記者会見などにおける知事の発表や質疑応答を広報課でとりまとめ,掲載しています。
なお,〔 〕内は注釈を加えたものです。
動画はインターネットチャンネルのサイトでご覧になれます。(別ウィンドウで表示されます)
会見日:平成26年5月9日(金曜日)
(司会)
定刻となりましたので,ただ今から知事会見を開催いたします。
本日の会見の発表項目は,2つを予定しており,「知事の米国訪問の結果について」,「ロンドンにおける対日投資セミナーへの参加結果について」でございます。これより,説明に移らさせていただきますが,ご質問は2つの項目の説明終了後に,まとめてお願いをいたします。
それでは,1項目目,「知事の米国訪問の結果について」知事よりご説明いたします。
それでは,訪米の結果について,まずご報告をいたします。4月24日から4月30日まで行ってまいりました。今回の訪問では,ご承知のとおり,NPT運用検討会議の第3回準備委員会に参加をいたしまして,シンポジウムの開催や国連事務次長等との面談を行いました。また,ワシントンにも行きまして,国家安全保障会議,これはアメリカ政府の国家安全保障会議のWMDテロ脅威削減担当上級部長等と延べ6回会談をし,その他大学での2回の講演等を行ってまいりました。
ニューヨークで開催をしたシンポジウムにおきましては,私から広島県の核軍縮に向けた取組について,ご紹介をさせていただくと同時に,核兵器廃絶に向けた国際世論の喚起に向けた支援と協力を訴えて,各国の首脳,特に,オバマ大統領の広島訪問を強く期待しているということなど,訴えてまいりました。続いて,松井市長から平和市長会議の取組等をご紹介をされました。
今回のシンポジウムは多彩な参加者を得て実施をすることができましたけれども,特にアンゲラ・ケイン国連軍縮問題担当上級代表にもご出席をいただいて,そのご発言の中でも,本県の取組について高い評価をいただいたところであります。ワシントンで行いました政府関係機関等との面談におきましては,国家安全保障会議,先ほど申し上げたWMDテロ脅威削減担当上級部長や,核脅威イニシアティブ,これはニュークリア・スレット・イニシアティブという団体ですが,あるいは外交問題評議会,これは「フォーリン・アフェアーズ」を発行している団体でありますが,等を訪問いたしまして,核軍縮専門家等との意見交換を行いました。中でも,この外交問題評議会,この「フォーリン・アフェアーズ」というのは世界中で外交官が読む雑誌でありますけれども,その意味で非常にアメリカあるいは世界の外交政策に大きな影響力を持つシンクタンクでありますけれども,ここにおきまして,東アジアの安全保障の重要性であるとか,「ひろしまラウンドテーブル」の取組等につきまして話し合って,核兵器の問題を,現在ある現実的なものとして理解してもらう必要があるという意見をいただいたりしたところであります。
また,ニューヨークでは国連開発計画,UNDPですね,の危機予防・復興局長や,オーストリアまたエジプトの政府代表との意見交換を行いました。中でも,オーストリア外務省の軍縮・軍備管理・不拡散部長・大使,タイトルがいっぱい付いているんですけれども,今度の核兵器の非人道性に関する会合の主催をするところでありますけれども,その大使から,本県の取組がNPTの再検討プロセスを推進していく上で極めて重要であって,国際社会に働きかけていくことは大事であるというような評価をいただきました。
また,各国の指導者に広島を訪問してもらうことが重要であるというご意見もいただいたところであります。今回の訪問を通じまして,NPT運用検討会議準備委員会におきまして,広島が一定の存在感を示すことができたのではないかと思いますし,関係者との協議を通じまして,核兵器のない世界に向けた,それを実現するための具体的なプロセス進展に向けた一つのステップになったのではないかと思っております。
それから続いて,ロンドンの「対日投資セミナー」についてですけれども,米国での日程が終了した後に,ロンドンを訪問しまして,ジェトロ主催の「対日投資セミナー」に参加をしてまいりました。これはたまたま〔安倍〕総理の訪英とこの米国出張と日程が合ったということもあり,回ってきたところでありますけれども,本県への投資を呼びかけるプレゼンテーションをさせていただきまして,また,レセプションもあったんですが,そこで広島県産品のPRを行ってまいりました。この「対日投資セミナー」ですが,この〔安倍〕首相のロンドン訪問に合わせて,ジェトロが企画をしたもので,日本への投資誘致を目的として開催されたものであります。そこに本県への参加打診がありまして,ニューヨークにいたということもあり,回って参加をしてきたところであります。セミナーでは,安倍総理も来られて,スピーチをされました。また,経済産業省審議官による講演も行われて,自治体からは,神戸,福岡両市長,それから三重県知事が私の他に参加をして,投資誘致のプレゼンテーションを行ったというところであります。
