記者会見などにおける知事の発表や質疑応答をブランド・コミュニケーション戦略チームでとりまとめ,掲載しています。
なお,〔 〕内は注釈を加えたものです。
動画はインターネットチャンネルのサイトでご覧になれます。
会見日:令和4年2月10日(木曜日)
(事務局)
それでは,ただいまから,令和4年度施策及び事業案の概要の発表を行います。それでは,湯崎知事お願いいたします。
(知事)
令和4年度の施策及び事業案の概要についてご説明いたします。まず,はじめに基本的な考えをお示ししたいと思います。ちなみに初めて〔記者発表に出席する記者〕の方〔は〕,何で施策及び事業案の概要というふうになっているかということをご存じないかもしれないので,一応,簡単にご説明しておきますと,本県では予算発表と言わずに施策及び事業案の概要というふうに言っています。それは,要するに来年度何をやるのかということが重要だということで,予算というのはそれに付随してくるものでありますので,予算ではなくて,何をやるのかという観点から発表させていただくということで,こういう名前になっています。それで,あらためてですけれども,令和2年10月に「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」を策定いたしまして,本県の10年後の目指す姿をお示ししたところであります。令和4年度は,まずは,喫緊の課題であります「新型コロナウイルス感染症」への適切な対応ということを行ってまいります。そして,第2に「アフターコロナを見据えた社会・経済の発展的回復」,第3に「新型コロナなどにより顕在化した構造的な課題への対応」に注力してまいります。また,ひろしまビジョンで掲げております「それぞれの欲張りなライフスタイル」を着実に実現していくための施策などを推進してまいります。〔それ〕で,四つの柱ごとに,それぞれの主な施策等をご説明させていただきます。まず,「新型コロナウイルス感染症への対応」ですけれども「感染拡大防止対策」,「医療提供体制の確保」を中心に,感染を最小限に抑えながら,一日でも早く日常生活を取り戻すための感染症対策を徹底的に取り組んでまいります。また,コロナ禍により,事業等に深刻な影響を受けている方に対しては,「事業継続と雇用対策」に向けた支援にも取り組んでまいります。これらの中で,特に注力して取り組んでいく事業のいくつかをご紹介いたします。まず,感染拡大防止対策については,感染拡大の兆候を早期に把握し,感染者をできるだけ早い段階で療養に結びつけて,感染の拡大を抑えこむためには,幅広く検査を行うことが重要であります。そのため,本県では,早い段階から検査体制の充実に取り組んでいるところでありますけれども,引き続き,医療機関での検査体制の整備や,ドライブスルー型のPCRセンターの設置,検査キット等を配付する臨時PCRスポットなどの整備を進めます。続いて,医療提供体制の確保でありますが,オミクロン株のような急激な感染者の増加も見据えて,入院病床や宿泊療養施設を最大限確保することや,重症化リスクのある方への薬剤投与,自宅で療養される方への健康観察やオンライン診療などの体制を今後も引き続き確保してまいります。続いて,事業継続と雇用対策でございます。コロナ禍によりまして,現在も多くの事業者の方が,厳しい経営状況に置かれております。このような状況下におきましても,アフターコロナを見据えた経営革新に取り組む,意欲的な事業者の皆さまを支援することで,経営基盤の強化を図る他,離転職者等を雇用する建設事業者の方への助成により,地域経済の回復と,さらなる活性化に繋げてまいります。次に「アフターコロナを見据えた社会・経済の発展的回復」についてであります。新型コロナによって,地域社会や県民生活〔は〕大変なダメージを受けております。そのため,まずは,県民生活をコロナ前の状態へ回復させていくことや,コロナ禍によって困窮している方への支援を行う「社会の修復と発展に向けた取組」を進めてまいります。また,新型コロナのような社会・経済の情勢の変化に的確に対応できる新たなビジネスモデルの創出に向けた「経済の発展的回復」に取り組んでまいります。まず,社会の修復と発展に向けた取組につきましては,長期化するコロナ禍の中,生活や健康面などのさまざまな悩みを抱えた県民の方々を孤立させない,取り残さない社会の構築に向けた取組を推進いたします。