働き方改革事例アイコン人的資本経営の促進・開示事例

自分らしく活き活きと働く社員の自律と、個々の強みの共創で会社の未来を紡ぐ

株式会社 ポップジャパン

  • 製造業
  • 広島市
  • 31~100人
ウェルビーイングダイバーシティ&インクルージョン個人の成長働き方改革エンゲージメントの最大化社員の安全・健康組織風土の醸成倫理・コンプライアンスの強化

外観

 

人的資本ひろしまAward
所在地
広島市安佐南区伴南2丁目5-19-26
URL
https://www.pop-japan.co.jp/
業務内容
布プリント事業、ウェアプリント事業、SS(サービスステーション)支援事業
従業員数
53名(男性29名、女性24名)
レポート
👉開示レポートはこちらから
(2025年4月時点)

point

ポップジャパン特徴

インタビュー(熊本氏)

目次

1. 人的資本経営・開示の取組に至った背景

―心をひとつにすれば、その力は無限大。 外観
会社と社員が想いをひとつに、目指す姿に向かって突き進みたい―

私は2024年に、働き方改革のつながりで人的資本経営研究会*の存在を知り
「社員中心」という考え方に共感して研究会に入会しました。
*広島県商工労働局が事務局を務める、県内の人的資本経営の促進を目的としたコミュニティ

これまで働き方改革や健康経営などを進めてきましたが、
中間層まで十分に浸透していないと感じていました。組織の力を最大化するためには、全員が同じ方向を向くことが重要だと考え、
人的資本開示レポート*を通じて会社の想いや方針を社員と共有しようと決意しました。
*人に関する方針や取組内容をまとめたレポート​


―当社を知ってもらわなければ始まらない
埋もれてしまっていた魅力を、届けたい人に、届けるツールを―    開示ツール

開示を決めたもう一つの理由は、開示レポートを取引先や関係者への発信ツールとして活用できると考えたことです。
現在の当社では多重下請け取引が中心となっており、発注企業から当社の間に複数の企業が介在しています。
できるだけ介在する企業を少なく、発注企業や元請け企業と直接取引をすることが収益向上につながります。
社員に関する取組をストーリーとして整理し、当社の魅力を明確に伝えることで信頼を得て、直接受注につなげたいと考えました。

2.“社員を中心とした経営“に込められた想い

                                                                                                     社内風景1
​―トップダウン経営からの転換。
指示ではなく意志で動く、社員とともに築く持続可能な経営のかたち― 

前社長はトップダウン型の経営で急成長を遂げましたが、
社員の自主性が育ちにくいという課題がありました。

2005年に私が経営に参画した時は、会議も組織図もなく、組織づくりからの
再出発でした。
現社長は社員の意見を尊重するスタイルで、理念や評価制度、組織体制を改革し、人を中心とした経営にシフトしました。

コロナ禍で主力事業が低迷した際には、社員こそ最大の財産だと改めて実感し、
個々の強みを活かす経営の重要性を再認識しました。

―人は人生の時間のほとんどを仕事に費やす。                                               社内風景2
愛おしくてたまらない社員たちに、幸せな人生を送ってほしい―

私は常に「社員が幸せな人生を送るために何ができるか」を考えています。
その原動力は、社員一人ひとりへの愛情にあると思います。
社員に生き生きと働いてもらうことが何よりの願いです。

3.人的資本経営・開示の取組がもたらした“4つの変化”

―(1)開示はゴールではなくスタート。 社内風景3
可視化から始まる、本質的な人材戦略の検討・推進―


データを可視化した結果、職務満足度やキャリア形成に課題があること、
またベテラン層のエンゲージメントが低い傾向が明らかになりました。
離職傾向とも関連づけて課題を整理し、広島県人的資本経営促進補助金
活用しながら人材戦略や評価制度の見直しに着手しています。

 

 

 

―(2)目指すは全社員の意識統一。踏み出した第一歩―社内風景4
開示準備を経営会議で継続的に議論する中で、経営幹部の意識が大きく変化しました。
社員への声かけや対話が増えています。
一方、全社員に対して人的資本経営という考え方はまだ浸透途中です。
今後も丁寧に説明し、全社員の理解と共感を深めていきたいと考えています。

 

 

 

 

―(3)魅せるだけでなく、使える。 社内風景5
未来の取引先からの信頼の出発点―

開示後、大手企業との直接取引が少しずつ増えました。
レポートは取引書類の内容と重なる部分も多く、書類提出の際の効率化にもつながっています。

 

 

 

 

 

 

​―(4)想定外の反響。開示がもたらす新たなビジネスの可能性―               のぼり旗
アクサ生命様から、健康経営の事例としてボイスレポートの掲載依頼や、
大阪の大手企業から登壇依頼をいただくなど、想定外の反響がありました。
開示を通じて認知度と信頼が高まり、新たなビジネスの広がりを感じています。​

4.開示の取組における苦労・葛藤

社内風景6
―完璧でなくていい。できるところから、小さな一歩が大きな変化に―

当社は業績指標を開示していません。
初めは「数値を示さないと意味がないのでは」と悩みましたが、
研究会の「できるところから始めればいい」という言葉に励まされました。
活動内容の開示から取り組みを始めたことで、多くの効果と学びを得ることができました。
成果として1日でも早く業績指標を開示できるよう、引き続き全力で取り組んでいきたいと思います。

 
 
 
 
 
 
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社内風景7
―“社員目線”の徹底。
経営幹部全員で作り上げた、社員へのメッセージ―

レポート作成では「社員にどう伝わるか」を最重視しました。
これまでの会社目線から、社員を中心とした方針策定に切り替え、
経営幹部全員で言葉の表現まで丁寧に議論しました。
その結果、会社の「ありたい姿」を社員にわかりやすく伝える内容に仕上がりました。

5.人的資本経営における取組*の実践と成果  *開示レポートに記載の「人」に関する取組

―社員が輝き続けるための働き方改革。 社内風景8
社員のためならどんな困難にも立ち向かい、進化し続ける―

当社は、社員が健康で働きやすい環境づくりを最優先に、働き方改革=経営改革に取り組んでいます。
労働環境の改善として、8時間労働の方針を掲げ、年間休日を105日から120日に拡大しました。
製造業としては挑戦的な取組でしたが、顧客対応が遅れる課題に対しては営業推進課を新設し、迅速で丁寧な対応体制を整えました。
また、社員の意見を反映し、髪型や髪色の制限を撤廃。
自由度の高い職場づくりが社員の意欲向上につながり、「会社が変化している」との声も増えています。
エンゲージメントサーベイではWell-beingのスコアが高く、改革の成果を実感しています。

 
 
 
 
―「やりたい」「やってみたい」が生まれる職場に。
社員の自律と共創が会社の未来を創る―社内風景9
社員の主体性を育むため、KPT活動
(Keep…継続していきたいこと Problem…改善すべきこと Try…改善するために新しく挑戦すること)を導入しました。
月ごとの振り返りや共有を通じ、「否定しない・褒め合う」文化が定着し、自発的な課題解決が進んでいます。
中間管理職も大きく成長し、現在では社内のみで活動を運営できるようになりました。
さらに、社員発の新サービス開発も進み、プリント技術を生かした新商品や、
開示レポートのデザインなど、自主的な挑戦が広がっています。
こうした取組を通じて、社員の自律性とチームの連携力が確実に高まり、会社全体が前向きに進化しています。

6.最後に

当社のDNAはプリント事業にあります。 社内風景10
お客様をワクワクさせ、「元気になる」と言ってもらえるよう、技術と社員の力を活かし、ユニークな発想でファンを生み出し続ける会社を目指していきます。