私からのプレゼンとしては,広島の魅力というのを5つの柱立てで訴えまして,「多様な産業集積の現状」,それから「オンリーワンあるいはナンバーワン企業を生む企業家精神あふれる風土がある」といったこと,また「国際的な人材が集積をしている」ということ,「安心で快適な生活環境がある」ということ,それから「行政の積極的な支援がある」という点,この5つをご説明をさせていただきました。先ほど申し上げたとおり,このレセプションでは,広島の酒やフリーズドライ食品をふるまって,広島の味を,あるいは技術をPRしてきたところでございます。私からの発表は以上です。
(司会)
以上をもちまして,説明は終了いたしました。これより質疑に移りたいと思います。ご質問がございましたら,挙手の上,社名とお名前をおっしゃっていただいてからお願いいたします。
(中国新聞)
中国新聞の金刺です。先ほど,広島の一定の存在感を示すことができたという言及があったんですけれども,広島県知事として初めて参加をされて,もうちょっと具体的にどういう観点で,どういう存在感を示すことができたといいますか,どういうアピールができたといいますか,そのあたりをもうちょっと具体的にお願いします。
(答)
サイドイベントでシンポジウムを開催したわけですけれども,そこで,そもそもの,このNGOの取りまとめをしているNGO〔リーチング・クリティカル・ウィル〕があるんですけれども,そこのメンバー〔代表〕に参加もしていただきましたし,あるいはICAN〔アイキャン~核兵器廃絶国際キャンペーン~〕のメンバーですね,そういったメンバー,それからアンゲラ・ケインさん,それから〔松井広島〕市長,私というようなかたちで,主要なメンバーが揃ったなというところと,聴衆もたくさん来ていただきまして,活発な議論が,時間は少し短かったんですけれども,できたかなと思ってます。で,やはり各国の皆さんは広島というものに対して注目をしていただけるので,2人いると,その分やはり,注目度も高まってよかったのかなと思っております。今,核兵器の非人道性についての議論がやはり関心を呼んでるわけでありまして,そういう観点から,広島の行為というのは重要であると改めて感じることができたところであります。
(中国新聞)
非人道性の関心の高まりというのはあると思うんですけれども,非合法化の壁というのはなかなか高いのかなと思うんですけれども,そのあたり,訪問してみての知事の実感というのはどうでしょうか。
(答)
今回,オーストリアですね,今度,非人道性に関する会合を主催される国でありますけれども,その大使と話をしたときも感じたことですが,というか,大使もおっしゃっていたことですけれども,この非人道性については,認識は,共有は高まっているわけですね。実際に準備委員会でも,たくさんの国がこの非人道性について言及をしてますし,議長サマリーでももちろん触れてあると。アメリカのゴッテモラー国務次官,彼女も核兵器が人間に与える影響を記憶に刻むことは我々の責務であるというようなかたちで発言をされていて,この非人道性への理解というものが,核兵器〔保有〕国を含めて世界に広がっているということは間違いないということだと思います。
そして,ただ,この議論が,非核兵器保有国もそうですし,核兵器〔保有〕国も含めて,全体を分断する動きになっては意味がないということで,オーストリアの大使も,これが核兵器保有国とそれから非核保有国が一つの方向に力を合わせていくと,そういうものになっていくということが重要であるとおっしゃっていて,私もそのとおりだなと思うわけですけれども。これに対する「じゃあどうしたらそうなるのか」という解は,すぐにありませんけれども,広島は一つの触媒になりうるんじゃないかという肌触り感というか,そういうものもありますので,今後また,どういうことができるかということを考えていかなければいけないと思いますし,本県としては,「ひろしまレポート」についても非常に皆さんに高い評価をいただいて,そういったもの,あるいは,ひろしまラウンドテーブル等の取組を継続することによって,広島の発言力をさらに高めていって,触媒としての機能をより果たしていくと。で,核兵器廃絶に向けた状況を少しでもいい方向に進めていくということをやっていかなければいけないのかなと思ったところであります。
(中国新聞)
非合法化に関しての受け止めは。
(答)
今,それが答えです。
(中国新聞)
ひろしまレポートの話もありましたけれども,具体的にどういう高い評価があがったのかというのを教えて頂けますか。
(答)
やはり,まとめて各国がどういうことをしているのかというのを見れるというのは,レファレンス〔参考文献〕としては,まず便利であるということですね。そして皆さん,大使も,うちがどういうふうに評価されているのかということはやっぱり気にされるので,そう意味で,行動に少なからぬ,少なくとも心理的影響は与えているのかなと思いました。
(中国新聞)
その中で例えば,うちの評価が低いとか,これはちょっと理解が足りてないんじゃないかとか,そういう批判的なものというのはあったんでしょうか。
