
| 企業名 | 株式会社イーサロングループ |
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| 住所 | 広島市中区舟入幸町5-16 ESビル6階 | |
| 事業内容 | 美容室・エステサロンの経営、美容品の通信販売など | |
| 従業員数 | 250人 | |
| 企業HP | https://www.e-salon.co.jp/company/ |
西日本を中心に、直営店およびFC店の美容室を幅広く展開している株式会社イーサロングループ。美容業界においてもDXの重要性が叫ばれる中、同社は社内のリスキリングと業務改善に踏み出しました。
若手社員を中心とした学びの輪は、部署を超えたコミュニケーションを生み、実際のツール導入や業務フローの改善へと結びついていきます。学びを個人の努力で終わらせず、チームの成果に昇華させた同社の取り組みについて、片寄さん、堀さん、戸田さん、高村さんにお話を伺いました。
イーサロングループで総務などを担当する堀さんは、以前から県のAI関連行事などに積極的に参加し、会社を10年、20年と継続できる環境をつくるためのきっかけを探っていました。しかし堀さんが外部から新しい知見を持ち帰っても、それを現場の実務にどう活用し、どう定着させるかは曖昧なままでした。現場のスタッフにとっても、DXはどこか遠い存在でした。

グループのポスターやチラシなどの販促物作成などを担当する高村さんは、「リスキリング伴走コンサルティング事業(以下、本事業)」参加当時の率直な印象をこう語ります。「業務改善やDXの話は社内からちらほら聞こえてきましたが、制作がメインの自分にとっては遠い話だと感じていました。また、AIツールの導入も始まっていて、なんとなく使い方もわかってきていたのですが、業務にどう生かせばいいのかはピンときていませんでした」。

このような課題を抱える中、本事業への参加を決めた同社。受講にあたっては、これからの会社の柱となる若手社員を中心に、参加メンバーが選定されました。スキル診断の点数を指標にしつつ、将来の事業展開や人員配置も考慮して、育成意図と現場配置のバランスを取りました。管理者兼受講者として選定に関わった片寄さんは、当時の意図を次のように語ります。「当社は多数のグループ企業を展開しています。今後グループ間の連携を密に取り、様々な社員が多様な事業・業務に触れる機会を生み出すことをねらっていくとすると、リスキリングも多様な人材に受けてもらうのが望ましい。そのための一つの観点として、スキル診断の結果を活用しました」。

シャンプーやトリートメントのEC運営を担当する戸田さんも、このタイミングで受講を打診されます。しかし、当初は受け身の姿勢だったとのこと。「受講のきっかけは、参加してほしいという堀さんのお願いからでした。会社のために自分が何かできるなら、やらせてくださいと、参加を決めました」。

受講が始まると、参加メンバーは日々のスキマ時間で学習を進めていきました。例えば高村さんは、業務の空き時間に学習を進めたそうです。「販促物を作成する業務の合間に、作業中のPCで動画を視聴しました。最初は勉強の習慣がつくか不安だったのですが、Webデザインの講座など、業務に直結するコンテンツを見つけ、モチベーション高く学習を継続できました」。
一方戸田さんは、外部コンサルタントとのミーティングの前後を学習時間にあてました。「コンサルタントの方は売上や結果の話をよくするのですが、実はわかっていないことが多かったので、ミーティングの予習・復習だと思って学習に臨みました」。
参加者のモチベーションを支え、実践を後押しした最大の要因は、「同じチームのメンバーで参加したこと」にありました。高村さんと戸田さんは社内でも物理的な距離が近く、日頃からコミュニケーションを取りやすい環境にありました。学習を進める中で、戸田さんは高村さんに対し「この講座ってどうしたら業務に落とし込めそうですか?」「私はこれが難しいんですが、高村さんはどうですか?」と、率直な疑問や悩みを高村さんに相談していました。「お互いに『これやったよ』と、いろいろ話していました」。同じ時間や空間で学びを共有することで、孤独になりがちなe-ラーニングが、チームでの刺激的な体験に変わりました。

そして、当初はやらされ感を抱えていた戸田さんに、大きな変化が訪れます。それはライブ講義の宿題で、自社の業務フローを見える化したことでした。
「私は会社のEC担当でしたが、必ずしもEC全体を管理していたわけではありません。発送や管理など、様々な領域に少しずつ関わっていました。それが業務フローを書く中で、自分以外の人がECにどう関わっているのか、全体像がだんだんとわかるように。周囲の人の業務を含めて、EC全体が自分ごとになっていく感覚を得られました」。
この気づきを得てからの学習は、以前より前のめりでした。「自分の業務と重ならない領域での業務改善も頭に入るようになりましたし、『当社のECだと、ここは講座の考えが使えそうだ』と、EC全体の改善を見据えて講座を受けられました」と戸田さんは語ります。受講を通して視野が広がり、視野が広がったから自分ごとにできる範囲も広がる。そして、学習のモチベーションが高まっていく。戸田さんの気づきは、リスキリングを進める大きな転機となるものでした。
学習チームでの意見交換や、業務全体の可視化によって芽生えた当事者意識。それを一過性のモチベーションで終わらせず、具体的な行動へと繋げたのは、学習を継続し、実務に落とし込むための仕組みでした。例えば、高村さんはチャットツールに届く「あなたは今週◯分勉強しました」という通知をモチベーションにしていたとのこと。また、ラーニングパートナーとの月1回の面談で「今月は何を勉強して“何を業務に取り入れたか”」について話すため、常に「(学びの)何が業務に取り入れられるかな」と思えたとも話しました。
学んだことを職場で小さく試す習慣が身についたことで、高村さんと戸田さんのリスキリングは個人の努力に留まらず、自発的な行動と、組織の改善に発展していきます。高村さんは、キャッチコピーの講座で学んだ「お客様の声を販促物に取り入れる」という手法を、実際の広告制作で実践。学んだ内容を会議で共有し、「これを取り入れてみたらどう?」と周囲に働きかけるようになりました。
戸田さんは、部署内でデジタルツール導入の提案を行いました。中途入社の戸田さんは、前職ではデジタルツールを活用していたものの、今の環境は違うからと、知っているツールを提案することに抵抗を感じていました。しかし、学びを通して組織の当事者としての意識が芽生えたことで、行動が変わります。戸田さんの提案により、これまでIllustratorなどで行っていた制作物の共有をFigmaへ移行。以前よりも共同作業が行いやすい環境が整いました。戸田さんの主体的な提案を見た上長も、制作チーム全体での利用を後押しするなど、「学び、共有し、業務を改善する」という理想的なサイクルが回り始めました。
管理者と受講者を兼務した片寄さんは、会社の変化を次のように語ります。「私は主にAIを学習したのですが、会議資料の作成がとても楽になり、会議の内容も充実してきたように感じます。また、戸田さんと高村さんの成長も著しいですね。二人からは学習環境への意見もたくさんもらって、今後のリスキリングのあり方を考えることもできました。間違いなく、会社は変化しつつあります」。

「自分だけが知識をつけるのではなく、チームとしてみんながより快適に、効率的に働けるように、今後も学習に臨んでいきたいと思っています」と意気込む戸田さん。イーサロングループのリスキリングは、個人のスキルアップから、組織全体の前進へ、変わってきています。