そのためには,本人や家族に寄り添った,きめ細かな支援に取り組んでいく必要がございます。このため,まずは,コロナ禍において,生活への不安や心の悩みなどを抱えている県民の方々に対し,専門の相談窓口での相談対応などを継続しながら,地域で困っている方を支援している方々のスキルアップ研修などを実施いたします。また,外出自粛などにより,住民同士の繋がりの希薄化が懸念されていることから,地域で支え合うコミュニティづくりや担い手の育成支援に取り組むとともに,これまでの取組の振返りや,地域活動の実態把握を進めながら,今後の施策展開の新たな方向性について検討してまいりたいと考えております。また,妊産婦や子育て家庭につきましても,他者との交流機会が減少して,孤独や不安を抱えやすい状況となっております。安心して妊娠・出産・子育てできる環境づくりが求められているところです。このため「ひろしま版ネウボラ」について,実施市町を現在の13市町から拡大するとともに,全県展開に向けまして,評価検証を行いながら,市町における取組の改善・強化を図ってまいります。さらに,AIを活用した子供の予防的支援について,府中市と府中町において,アセスメントから支援に繋げるまでの一連の取組を試験的に実施するとともに,海田町と三次市において,導入に向けた準備を進めてまいります。続いて,経済の発展的回復に向けて,新型コロナなど,急激な社会情勢や環境の変化にも対応し,持続的に発展していける「イノベーション立県」の実現を目指して,アフターコロナを見据えた新たなビジネスモデルの構築を進めるとともに,新型コロナによる社会・経済の変化や人口減少の進展にも耐え得る強靭でしなやかな産業構造の実現に取り組んでいく必要がございます。このため,コロナの影響などを踏まえて,新事業展開や業態転換等に意欲的な県内企業に対し,アフターコロナを見据えた経営戦略の作成や組織改革などについて,コンサルタントによる伴走型支援を行ってまいります。また,「イノベーション創出拠点」の形成にも取り組んでまいります。こちらは,アフターコロナを見据えた取組でありますとともに「それぞれの欲張りなライフスタイルの実現」に向けて従前から取組を進めているものなので,後程,詳しくご紹介いたします。強靭でしなやかな産業構造の実現に向けて,観光の分野では,多様化する観光ニーズを踏まえ,観光関連事業者のみならず,IT関連など幅広い事業者と連携しながら,本県ならではの価値を体験できる多彩で魅力的な観光プロダクトの開発に取り組んでまいります。また,おもてなしの質向上に向けた受入環境の整備,安全安心情報や観光プロダクトをターゲットに応じた最適な媒体や手法を用いて効果的に発信することにより,広島の魅力を自発的に発信してもらえる広島ファンの増加を図ってまいります。また,デジタル化やカーボンニュートラルといった環境変化に対応するための前向きな研究開発を行う県内のものづくり企業を支援してまいります。次に「新型コロナなどにより顕在化した構造的な課題への対応」についてです。新型コロナによりまして,人やモノが首都圏に集中し,そこで感染拡大が起きた場合には,日本全体の社会・経済活動へ大きく影響を及ぼすなど,東京一極集中といった構造的な課題が一層顕在化いたしました。このため,東京一極集中の解消に向けて,「適切な分散」と「適切な集中」のそれぞれの創造,本県では,これを「適散・適集社会の実現」と名付けているところでありますが,この実現に向けた取組を加速してまいります。また,近年の気象災害の激甚化・頻発化に対して,県民の命を守り,社会・経済への影響を最小限に食い止めるため,デジタル技術なども活用しながら,ハード・ソフト両面から対応してまいります。さらに,コロナ禍において,テレワークやインターネット購入等が促進され,デジタル技術の有効性が明確となった一方で,その活用が不十分であるという課題も浮き彫りになったところです。このため,さまざまな分野において,デジタル技術を積極的に活用した取組を推進することで,これまで以上に,県民生活の利便性,生産性の向上を図ってまいります。ここで少し「適散・適集社会」についてご説明したいと思いますが,まず,「適切な分散」である社会とは,過度な密を避けることで,安全・安心な生活が確保され,美しく豊かで,落ち着いた環境の中で生活ができる社会と考えております。次に「適切な集中」である社会とは,一定規模で人が集積することによって,文化や知が創造され,人と人が相互に磨き合って,自らをより高めることができる社会と考えています。