農地法では、昭和27年(1952)の制定以来、「耕作者自らが農地を所有することが最も適当である(自作農主義)」としてきました。
しかし、農地が、現在及び将来における国民のための限られた資源、かつ、地域における貴重な資源であることを踏まえて、平成21年(2009)に全面改正され、農地制度について、耕作者自らによる所有が果たしてきている重要な役割も踏まえつつ、「所有」にこだわることなく、農地の適切な「利用」を基本とする制度へ大きく変更されました。
これにより、農地の貸し借りについては、意欲と能力があれば、基本的に誰でも借りられるよう要件を緩和し(解除条件付き貸借の新設など)、その上で、農地の権利を有する者の責務についても定められています。
(農地について権利を有する者の責務)
第2条の2 農地について所有権又は賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を有する者は、当該農地の農業上の適正かつ効率的な利用を確保するようにしなければならない。
農地法は、上記のような原則を踏まえ、個々の農地が適切に利用されるよう、農地を農地以外のものにすること(=農地転用)を規制し、農地の利用関係を調整する役割があります。
農地を、農地のまま(農業利用することを目的として)、所有権を移転(売買・贈与)したり、貸し借りしたり(賃貸借または使用貸借)、その他の使用収益を目的とする権利を設定・移転する場合には、その農地が所在する市町の農業委員会許可が必要です(許可がない場合、その売買や貸借は法的に無効です)。
※農地の所有権を取得しようとする場合は、申請書に国籍等の記載が必要です(令和5年9月1日から)。
相続など、農地法第3条許可が不要とされる事由で農地の権利を取得した場合は、農業委員会への届出が必要です。
※農地の所有権を取得した場合は、届出書に国籍等の記載が必要です(令和5年9月1日から)。
農地を農地以外のものにすること(農地転用)については、自己所有地であっても許可が必要です(広島市は農業委員会、それ以外の市町では転用面積4ヘクタール=40,000平方メートル以下は農業委員会、4ヘクタール超は県知事許可)。
👉もう少し詳しい説明「解説2 農地転用許可(農地法第4条許可)について」
農地転用のために、農地の所有権を移転したり、貸し借りしたりする場合にも許可が必要です(許可がない場合、その売買や貸借は法的に無効です)。
👉もう少し詳しい説明「解説3 農地転用許可(農地法第5条許可)について」
市街化区域内での農地転用については、あらかじめその農地が所在する市町の農業委員会に届け出て行う場合は、農地法第4条・第5条の許可は不要です。
(農地法第3条許可については、市街化区域であっても許可が必要です。)
農地の賃貸借について、当事者の一方が解除(解約の申入れ、更新をしない旨の通知をすることを含む)しようとするときは、農地が所在する市町の農業委員会許可が必要です。
農地法第4条・第5条届出(市街化区域)・・・農業委員会(全市町で面積に関係なし)
※府中町、海田町、坂町は農業委員会を置いていませんので、町長許可、町長への届出となります。
※上記は広島県の場合ですので、農地法第4条・第5条・第18条許可については、他の都道府県では異なる場合があります。