農作物にはいろいろな種類の病気、害虫が発生します。これらの病害虫に対し、様々な種類の農薬が使用されます。ある病気(害虫)に対し、同一の(もしくは同一の系統の)農薬を連続して使用すると、次第にその農薬の効果が低下することがあります。この現象を「感受性低下」と呼びます。
感受性低下を起こしやすい農薬のグループはいくつか知られています。殺菌剤については、日本植物病理学会が該当する農薬グループについての使用ガイドラインを定めています。
リンク:日本植物病理学会 殺菌剤耐性菌研究会HP (殺菌剤使用ガイドライン)
ア 殺虫剤、殺ダニ剤 殺虫剤(IRAC) (PDFファイル)(158KB) ;農薬工業会HP農薬情報局より転載)
イ 殺菌剤 殺菌剤(FRAC) (PDFファイル)(245KB) ;農薬工業会HP農薬情報局より転載)
ウ 除草剤 除草剤(HRAC) (Excelファイル)(23KB) ;農薬工業会HP農薬情報局を参考に作成)
農薬は、効果がより的確で、安全性の高いものへと改良されてきました。しかし、ほとんどの化学合成農薬は、動植物あるいは微生物の生理活性を抑制したり制御したりすることで効力が発揮される「生理活性物質」です。したがって、使用や保管管理が適正に行われない場合は、人や動植物に対して不測の事故や悪影響を及ぼす可能性があります。
このため、取扱う農薬の性質や、その毒性について十分な知識を持つとともに、その農薬の性質に応じた防護手段を講じ、取扱うことが求められています。
以上のことから、農薬の使用・保管管理に当たっては、次の点に注意してください。
( 参考:5関係法令などの(2)「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令 」)
(ア) 農薬を使用する前に必ずラベルをよく読み、対象作物・使用濃度・使用量・使用時期・使用回数などの使用基準、注意事項及び最終有効年月などラベルに記載されている内容を守ること。
(イ) 農薬を使用するときは、農薬使用簿などに使用年月日、使用場所、対象作物名、使用農薬及び使用量などを記帳すること。
(ウ) 散布液を作る時の注意
a 農薬を浴びないよう、必ず農薬用マスク・ゴム手袋・保護メガネを着用し、専用の防除衣・帽子・長靴などを用いて露出部分を少なくすること。
b 防除器具は、事前に十分点検・整備を行っておくこと。
c 散布液は、その都度使い切る量を調整すること。
(エ) 散布時及び散布後の注意
a 病後、疲労しているときなど体調不良の場合や妊娠中の人は、散布作業に従事しないこと。
b 農薬を浴びないよう(ウ)のaと同様に露出部分を少なくすること。
c 容器、防除器具の取り扱いに注意し、薬剤が飛散しないようにすること。
d 散布作業は暑い日中を避けて、風の強くない、朝夕の涼しいときを選び、長時間連続して散布作業はしないこと。
e 作業中の飲食、喫煙は避けること。
f 散布中や散布後に、めまい、吐き気など体に異常を感じたら直ちに医師の診断を受けること。
g 作業後は必ず石けんで顔や手足を良く洗い、うがいをし、衣服は速やかに着替えること。
h 器具、容器、空袋、またその洗浄液の処理は適切に行うこと。
i 作業後、飲酒したり、夜ふかしをしたりしないこと。
(ア) 農薬は密栓・密封して、湿度や温度の高いところを避け、農薬専用の保管庫に収納し、必ずカギをかけて、子どもなどの手の届かないところに保管すること。
(イ) 農薬の小分け、他の容器への移し替えは絶対にしないこと。
(ウ) 農薬は必要な量の購入を心がけ、保管管理ができる範囲とすること。
(ア) 付近の住宅などに対する被害防止
農薬を使用する際には、事前に周辺の住民や近隣の農作物生産者への周知を徹底すること。
( 参考:関係法令 (8)「住宅地等における農薬使用について」 )
(イ) 家畜に対する被害防止
a 周辺に家畜飼育及び養鶏が行われる地域で農薬散布する場合は、散布前に散布地域、使用薬剤の種類、家畜に対する諸注意事項を、地域内の家畜飼養者に周知し、理解に努めること。
b 万一、事故が発生した場合は、速やかに獣医師、もしくは最寄りの家畜保健衛生所に連絡して、手当てを受けること。
(ウ) 生活環境動植物に対する被害防止
a 散布された農薬が、生活環境動植物に被害を及ぼさないように注意すること。
b 水質汚濁性農薬は、水質汚濁性農薬被害防止対策実施要領により厳重な管理をもって使用すること。
( 参考:関係法令 (4)「水質汚濁性農薬被害防止対策実施要領」 )
(エ) ミツバチに対する被害防止
養蜂が行われている地域では、農薬散布に当たって次の点に留意し、被害の防止に努めること。
( 参考:関係法令 (7)「蜜蜂の農薬被害防止対策リーフレット 」 )
a あらかじめ養蜂家に使用期間、使用方法を農薬散布前に連絡し協力を得ること。
b ナタネなど蜜源となる作物に農薬を使用する場合は、なるべく開花期を避けること。
(オ) 蚕に対する被害防止
a 桑園に直接農薬を散布する場合は、残留期間の短い農薬を選び、蚕に被害を及ぼす恐れのある農薬の使用については、その農薬の残留期間に注意し、採桑間近の散布を行わないこと。
b 桑園の隣接地で農薬を散布する場合は、次の事項に留意すること。
(a) あらかじめ養蚕農家など関係者に使用期間、使用方法などを連絡し協力を得ること。
(b) 桑園に農薬が飛散しないように注意して散布すること。
農薬を使用する際は、眼・鼻・喉・皮膚などを刺激する場合があるので、体調の悪い人・アレルギー体質の人、薬物かぶれを起こしやすい人は散布作業に従事しない。また、散布直後の施設内への立ち入りは避ける。
(ア) ポスター版「農薬安全使用のためのチェック事項」 (PDFファイル)(737KB)
(イ) 農薬の飛散防止対策指針 (PDFファイル)(178KB)
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