本県では,「都市と自然の近接性」という特性を最大限に生かして,自由度と満足度の高い暮らし方と働き方ができる「適散・適集社会の実現」を目指してまいります。「適散な社会」については,デジタル技術を活用することで,時間や場所に捉われない暮らし,あるいはその制約を乗り越えるような暮らしの実現を目指して,暮らし,働き続けることができる中山間地域を構築するとともに,主体的に地域課題の解決に取り組む人材を育成してまいります。暮らし,働き続けられる中山間地域の構築については,企業のサテライトオフィス進出に向けた「お試し勤務施設」整備への支援や企業が求める人材の確保に向けた「コワーキング施設」の整備の他,地方への進出を検討している首都圏企業と,U・Iターン希望者とのマッチングなどに取り組んでまいります。また,公共交通の利便性・持続可能性の向上に向けて,県内へのモデル展開を目指す「広島型MaaS」について,安芸太田町での定額タクシーの導入に加え,庄原市でのAIデマンドバスの実証実験の検証を行ってまいります。さらに,これらの実証実験の導入効果検証や,公共交通データ,行政データの集積などによって,モビリティデータの活用に向けた仕組みづくりに取り組んでまいります。地域課題の解決に取り組む人材の育成に向けて,今年度開催いたしました「ひろしま さとやま未来博2021」の参加者を対象に,地域づくり活動の実践者との活動機会を設け,参画を促進してまいります。また,「ひろしま≪ひと・夢≫未来塾」による人材育成や「ひろしま里山グッドアワード」による好事例の表彰などに引き続き取り組むとともに,新たに「チーム500」の登録者による地域に密着した活動の立ち上げ支援を行ってまいります。続いて,「適集な社会」の構築に向けてでありますが,多様なイノベーションが創出される知の集積・集合を進めてまいります。そのため,新たなソリューション創出に繋がっていく,イノベーション人材の育成と集積に取り組んでまいります。具体的には,イノベーション人材の育成と集積に向けて,いわゆる「ひろしまサンドボックス」の取組につきまして,新しい技術等の実証を行う際の規制緩和に向けた取組や市町における地域課題の解決に向けた実証プロジェクトを実施いたします。また,首都圏スタートアップ企業と県内中小企業等とのマッチングイベントやメディアプロモーション等に取り組みます。あわせて,デジタルマーケティングを活用したウェブによるプロモーションを強化することで,企業の投資促進やデジタル企業の集積を促進してまいります。気象災害等への対応については,県民の安全・安心を支える総合的な県土の強靭化を目指し,災害に備え,命を守るための適切な行動を促していくこととともに,防災施設の着実な整備など,ソフト・ハードの両面から取組を進めてまいります。まず,ソフト面ですが,県民一人一人が災害から命を守る適切な行動を促進するため「ひろしまマイ・タイムライン」を活用した出前講座を小学校に加えて,新たに中学校で実施してまいります。また,防災アプリをより多くの県民の皆さまに活用していただけるよう,梅雨や台風シーズンなど, 自然災害への意識が高まっている時機を捉えて, 効果的なプロモーションを展開してまいります。また,ハード面では,平成30年7月豪雨や,令和3年7月・8月豪雨等による被災地の早期復旧・復興に向けて,引き続き,公共土木施設等の災害関連工事に全力で取り組んでまいります。デジタル化への対応につきましては,コロナ禍において,社会に急速にデジタル技術が浸透してきている中,それらを有効活用し,県民生活の利便性や生産性の向上を図ってまいります。具体的には,デジタル技術を活用した社会機能の維持に取り組むとともに,デジタル化を支える人材の育成支援に取り組んでまいります。デジタル技術を活用した社会機能の維持については,先般,新型コロナに感染された自宅療養者への医療提供を行うために開設した「広島県オンライン診療センター」における実績を踏まえて,オンライン診療・服薬指導に必要なコンプライアンスや有効な事例を紹介するセミナーを開催いたします。続いて,デジタル化を支える人材育成について,いわゆる「リスキリング」を産業界全体で推進するため,デジタル基礎知識でありますITパスポートの取得支援を行うとともに,産学官等で連携し,円滑な労働移動の実現に向けた対応策を検討してまいります。