「平成25年度地域環境保全功労者」に広島県世羅町の井藤文男(いとう ふみお)さんが表彰されました!!
「地域環境保全功労者」とは,環境保全,地域環境保全及び地域環境美化に関し,顕著な功績があった者(団体)に対して,その功績をたたえるため,環境大臣から表彰されるものです。
井藤さんは,世羅町在住で,農業を営まれています。
そんな,井藤さんのところに,平成15年のある日,一件の相談がありました。
『大型スーパー建設予定地となったことによって,生息場所を無くしかけている「ダルマガエル」がいる。
このままスーパーができてしまうと,彼らは絶滅してしまうかもしれない!何とか,救える方法を探しているんだよ。
そこで,井藤さんにダルマガエル約100匹の里親となってもらいたいんよ。井藤さんの田んぼを貸してほしいんよ。』
井藤さんの住んでいる世羅町には元々ダルマガエルは生息していませんでした。
突然のことで,びっくりした井藤さんでしたが・・・
”このままでは,人間の都合でダルマガエル達が,いなくなってしまう”
”誰かが助けてやらなければならない”
という強い気持ちから,井藤さんは笑顔でダルマガエル100匹の里親を引き受けられたそうです。
井藤さんは,これをきっかけに,地元の方々や小学校,広島市安佐動物公園と協力しての保護活動をスタートされ,平成16年には,ダルマガエル保護団体「伊尾・小谷たえクラブ」を設立されました。
その他,地元農事組合法人との調和を図りながら,ダルマガエルの生息する水田で,ダルマガエルと共生できる米作りをスタートさせ,自然環境保全や生物多様性の保全推進に貢献しておられます!
また,平成20年からは,ダルマガエルの広島県野生生物保護推進員に就任をお願いし,県の野生生物の保護活動にも,ご尽力頂いています。
このような功績がたたえられ,平成23年度にはひろしま環境賞(県知事表彰)にも選ばれています。
(平成23年 ひろしま環境賞受賞時の様子)
☆「伊尾・小谷たえクラブ」ってどんな団体なの?
☆「ダルマガエル」や「ダルマガエル米」についてもっと詳しく知りたい!
広島県は平成25年3月に「未来へつなげ命の環!広島プラン~生物多様性広島戦略~」を策定し,生物多様性の保全に向けて新たな一歩を踏み出しました。
この戦略では,県民の方々に,さまざまな生きものの個性とつながりが,私たちの暮らしを作っていることや,気が付かないうちに自然から多くの恵みを受けていることを知ってもらい,生物多様性がもたらす豊かな恵みを将来の世代に継承できる,人間と自然が共生する社会を実現しよう!ということを基本理念として,取り組んでいます。
また,この基本理念に基づいて「知る」・「行動する」・「つなげる」という3つの目標を立てています。
外来生物による生態系のかく乱や,大規模な土地造成・開発等による野生生物の生息場所の消失,里地・里山の荒廃,地球環境の変化・・・さまざまな要因により,絶滅が危惧される生物が増えています。
広島県の絶滅のおそれのある野生生物は,2011年に発行したレッドデータブックで1,000種指定され,その中でダルマガエルは絶滅危惧I類となっています。
井藤さんの活動は,ダルマガエルの”引っ越し先の提供”という「つながり」から生まれ,地元や地元小学校の児童がダルマガエルの存在を知り,ダルマガエルを守るために行動し,「ダルマガエル米」というブランドを立ち上げることによって,地域活性化と次世代への継承の道筋をつくる取組みです。
これは,『未来へつなげ命の環!広島プラン』の目標である「生物多様性を地域資源として,社会経済活動と自然環境が調和する魅力あふれる地域社会の構築」のための大きな一歩です。
また,この活動の成功のカギは,地域の方々の理解と協力です。どんな活動も,地域の方の理解と行動力と優しさが必要であり,行政だけでは,絶対に成功しないことです。
井藤さんの受賞を励みとして,生物多様性保全のための活動が広がることが期待されます。