収用委員会 Q&A
Q&A
Q1 土地の補償金額はどのように決まるのですか。
A1 当事者の主張及び提出された資料などを踏まえて判断します。また、必要に応じて現地調査及び不動産鑑定士の鑑定を行って決めることもあります。
なお、土地に関する補償には、次の補償があります。
(1) 土地に対する補償は、土地が収用される場合に、一般的に土地の対価として補償されます。その補償額は、近傍類似の取引価格などを考慮して決定されます。
この価格算定の時点は、事業認定の告示があった時に固定され、その後、権利取得裁決の時までの物価の変動に応じた修正率が乗じられます(物価変動によっては、事業認定時よりも下がることがあります。)。
(2) 権利消滅に対する補償は、土地の収用により、土地に関する所有権以外の権利が消滅する場合に補償されます。その補償額は、土地に対する補償と同じ方法で決定されます。
なお、抵当権消滅に対する補償などは、個別に見積もり難いので、土地所有者の受ける補償に含められるのが通常です。
(3) 残地に対する補償は、同一の土地所有者に属する一団の土地の一部が収用されることにより、残地の価格が減じるなど残地に関して損失が生じるときなどに、その損失が補償されます。
Q2 収用される土地について、現在、所有権の帰属を争っているが、裁決や補償金はどうなるのですか。
A2 収用される土地に、所有権の帰属に争いがあり、収用委員会による審理や調査でも所有権を確定できなかった場合には、収用委員会は所有者を「不明」として裁決します。この場合、所有者が確定できないことから、起業者は補償金を供託することとなります。供託された補償金は、当事者が訴訟などにより所有者を確定することなどにより、供託された補償金を受け取ることができます。
Q3 不明裁決とはどういう意味ですか。
A3 収用委員会は、補償金を受けるべき土地所有者及び関係人の住所及び氏名を明らかにして裁決を行わなければなりませんが、収用委員会がこれを確知することができないときは、収用委員会は、不明のまま裁決することができます。
確知することができないときとは、
- 権利者の氏名も住所も不明であるとき
- 権利者の氏名は確知しているが住所が不明であるとき
- 土地の権利の帰属をめぐって争いがあるとき
- 土地に関する所有権以外の権利の帰属をめぐって争いがあるとき
- 土地に関する所有権以外の権利の存否をめぐって争いがあるとき
- 共有者間で共有持分割合をめぐって争いがあるとき
などが考えられます。
このように、裁決で明らかにすべき事項に不明の点があっても、不明のまま裁決できることになっており、このような裁決を不明裁決と呼んでいます。
Q4 収用委員会の裁決に不服がある場合はどのようにすればいいですか。
A4 広島県収用委員会の裁決に不服がある場合は、次のような審査請求や訴訟を行うことができます。
1 損失の補償についての不服
- 当事者訴訟
損失の補償について不服がある場合は、裁決書の正本の送達を受けた日から6か月以内(土地収用法第94条第8項及び第124条第2項による裁決の場合は60日以内)に、起業者は土地所有者などを、土地所有者などは起業者をそれぞれ被告として、損失補償に関する訴えを提起することができます。
なお、損失の補償についての不服に関しては、当事者訴訟によってのみ争うことができ、審査請求や裁決の取消訴訟によって争うことはできません。
2 損失の補償以外についての不服
- 審査請求
裁決のうち、損失の補償以外について不服がある場合は、裁決書の正本の送達を受けた日の翌日から起算して30日以内に国土交通大臣に対し審査請求をすることができます。 - 取消訴訟
裁決のうち、損失の補償以外について不服がある場合は、裁決書の正本の送達を受けた日から3か月以内に、広島県(代表は広島県収用委員会)を被告として、当該裁決の取消訴訟を提起することができます。