最後に,これまでも継続してまいりました,ビジョンに掲げる「それぞれの欲張りなライフスタイルの実現」に向けた取組のうち,来年度,注力して進めていくものをご説明いたします。「それぞれの欲張りなライフスタイルの実現」に向けて,ビジョンに掲げる,「安心」,「誇り」,「挑戦」の三つの柱に基づき,引き続き,取組を進めてまいります。まず,県民の皆さまの不安を軽減し,安心して暮らしていける社会の構築に向けて,ご自身の健康や子育てに関する不安を取り除くこと,あるいは,安心して生活できる環境や社会基盤の整備に取り組んでまいります。まず,県民の健康づくりに向けては,今年度開始したAIやアプリを用いて行動変容を促す実証試験について,短期間での評価・検証を行い,繰り返し介入内容を見直すことで,より効果的な介入方法や効果に関するエビデンスを蓄積してまいります。次に,子供の可能性を引き出す,主体的な学びの実現に向けて,幼児教育・保育の現場で,日々の振返りに活用するための乳幼児期に育みたい「5つの力」を評価する指標の開発や,幼稚園や保育所等と小学校が子供たち一人一人の育ちを共有し,教育に活かしていくため,小学校教員による保育参観などを推進してまいります。環境の分野では,国の温室効果ガス削減目標の引き上げを踏まえ,広島県地球温暖化防止地域計画を見直し,新たな再生可能エネルギー導入目標などを設定いたします。あわせて,新たな目標の達成に向けた施策の検討の基礎とするため,太陽光等の再生可能エネルギーの県内での導入可能性を調査いたします。県民の生活を支える社会基盤の一つであります水道事業について,市町と県で構成する水道企業団の令和4年11月の設立,令和5年4月の事業開始に向けて取組を進めてまいります。また,県民の皆さまが「ひろしまに生まれ,育ち,住み,働いて良かった」と「誇り」を持って暮らしていける広島県の実現を目指す取組を進めてまいります。例えば,広島から,世界に羽ばたき大きく成長することを志す,ユニコーンと呼ばれるような有望なスタートアップ企業を対象にした成長支援,国内外の企業や投資家の広島進出を促すためのプロモーションを実施するなど,世界に選ばれる「イノベーション創出拠点ひろしま」としての活動を推進してまいります。また,農業分野においても,経営体等の「稼ぐ力」を高める新たなビジネスを創発する取組を推進いたします。具体的には,生産から販売に係るバリューチェーンを構成するさまざまな事業者,それから経営体が連携して,新たなビジネスを創発するプロジェクトの立ち上げや新サービス及び新商品の提供などに繋げてまいります。さらに,核兵器廃絶に向けた「ひろしま」の使命を果たす取組として,世界的研究機関との共同研究を進めながら,ポストSDGs国際交渉に関与する各国政府をメンバーとする,「フレンズ会合」の立ち上げに向けた準備に取り組んでまいります。最後に,県民の皆さまが,それぞれの夢や希望に「挑戦」していくための後押しとなる取組として,広島の強みを生かした新成長産業の育成に取り組んでまいります。具体的には,環境・エネルギー産業において,ベンチャーキャピタルやアクセラレータ等と協業し,県内企業と海外のスタートアップ企業とのマッチングによって,新たなプロジェクトを創出し,県内企業の海外展開を加速させます。加えて,本県がカーボンリサイクルの先進地域となるよう,本県を舞台にした研究・実証の支援に新たに取り組むとともに,産学官の共同研究やプロジェクト創出を目的としたマッチング支援を行います。先ほど,ご説明した再生可能エネルギー導入を促進する取組ともあわせまして,カーボンニュートラルに向けた取組を推し進めてまいります。ここまでご紹介してきました施策や取組に関しては,三つの視点を持って,企画・立案を進めてきたところであります。「ひろしまビジョン」では,「子供・子育て」から「環境」の17の施策領域のすべてに対しまして,「先駆的に推進するDX」,「ひろしまブランドの強化」,「生涯にわたる人材育成」の三つの視点をもって,取り組むこととしております。まず「先駆的に推進するDX」の視点ですが,DXにより,県民に暮らしや仕事の中での利便性の向上を実感していただくため「仕事・暮らしDX」,「地域社会DX」,「行政DX」の三つの柱で取組を進めます。仕事・暮らしのDXでは,仕事や暮らしに関わるさまざまな社会課題の解決や産業等における生産性向上などを目指します。地域社会のDXでは,中山間地域をはじめ,地域が抱える課題を解決するなど,地域の魅力向上を目指しております。