近年,温暖化による気温上昇(参考:広島県の気温の変化)の影響と考えられる玄米品質の低下が全国的に問題となっています。
水稲は穂が出てから20日間程度の期間(登熟期の前半)に異常な高温状態に置かれると、米の白濁(白未熟粒)が発生しやすくなることが分かっています。白未熟粒が多くなると、食味が低下し、等級・価格も下がるため農家に大きな影響を与えます。
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)によると、極端に気温が高い年や一部地域では白未熟粒の発生の他に、収穫量の減少も報告されています。
現在までの温暖化で既に影響が出ており、今後さらに気温の上昇が見込まれるため、対策を進めていく必要があります。
うるち米については、広島県では特に標高100m以下の地帯で栽培される「ヒノヒカリ」で顕在化していたため、「ヒノヒカリ」に近い時期に収穫でき,農家が栽培しやすい特性を持ち,種子(玄米)が発育(登熟)する時期が高温でも玄米品質の劣化が少ない「恋の予感」を奨励品種に採用しています。(参考:農業技術センター研究成果情報集)「恋の予感」の玄米は「ヒノヒカリ」に比べて高温下で発育しても,白く濁った米が少ないという特長があります。他府県においても高温の影響を受けにくい「きぬむすめ」、「にこまる」などの高温登熟耐性品種※が奨励品種に加えられています。
※米粒が成熟していく期間の高温による悪影響を受けにくい品種。

「恋の予感」の玄米(左)と「ヒノヒカリ」(右)
(出典:広島県立総合技術研究所「農業技術センターNews No.117」)
(出典:気候変動適応情報プラットフォームポータルサイト)
(https://adaptation-platform.nies.go.jp/db/measures/report_004.html)
一方、日本酒原料の酒米については、県立総合技術研究所(農業技術センター、食品工業技術センター)、農研機構西日本農業研究センターなど、県内の6機関が共同研究を行い、10年の歳月をかけた品種改良によって、高温への耐性を持ち、かつ多収性の新品種「広系酒 45 号」を育成しました。(参考:夏場の高温に強い広島県オリジナル酒米「萌えいぶき」の開発)
その米は「萌えいぶき」と命名され、令和5年度から本県の奨励品種に採用され普及が進められ、現在では、本品種を原料とする日本酒が、各酒造会社から販売され始めています。(参考:「萌えいぶき」を使用した清酒)

「萌えいぶき」と試験醸造された日本酒(写真提供:県立総合技術研究所農業技術センター)
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