員の皆様には,目標設定を中心にご意見をいただきました。
 今後,本会議を毎年,「減らそう犯罪」の日である10月11日,休日と重なるときはその前後に開催することとしておりますが,この会議におきましては各種の取組を皆様にご紹介し,ご意見等をいただくとともに,本日決まりました目標に対する進捗状況の確認の場としたいと考えております。

 いずれにいたしましても,安全なまちづくりは,県民全ての願いでございます。
 安全な県民生活の実現を目指し,犯罪の起こりにくい広島県づくりをすすめて行くために,この推進会議が大きな原動力となりますことを願ってやみません。

 最後に,委員の皆様方には,今後とも,「広島は,安全で住みよい,活力あるまちである」と言われますよう,お力添えこころからお願い申し上げて,お礼のごあいさつといたします。
どうも大変ありがとうございました。

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