行政のDXでは,行政サービスにおけるデジタル化などにより,県民の利便性の向上や業務の効率化を図ってまいります。令和4年度のDX関連の取組の一部ですが,全体で46事業,約53億円規模で実施いたしまして,さまざまな分野でのDXを試行錯誤しながら取組を進めてまいります。続いて,「ひろしまブランドの強化」の視点です。ひろしまブランドを高めていくことは,世の中から評価され,選ばれ続けている未来の広島県を創造していくことに繋がってまいります。そのためには,県民の誇りを高めていくこと,また,国内外から「ひろしまは元気にあふれ,美味しさの宝庫であり,暮らしやすい」というブランドイメージの共感を獲得していくことが必要であると考えておりまして,本県の強みであります独自の資産を磨き上げ,その価値を効果的に発信していくことが重要となってまいります。次に,広島県の強みである独自の資産としては,特に,これらの六つの項目が,県内や首都圏において,共感度の高い価値として認識されております。そのため,それぞれの取組で磨き上げられた価値を発信し,ひろしまブランドの強化に繋げてまいります。なお,先ほども述べましたけれども,ひろしまブランドの強化という視点は,すべての施策を貫く視点でありまして,こちらで掲載している取組だけでなくて,すべての施策が「ひろしまブランド」の強化に繋がるという認識のもとで,それぞれの取組を進めてまいります。次に,さまざまな施策や取組を推進する原動力となるのは,県民の皆さまを中心とした,本県を支えるさまざまな人であります。皆さま一人一人が,将来の広島県を支える「人財」として,活躍していただくためにも,将来にわたって,能力と可能性を最大限に高める人材育成に取り組んでまいります。そのためにも,乳幼児から高齢者まで,県民のすべての世代において,そのライフステージに応じた,人材育成の取組を進めてまいります。令和4年度の主な施策と事業案については,以上でございます。最後に,令和4年度当初予算案の概要についてご説明いたします。当初予算の規模は1兆1,440億円で,前年度から502億円の増となります。なお,これらに加え,国の補正予算を活用した令和3年度の補正予算,これは12月補正と2月補正が含まれますが,この補正予算と一緒に編成したことで,これらをあわせた予算規模は総額1兆1,931億円となっております。このうち,「新型コロナウイルス感染症への対応」には926億円,「アフターコロナを見据えた社会・経済の発展的回復」には304億円,「新型コロナなどにより顕在化した構造的な課題への対応」には849億円,「それぞれの欲張りなライフスタイルの実現」には1,094億円を計上するなど,重点施策にしっかりと着実に取り組んで行ける予算としております。令和3年度当初予算からの主な増減要因をお示ししますと,こちらのグラフのような形になるのですが,まず,法的義務負担経費は減少する一方で,僅かながら減少する一方で,新型コロナウイルス感染症対策費が増加しております。〔資料の54ページを指して〕こちらです。これが減少額です。これが新型コロナの対策分として,これだけ増加しております。〔それ〕で,次に災害関連として,今年度の7月それから8月の豪雨災害への対応によって増加がありまして,一方で,平成30年7月豪雨災害対応については,事業の進捗に伴って減少しております。〔それ〕で,合計としては,〔資料の54ページを指して〕これだけ増えているということです。それから,優先順位の低い事業の休廃止など徹底した経営資源のマネジメントを行った上で,重点施策などの推進に必要な政策的経費を確保したところでございます。〔それ〕で,重点〔施策〕分を積みまして,結果〔資料の54ページを指して〕こうなっているというところです。そこに補正予算が入って,合計がこちら〔のグラフ〕になるという,この積み上げになっております。令和4年度は,これら四つの柱を中心に据えて,ビジョンの掲げる目指す姿であります「それぞれの欲張りなライフスタイルの実現」に向けて,全力で取り組んでまいります。私からの説明は以上でございます。
(事務局)
それでは,発表事項に関する質問に入らせていただきます。終了時間は,概ね12時を予定しております。質問のある方は,おそれいりますが社名等を名乗られてからお願いいたします。また,ご質問いただく際に資料番号とページ番号をお示しいただくようお願いします。それでは,ご質問のある方は,挙手をお願いいたします。
