田舎×最先端技術で故郷の三次を活気づけたい

広島県には世界を見据えて挑戦している中小企業が多く、県の企業支援事業「ひろしまユニコーン10」に参加する中でも活気を感じます。

当社では世の中の犯罪を減らすため、防犯カメラに最先端技術を用い、店舗での万引きを未然に防ぐシステムを開発・運用しています。のどかな田園風景の中、先進的な映像解析に取り組みながら畑仕事にも精を出す…。そんな新しい働き方を生み出し、故郷の三次市を元気にしたいんです。

地域活性化のため、三次に新しいビジネスを創る

三次市で農家の長男として生まれ、21歳から33歳まで木こり、つまり伐採業者として働いていました。災害現場にいち早く駆け付け、倒木などを伐採して災害復旧の道筋を文字通り「切り拓く」仕事に誇りを感じていましたね。

地元の三次では地域を盛り上げたいとの思いから、青年団や消防団、祭りの実行委員会など、あらゆる地域団体で活動していました。都市部に暮らす人々を三次に招く取り組みにも力を入れていたんです。

けれど、いくら地域おこしを頑張っても、便利で働き口の多い都市部に人が流れてしまう。地域活性化のためには、田舎でもしっかり稼げる仕事が不可欠だと考えました。そこで私は都会で新規事業を立ち上げ、三次に持ち帰ろうと決めたんです。

AI技術を使った防犯システムを独自開発

広島市内で電気工事業を営んでいた12年前、大手量販店に防犯カメラ設置の営業に行ったんです。そこで「カメラの画質を良くしても万引きは減らない」という小売店の本音を聞いたことが、防犯システム事業を始めるきっかけでした。

約2年間、量販店ご協力のもと防犯カメラの膨大な映像などを徹底的に研究して、犯行におよぶ人間の行動を分析。そうして独自開発したのが、犯行直前の行動を検知して万引きを未然に防ぐシステム「あいシェア」です。

「あいシェア」は防犯リストの登録者が来店すると顔認証AIが検知し、店舗側に通知します。登録者に店員が「いらっしゃいませ」と声をかけたり、登録者だけが意識する音声を流したりすることで、万引きを抑止する仕組みです。

犯行現場を取り押さえることが目的ではなく、かつて「隠れて悪いことをしても、お天道様は見ているんだよ」と親やご近所さんが諭してくれたように、やさしいアプローチで犯行を思いとどまらせるシステムなんです。

これは私が農家や木こりという、「お天道様」に向き合う職業出身だからこそ生まれた発想。最新のテクノロジーを活用して、日本人の倫理観に合う、古き良き見守り文化を現代に復活させたいと考えています。

独自技術の「あいシェア」は現在、大手量販店をはじめ全国の小売店約200店舗で採用されており、これまでに187,000回以上の再犯を防止。万引き被害などによる不明ロスを3分の1以下に抑えることに成功しています。

当社のミッションは、犯罪により涙する人を世界から無くすこと。万引きは、他の重大犯罪に手を染めるきっかけとなる「ゲートウェイ犯罪」と呼ばれています。私たちのシステムによって罪を犯す人を減らし、安全な世の中に貢献したいですね。

三次の魅力は、地域のために淡々と行動する人々

三次市の魅力は、地域のために私心が無く行動できる人が多いところ。行事への参加や祭りの準備などにおいても、当たり前のように自分の時間を充て、淡々と作業を進める姿に凄みを感じます。そんな人々に守られた「静かで変わらない田舎」を多くの方に知っていただきたいですね。

そのための第一歩として、防犯システムの映像解析センターを三次に設立する準備を進めています。現在は本社でおこなっている解析業務を三次にも移すことで、地元の雇用増加や活性化に繋げたいと考えています。

山と田畑に囲まれた田舎に最先端技術を扱う拠点があり、そこで働く人々は昔ながらの地域文化も静かに守り続けている…。そんな土地や人を「かっこいい！」と感じて、三次に興味を持ってくれる人が増えたらいいなと思います。

三次から日本、世界の治安を見守る会社に

このたび、広島県の企業支援プロジェクト「ひろしまユニコーン10」の成果発表会にて、CIA株式会社が優秀賞に選ばれました。「世の中の犯罪を減らしたい」「三次に強いビジネスを創りたい」という志を、県に後押ししてもらっています。

「ひろしまユニコーン10」は、広島から世界に挑戦する企業を輩出するための取り組み。当社以外にも酒づくりや医療など、さまざまな分野で世界を目指すスタートアップ企業が県の伴走支援を受けておられますよ。

当社も海外展開する大手小売業者との取引を通してグローバルな活躍を目指し、より高精度な防犯システムの研究開発を進めています。三次から日本、ひいては世界の治安を見守る会社として、今後も成長を続けていきます。