(答)
まあ,すごく低い国と,エジプトは実はあまり必ずしも高くないんですけれども,それについて積極的な議論をする機会はありませんでした。
(TSS)
テレビ新広島 若木です。会議のほう,委員会のほう,本会のほうも傍聴されたと思うんですけれども,各国のやり取り,立場,地域によっていろいろあると思うんですけれども,改めて感じられた課題であったり,世界から見る核兵器を取り巻く状況の壁みたいなものを肌で感じたことがあれば教えてください。
(答)
そうですね。やはり,皆さんと,いろんな関係者とお話しする中で,一つは米ロの二国間のプロセスというものも進んでいないと。これは一部には,やはりクリミアの問題が大きく影を落としているということも含めて,あると。それから,そういう中でさらに多国間による協議をしていくというようなものはさらに難しいというような印象はありまして,核兵器廃絶に向けた具体的なステップを進めていくということは,非常に難しい状況であるということは,やはり改めて感じましたし,先ほどの非人道性と非合法性についての意見の相違というものが,いろんなかたちで分断,この核兵器廃絶に向けた努力を分断させかねないような印象を多くの人が持っているということも,一つの課題じゃないかなと思います。それは核兵器〔保有〕国が特に,そこに対して距離を置いているということですよね。そういう中で,先ほども申し上げたとおり,こういった動きがむしろ一体化させていく,これはアメリカも言っていることなんで,そういう動きにどうしていけばいいのかということを考えていく必要があるんだろうなというのを,改めて感じたというところですね。
(NHK)
すみません,NHKです。今回は準備委員会でしたけれども,次はもう本番のNPT再検討会議が巡ってきます。今回のご経験を踏まえて,次までに知事として,改めてこういうところを訴えていかなくちゃいけないなと,次はこうしたいと思ったところが今回の訪問で生まれていれば,そういうところを教えていただきたいなと。
(答)
それについては,もう少し整理をしていかなければいけないと思ってますけれども,一つは,やはり改めて,広島の発言については耳は傾けていただけるということですね。これは今回のNPT会合だけではなくて,いろんな場面でそれは過去感じているところなので,これをどういうふうにやはり使っていくかということは考えていかなければいけないし,それが今の非人道性の議論を,核兵器廃絶に向けた前向きな動きにつなげていく必要があると。核兵器の廃絶というのは核兵器〔保有〕国にしかできないわけですね。いかに核兵器〔保有〕国を巻き込んでいくかと。そこに広島の役割ということがありうるんじゃないかということで。じゃあ具体的に何というのはなかなか,まだわからないというか,これから整理して,考えていかなければいけませんし,広島市とも話をする話ですけれども,それは来年までに整理できたらいいなとは思います。
(NHK:橋本)
すみません。そうですね。知事と松井市長とで役割分担をしながら,この広島というものをアピールして伝えていかなくてはいけないという発言もされてましたけれども,被爆70年も巡ってきますし,再検討会議もありますし,松井市長との役割分担を踏まえていく上で,この1年間,まだ決めていないと思いますが,どういうふうにしていきたいなと,話を深めていきたいなというのはありますか。
(答)
これまで広島市と,松井市長との間で,こういうかたちでやっていきましょうという,別に明示的な合意があるわけじゃありませんけれども,お互い共通認識として持っているのは,広島市としては被爆の実相を強く伝えていくというか,訴えていくということであって,県はそれを踏まえて,じゃあどういう行動とかどういう影響力だとかということを発揮できるかというところを行動していくというかたちになっていますので,それを踏まえた上で,例えば,よりたくさんの,松井市長もおっしゃっていますけども,為政者,あるいは各国のリーダーにどう来てもらうかとか,来てもらって,実態を見てもらう,実相を見てもらうということが大事なことだし,それは市と県で協力してできる話でもあると思いますし,また,今,申し上げたようなこの核兵器〔保有〕国をいかに巻き込んでいくかというようなことは,これはひょっとすると県が主に働きかけを行っていくようなことかもしれません。
ただ,いずれにしても,ちょっと繰り返しになりますけれども,この非人道性に関する議論というのは広島から見たら,「もう70年間言ってますよね」ということではあるんですが,それが一つの政治的な,何というか,種みたいなものになっていると思うんですよね。それをどううまく,うまい方向に育てていくかということですよね。これを考えていきたい。そのために当面できることというのは,やはり広島の発言力を高めていくということなんで,今の「ひろしまレポート」であるとか,ラウンドテーブル等の取組をしながら,それをさらにまた,皆さんに伝えていくということをまずやっていきたいと思ってます。