(NHK)
NHK重田です。2点お伺いさせてください。ご説明いただき,あらためてにはなるのですけれども,端的に言いますと,この新年度の施策事業案というのは,どういう狙いがあったり,どういう特徴があるのか伺わせてください。
(知事)
これはまず全般ご説明させていただきましたけれども,一つはやはり新型コロナウイルス対策というのをしっかりと行うということと,それに伴って,このコロナの状況ですから,いろいろと社会的・経済的に傷んだところがありますので,そこをしっかりと下支えをする。〔それ〕で,その上で,社会経済の発展的な回復を目指していく。ここがまず,新型コロナ関連として,非常に重要な部分です。〔それ〕で,それからこれはビジョンと一体化していくところになりますけれども,コロナでいろいろな構造的な課題というのが浮き彫りになってきているところでありまして,東京一極集中の問題であるとか,あるいはデジタル化が進んでいないとか,いろんなことが明らかになってきたわけですけれども,明らかと言うか,より強く意識されるようになってきたところですけれども,これはビジョンの中に入っていることですので,それは一体的なものとして,しっかりとこのビジョンの実現に向けて取組を進めて行くと,こういったところがポイントと言うか,大きな柱になっているというものであります。
(NHK)
もう1点,一方でやはり将来世代の負担軽減のためには,財政健全化が欠かせないと思うのですが,その点はいかがお考えでしょうか。
(知事)
財政健全化については,これは不断の努力が必要なことだと考えておりまして,これまでも特に将来世代の負担ということで言えば,県債の発行残高というのをいかに抑えていくかということが重要になってまいります。〔それ〕で,これについては,そうは言っても,こういったコロナのような状況の中で必要な経費,あるいは災害対応ということで必要な経費ということは出し惜しみするわけにはいきませんので,そういったところはしっかりと取り組んでいくと,また,平時にはしっかりと財政再建に向けた取組っていうことも継続していくということになろうかと思っています。〔それ〕で,今般,将来負担比率というのも中期財政運営方針の見込みをやや上回っているのですけれども,これは今,申し上げたような,特に去年の豪雨災害の対応であるとかに伴う,これはインフラの復旧等のための県債の発行というのがあります。こういったことについても,できるだけ有利な財源,交付税措置がしっかりと付いているような県債を最大限活用するとか,そういった形でできるだけマネジメントしていくといったようなことをやっているところです。
(NHK)
ありがとうございました。
(中国新聞)
中国新聞の岡田です。今回,一般会計の規模が過去最大になっています。その点について,災害などが押し上げた面もあると思うのですが,知事の受け止めをお聞かせください。
(知事)
これは去年と比べても502億円増えて,去年かなり大きかったわけですけれども,今年はさらに増えて過去最大になっているのですが,これは新型コロナウイルスだけで329億円も増えていますし,豪雨災害に伴う公共事業が234億円増えているといったようなことがあります。〔それ〕で,そういう中で,このビジョンもしっかり進めなければいけないということで,結果としてこういう形になったというところでありますので,非常にコロナにしても豪雨にしても,ある意味で言うと降りかかってくるものと言うか,そういうもの〔です〕。今後は,こういったことが頻繁に起こるということを想定していかなければいけないことかもしれませんが,それに何て言うのでしょう。だからと言って,歩みを止めることなく広島県を発展させていくということで進めて行きたいなと思っているところです。
(中国新聞)
もう一つ,今回,4期目に入られて初の当初予算編成ということになりましたけれども,その点で意識されたことは何かありますか。
(知事)
やはり新しいビジョンのスタートなので,これは我々30年後を見据えて,10年後のあるべき姿というところにどうたどり着くかということでビジョンをつくったわけですけれども,そこにしっかり歩みを進めることができる。先ほど申し上げた財政との関連だとか,予算規模との関連ということになってくるわけですけれども,しっかりとそれを進めて行くということがやはり非常に大事なことだということで今回の来年の事業の構築に取り組んだところです。
