「おいしいひろしま」インタビュー
西原 一樹 さん
LIBERA TERRACE 料理長
1994年生まれ、三原市出身。「第9回ひろしまシェフ・コンクール」優勝者。2024年からイタリア・トスカーナ州で1年間修業。25年5月から広島市「LIBERA TERRACE」で料理長を務める。
地元食材に込められた、生産者の思いも一皿に
広島県が実施している「ひろしまシェフ・コンクール」への挑戦は、結果以上に、そこに至る過程こそが料理人としての成長につながりました。本場イタリアで郷土料理に愛と誇りを持つ人々と出会い、学んだ経験は、かけがえのない宝物です。
広島県をはじめ瀬戸内の野菜や肉、魚には「旬のおいしさを最も良い状態で届けたい」という生産者さんの思いが詰まっています。その情熱ごと一皿に込め、国内外のお客様に楽しんでいただきたいです。
イタリアで教わった、郷土の食を誇る気持ち
中学生の頃からイタリア料理人に憧れていました。職場体験でも迷わず地元のイタリアンレストランを選んだほどです。調理の専門学校を卒業した後は、広島市のイタリアンレストラン「ラ・セッテ」に就職。北村英紀オーナーシェフのもとで働く中で、イタリア料理への興味はますます深まりました。
28歳のとき、自分の実力を試したいと出場した「ひろしまシェフ・コンクール」で最優秀賞を受賞しました。その後は優勝者を対象にした県の修業支援を受け、イタリア・トスカーナ州へ。現地の料理学校や語学学校に通いながら、ミシュラン一つ星のレストランで1年間働きました。
最初のうちは言葉も分からず苦労の連続。それでも作業を正確にこなし、真面目に取り組むうちに任せてもらえる仕事が増え、最終的にはイタリア料理の花形であるパスタのポジションを担当させてもらいました。本場のシェフから教わることができて、本当に幸せな期間でしたね。
また、さまざまな地域出身のスタッフが作る郷土料理を食べたり、休日にローマやナポリなど各地のレストランを巡ったりする中で、イタリアの人々が「郷土の味」を誇りに思う文化に感銘を受けたんです。留学を通して、地域性を大切にする考え方が自分の中で育っていったと感じます。
地元食材の持ち味を最大限に引き出す
広島に戻り、現在はJR広島駅近くのレストラン「LIBERA TERRACE」で料理長を務めています。県外や海外のお客様が多く来店される立地を活かし、広島県を中心に、瀬戸内や中四国地方で育まれた食の魅力を発信しています。
広島は魚、肉、野菜がすべてそろう恵まれた土地。それは「旬の野菜をできるだけ多くの人に味わってもらいたい」「瀬戸内海で水揚げされた魚をいち早く届けたい」といった、生産者さんたちの思いによって支えられています。
「こういう料理を作りたい」と相談すれば「こんな野菜が合っているんじゃないか」と提案してもらえることもあり、生産者さんがあっての料理人であることを実感しています。
「どうやったら、もっとおいしくできるだろう?」。そう考えながら、その日仕入れた食材に向き合う毎日です。食材の持ち味を最大限に引き出すことが、食べる人に農家さんや漁師さんの情熱を伝えることにもつながると思うんです。
例えばこの日の前菜では、広島県産のモロッコ豆をシャキシャキとした食感が活きたソテーに仕上げました。また、尾道市瀬戸田産のバジルを使った香り豊かなソースで、淡泊なアオリイカに深みを加えています。
生産者さんへのリスペクトは、「ラ・セッテ」の北村シェフから学んだことです。退職した今でもいろいろと相談に乗ってくださる師匠や、かつて同じ職場で切磋琢磨した仲間が地元にいるのはとても心強く、もっと頑張ろうという気持ちになります。
コンクールに臨む過程が成長につながる
広島県内の若手シェフを対象にした「ひろしまシェフ・コンクール」に出場した理由は、同年代の料理人の中で、自分がどのくらいのレベルにいるのかを知りたかったからです。独創性や野菜の活かし方を評価していただき、大きな励みとなりました。
課題に応じたメニューを考え、決められた時間内で実力を発揮できるよう練習を重ねて迎えた当日。普段とは異なる厨房環境で想定外のことが何度も起き、その都度自分で判断して対応していきました。とにかく無我夢中で、本番の記憶はあまりないんです(笑)。
自分で一から考え、判断し、緊張や環境に負けずにやりたいことを表現する…。そんな経験は、店舗で働く中ではなかなかできません。ベストを尽くすために悩みながら試行錯誤した日々が、料理人としての自分を一段と成長させてくれました。私の場合、コンクールに出ていなかったらイタリア留学もしていないと思います。
せっかく広島県でこうした場があるのだから、ぜひ挑戦をおすすめします。名だたる巨匠の方々に、自分の料理を審査してもらえる貴重な機会でもあります。地元で料理人として活躍したい人には、このチャンスを積極的に活用してほしいです。
学んだことを後輩に教え、地域に還元していきたい
イタリアで学んだことの一つに、「みんなで食卓を囲む楽しさ」があります。その時期にしか味わえない旬の食材を満喫する豊かさも実感しました。おいしい料理は会話を弾ませ、テーブルを囲む人との関係を深めてくれます。こうした食事の喜びを、店を通じて伝えていきたいですね。
将来的には独立し、生まれ育った広島県内でお店を開くのが夢です。そのために今は、経営や人材育成についても学んでいる最中。料理長という立場をいただいていますが、私一人では店は成り立ちません。いつも支えてくれるスタッフに感謝しています。
料理人になってから10年。これまで、本当に人に恵まれてきました。まだまだ勉強中の身ですが、後輩たちに知識や経験、レシピなどを惜しみなく教えることで、地域に少しでも還元していきたいと考えています。
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