(広島テレビ)
広島テレビの長島です。知事も出席された準備委員会が,会期は現地時間の5月9日までということで,今まさに最終盤ということになるわけなんですけれども,今回知事が参加されて,来年のNPTに向けて,最終的な議長の取りまとめ,どういうかたちになるかはわかりませんけれども,どういう方向のまとめ方をしてくれればいいなというような期待感みたいなものがあるかという部分と,知事がサイドイベントなど,NGOなどと接触して,いろいろアピールした部分もあると思うので,そういうものを踏まえて,こういった形で次のNPTを迎えてほしいというような期待があれば教えてください。
(答)
私の期待としては,今回の議長サマリーになるのか,あるいはこのレコメンデーション〔勧告〕の採択になるのかということはわかりませんけれども,この中には入ってこないと思うんですが,やはりより多くの人に広島・長崎を訪れていただきたいということが一つですね。で,これは必ずしも議長サマリーに入らなくても,あるいは最終的なドキュメントに入らなくても,それはまたできることなので,その上でレビュー会合が行われると,また一つのインパクトになるんじゃないかなとは思います。それから,オーストリアで,この非人道性に関する会合もあり,この中でやはりどういう議論されるかということなんですけれども,それが来年に向けて各国の機運を高めていくようなかたちで進めばいいなと思ってます。
(広島テレビ)
もう1点なんですけれども,知事がサイドイベントで,オバマ大統領の被爆地訪問を期待するというようなメッセージも送られましたが,知事がニューヨークなりワシントンなりでアメリカ,特にアメリカの方々とお話をする中で,そういったものに関する感触であったり,あるいはそういうお話をもし他にもした機会があるのでしたら,その実現可能性みたいなものについて,どのように感じられたか教えてください。
(答)
これはオバマ大統領ご本人も,いろんな場面で常々おっしゃってることですけれども,いずれは広島を訪問したいという,そういうことは,例えば,秋葉〔前広島〕市長が話をした時にそういう話があったりとか,含めて,いろんなサインは出てると思うんですよね。で,今回も,お会いしたのはやはり主に核軍縮であるとか,〔核〕不拡散の関係者が多いので,やはりそういう方々は,その象徴的なオバマ大統領の訪問,そして当然そこでは何らかのやはり新たな前向きな,核兵器削減なり,核廃絶に向けた意思表明とか,何らかのアナウンスメントを期待がされるわけなんで,そこに期待したいという気持ちは私もいろんな場面で感じたところです。それが,だからどう具体化されていくかということは,そうはいっても,いろんなアメリカの,これから選挙があるとか政治状況もあるので,わかりませんけれども,関係者にとっては,それは一つの実現したいことであるという感覚は,私は受けました。
(司会者)
すみません。予定時刻が迫ってまいりましたので,そろそろ最後の質問とさせていただきたいと思っておりますが,その他質問いかがでしょうか。
(中国新聞)
中国新聞です。オーストリアでの非人道性の会合ですね。知事が出席なりする,そういった意向があるのかという点と,あとオバマ大統領の意思表明を期待されるという話がありましたけれども,そこでやっぱり原爆投下に対する謝罪みたいな,そういったものを求めるような,そういう知事の考えがあるのか,その2点をお伺いしたいのと,あと最後にすみません,今回,準備会合に先立って,各種専門機関の専門家と意見を交わしたと思うんですけれども,そのやり取りの中で,今後の広島の施策について,何か参考になるような話があったのかどうか,そのあたりもお伺いできたらと思います。
(答)
まず,オーストリアの会合は日程も表明がされまして,12月の7,8〔日〕だったっけ,7,8〔日〕ですよね(職員に確認),7,8〔日〕でおそらく〔県〕議会中なので。(職員が日程を8,9日と回答)8,9〔日〕か。8,9〔日〕なので,おそらく議会中,ないしはそれに接着しているタイミングですから難しいと思ってます。それからオバマ大統領が来た時に謝罪を求めるかということについては,謝罪をしてもらうということが訪問のハードルになるのであれば,私はそれよりも前向きな核兵器廃絶に向けた表明をしていただくほうが重要ではないかと思っています。
それから,関係者との意見交換の中でのことですけれども,いろいろ,今回,協力ができることがあるんではないかなと,NTIであるとか,あるいは他の団体等含めて,協力できるようなことがあるんじゃないかということもありましたので,そういう意味で,これからそういう側面を模索をしていきたいなと思っているところです。
(司会者)
その他よろしいでしょうか。それでは以上をもちまして,知事会見を終了いたします。ありがとうございました。
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