(中国新聞)
4選を目指すに当たり知事自らが指摘されていた考え方が固定化するのではないか,行政のです。今回の予算編成の中でそういうところが感じられた,あるいは払しょくできたとか,その辺の手応えはどうでしょうか。
(知事)
あの〔どの部分ですか〕。
(中国新聞)
行政の考え方が固定化していくのではないかということです。
(知事)
それはどちらかと言うと,こういった事業において表れる,ないしは対応していくというよりは,そこに至るプロセスをどうつくっていくかという問題なので,それについては,引き続き,外部の方の登用であるとか,あるいは,外部意見をしっかりと聞くというようなことをプロセスの中に取り込んでやっていくということを今やっているところです。
(中国新聞)
最後にもう1点,ちょっと個別の事業になるのですけれども,イノベーションエコシステムの形成事業があったと思いますが,ユニコーンのような企業をということですけれども,なかなかそうは言っても大きな話でもあると思うのですけれども,例えば,どれくらいの規模の企業を育てたいとか,いつ頃までに育てたいとか,具体的な目標はお持ちでしょうか。
(知事)
ユニコーンっていうのは,世の中的には定義があって,設立何年だったかな。設立10年以内だったか,ちょっとすぐ手元に〔資料が〕ないのであれですけれども,それで企業価値が1,000億〔円〕以上っていう,そういうものなのですが,広島県の場合には,別に設立年にはこだわる必要はないと言うか,広島県には優良な中小企業もたくさんありますので,そういった企業が再成長していくということで,大きく成長していくってこともありだと思っています。そういう意味では,やはり企業価値1,000億円のようなレベルのものを目指しつつ,第二創業だとかいうことも含めて,幅広いベースの中から成長していくそういう企業を指すことにしています。〔それ〕で,ユニコーンは日本の中に十数社しかないというふうになっているのですが,これは著しく少ないわけです。アメリカとか中国とかと比べても少ないですし,東南アジアと比べても少ない。〔広島県は〕人口規模280万〔人〕あるので,世界的に見ても実はそれなりの大きさのサイズなのです。そういう中で,実は生まれてもおかしくない人口規模はあるので,なぜそれが生まれないのかっていうのは,日本独特の,広島県だけではなかなか解決しない問題もありますけれども,やはりそこを目指していくという旗印をしっかりと建てることで,そういった殻を打ち破っていくことが重要なんじゃないかなというふうに思っています。
(HOME)
〔広島〕ホームテレビの中塚と申します。すみません,予算案についてなのですが,新サッカースタジアムの整備費用について,31億円余り盛り込まれていると思うのですけれども,この費用負担について広島市と県で負担割合が1対1の割合となった理由についてお願いします。
(知事)
サッカースタジアムについては,いろんな議論があった結果,中心部に,広島市の正に中心部につくっていくということになりました。それに当たっては,やはりこういった中心部を活用する以上,ただ単に市の,広島市に影響が及ぶということではなくて,やはり広域的な観点から重要なものになるということが必要だと,広域からお客さまを集客して,また,県全体の活性化であるとか,広島市が中枢拠点性の向上に繋がるということが必要だろうと考えてきたところで,これまでも広島市に対してそのような考えをずっと提示して,これが実現できる案,それから事業者を選定するように求めてきたところです。〔それ〕で,今般,事業者の選定も終わって,設計もできて全体像が示されたわけですけれども,こういった中身を見ると県の意見を踏まえた事業提案になっているというふうに評価しておりまして,本県全体の活性化であるとか,中枢拠点性の向上に資するものだと考えたということです。〔それ〕で,負担割合については,まずこういった事業内容が基本にあるところなのですけれども,それに加えて,これまで県と市と経済界とサンフレッチェ,この4者で検討を進めてきたという経緯がある。あるいは,民間事業者が,この民間事業者というのは,スタジアムと広場を整備していく,これはソフト面も含めてです。その事業者が自ら収益を担っていくというところがありますので,その観点から,覚悟と責任を持った集客目標というのを示されているということです。つまり,行政だけが画を書いたのではなくて,それをやるという責任を持って事業者が取り組むというふうに言っているということです。それから経済界の寄付金が当初想定を大幅に上回っているということです。個人献金についてもです。県内外から非常に多く集まっているといったことも踏まえて,全体の機運の醸成というのも進んでいると,こういうことを総合的に勘案して負担割合を決めていったというところであります。
