「元気なひろしま」インタビュー

吉宗 五十鈴 さん
雪月風花 福智院 店主
三重県出身。結婚により広島県へ。花観光農園『世羅高原農場』で農業や広報に従事。『世羅高原カメラ女子旅』を主催、写真ツアーなどを実施。現在、世羅町で日本茶カフェ『雪月風花 福智院』を経営。

世羅の「豊かさ」を国内外の人々に発信
世羅で暮らしていると、ゆったりとした風景や美しい季節の移ろい、農家さんが丹精込めて育てた食べ物など、里山ならではの豊かさを日々感じます。疲れた心をふっと癒やしてくれる力が、このまちにはあると思うんです。
また、地元の女性たちがとても元気で、まちに明るさと活気をもたらしています。若い農家さんが多いのも頼もしいです。そんな世羅の魅力を、自然あふれる今高野山で営むカフェや地域活動を通じて、国内外の方々に発信しています。

写真を通じて、人が集まるまちに
三重県で生まれ育ち、大学卒業後は東京の出版社に勤めていました。結婚を機に世羅へ移住したのが2004年。夫が経営する花の観光農園『世羅高原農場』で農作業に携わるうちに、きれいな花畑の裏には、地道な作業の積み重ねがあることを知りました。
農業に触れる機会が少なくなっている今だからこそ、農園の仕事をもっと多くの人に知ってほしい。そんな思いから、開花情報のほか、閉園している間も行われる農作業の様子も、写真とともにホームページやSNSで発信するようになったんです。
そして2012年、「自分が暮らしているまちで、女性が写真を楽しめる場を作りたい」と立ち上げた企画が、『世羅高原カメラ女子旅』です。
地域を歩き、地域のおいしいものを味わい、地域の花畑や美しい風景を撮影し、農家民宿に泊まって地域の人々の温かさに触れるツアーは観光庁の補助金事業にも採択され、全国からカメラ好きの女性たちが参加してくださるようになりました。
今でも関東や東北など、県外から世羅に遊びに来てくださる方がいるんですよ。『世羅高原カメラ女子旅』への参加をきっかけに世羅の魅力を知り、再訪してくれるのは本当にうれしいですね。

人や文化との繋がりが、地域を元気にしていく
2016年には食の作り手を紹介する情報誌『ひろしま食べる通信』の副編集長を務めると同時に、広島県主催の講座「ひろしま『ひと・夢』未来塾」を受講しました。この2つの活動から、地域の資源を活かすことの大切さを改めて学びました。
温暖な瀬戸内海沿岸ではレモンが育ち、寒さの厳しい県北部ではリンゴが実るなど、広島県は多様な農産物に恵まれています。取材や講座を通して、県内各地で志を持って、その土地ならではの農業や漁業、地域づくりに取り組む人たちに出会いました。
当時生まれたつながりは今も続いていて、宮島産のハチミツ、福山産の海苔、大崎上島産のフルーツやしょうゆなどをカフェで販売するほか、メニューにも取り入れています。里山と里海を行き来して、アイディアを出し合うことも楽しみの一つなんです。
地域の未来をつくっている「人」こそが、広島の元気な魅力だと感じます。「ひろしま『ひと・夢』未来塾」は今年度も開催され、思いのある方々とつながることができますので、興味がある人にはぜひ参加をおすすめします。

現在、私は世羅町の今高野山にある築約180年の元・宿坊を改修し、日本茶カフェ『雪月風花 福智院』を営んでいます。世羅で育てられた在来茶をはじめ、お茶を使ったスイーツ、精進料理のランチなどを提供しています。
かつて、世羅は広島県有数のお茶どころでした。そして、私が生まれ育った三重県も、実は全国3位のお茶の生産地。移住先と故郷が「お茶」でつながるとは、私自身も驚きました。日本茶を通じて、それぞれの地域を知ってもらう取り組みがもっとできたらと考えています。

強くて明るい、世羅の女性たち
世羅にいると、女性がとにかく元気だなと感じます。私が2015年~17年にマネージャーを務めていた『世羅高原6次産業ネットワーク』も女性のメンバーが多く、会議はいつも活発。特産品を使った商品開発やイベントなど、みなさん主体的に活動してくださいました。
明るくたくましい地元のお母さんたちから、私もたくさんパワーをもらっています。昔ながらの暮らしの知恵や技を受け継ごうと、世代を超えて、味噌づくりやシイタケの原木栽培、山菜の保存や梅のシロップづくりなどに賑やかに取り組んでいます。
私自身、東京の多忙な生活でストレスを抱え、心身の調子を崩してしまったことがありました。でも、世羅の広々とした空間、おいしい農産物、四季折々の自然風景、あたたかな人たちに囲まれ、元気を取り戻すことができたんです。
そんな世羅の豊かさを、自分の子どもたちや都会で頑張っている人、さらには海外の人々にも伝えていきたい。私も世羅に暮らす一人として、「疲れたら休みにきんちゃい。」という気持ちでカフェを開いています。

海外のお客様を増やし、日本茶文化を広めたい
学生時代はバックパッカーとして海外を旅し、現地の人との交流や、その土地の文化に触れることが好きでした。『雪月風花 福智院』は、江戸時代に建てられたという趣ある和の空間で、日本茶や精進料理など、日本ならではの文化を味わっていただける場所。海外の方にも、ここを通じて日本の魅力、そして世羅の魅力を感じてもらえたらと思っています。
広島県もインバウンドが増えているものの、世羅まで足を運んでくれる外国人の方はまだ少ないのが現状です。そこで、カフェのメニューに英語表記を加え、英語版のウェブサイトを制作しました。私自身も、毎日通勤時間に英会話アプリで英語の勉強を続けています。
この春から、少しずつですが海外のお客様が増えてきました。特に台湾や香港の方が多く、コロナ前に世羅高原農場や世羅町観光協会が台湾へPRに行った効果だと思います。今後は、外国の方と地元の子どもたちが交流できる場もつくっていきたいです。
また、最近は急須がないお家も増えているといいますので、若い世代がお茶文化に触れられる機会を増やしたいですね。「やってみたい」と思ったことには、これからもひとつずつチャレンジしていきたいです。
もっと素晴らしいひろしまへ!
豊かで穏やかな風土、平和への想いと行動力はひろしまの誇り。県民一人ひとりが大好きと思えるひろしまの素晴らしさがきっとある。より良いひろしまへ、みんなで創り上げていこう!

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