(HOME)
ありがとうございます。
(中国新聞)
すみません,中国新聞の河野と申します。今,ご質問があったサッカースタジアムの件なのですけれども,広島市は令和3年度の当初〔予算〕では,100億円のうち,およそ半分の50億円ずつと想定していました。そのことに対して,県との合意がなかったということだったのですが,今回は43億円,合計でです。これ圧縮できたこの辺については,どのように受け止めていますでしょうか。
(知事)
これは交付税〔の〕有利な措置であるとか,そういったことが働いて,実質的な負担がこれぐらいになるという見込みの中で,計算していったということなので,何と言いますか。ややテクニカルな話なのかなというふうには思っております。
(中国新聞)
県議会の理解というのが,熟成が必要とおっしゃっていました。知事も〔です〕。県議会の理解という点では,いかがでしょうか。
(知事)
それはもちろんこれまである程度のご説明はしてきておりますけれども,それを踏まえて最終的に今回の2月議会でしっかりと議論いただいて,最終的にご承認いただけるかどうかというところかと思っています。
(中国新聞)
すみません,あと1点。寄付金が予想以上に集まって,今後,自治体負担が,県の負担も減る可能性があるとか,あとは建築資材が高騰しているようなのですが,それで負担が逆に増えるんじゃないかとか,いろんな懸念があると思うのですけれども,その辺の変動要因みたいなものは,いかにお考えでしょうか。
(知事)
これは大きなプロジェクトですから,常にそういった変動要因というのはあるのだろうなというふうには思っています。それに対しては,もちろん適切にマネジメントしていく必要があると考えています。
(日本農業新聞)
日本農業新聞の西野と申します。来年度の当初予算案で災害復旧と農業施策の目玉の考えについてお聞きしてよろしいでしょうか。
(知事)
災害復旧については,平成30年の7月豪雨の復旧がようやくかなり進んできたというところで昨年の豪雨災害があって,またあらたに1,000か所レベルで被災地が増えているといったような状況になっています。大変に残念な状況なのですけれども,これらについてはしっかりと優先順位を踏まえながら計画的な復旧に取り組んでいくっていうことが必要だというふうに考えています。〔それ〕で,農業施策の目玉と言うか,農業について言えば,一つはやはり,これはもう取り組んでいることではありますけれども,スマート農業というのをしっかりと取り組んでいきたいということが一つあるのと,それから食のイノベーション推進事業という,これは関連の部局とも連携しながら進めて行くのですけれども,これは生産から販売までバリューチェーンがあります。これはさまざまな事業者がこの中にいるわけですけれども,全体として連携して,全体のバリューを上げていくと,それは具体的には新しいビジネスだとか,新しい商品の提供に繋がるようなそういったことを後押ししていくというような,後押しと言うか,新しい取組なのでそもそもの構想をつくっていったりとか,実証することになると思いますけれども,そういったことを支援していく,そういったことを行っていくこともあると思っています。いずれにしても,我々,大きな目標としては,やはり持続可能な農業,そのためには一定の農業者が一定の所得を得ることができる。そういうことを目指しておりますので,引き続き,経営力の向上といったこともあわせて,さまざまな取組を進めて行きたいと思っています。
(日本農業新聞)
ありがとうございます。
(事務局)
その他にご質問はいかがでしょうか。〔他に質問は〕よろしいでしょうか。それでは,質問がないようですので,これで発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。
資料(令和4年度 施策及び事業案の概要) (PDFファイル)(3.51MB)
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