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8-11 突然,辞めてくれないかと言われた|労働相談Q&A

印刷用ページを表示する掲載日2018年7月31日

労働相談Q&A

8-11 突然,辞めてくれないかと言われた

質問

会社の経営が思わしくないため,上司から「来月末で辞めてもらえないだろうか。」と告げられました。私としては,急な話で,どう対応して良いのかわからず,了承も拒否もしていません。このままではクビになってしまうのでしょうか。

回答

<ポイント!>
1. 使用者の退職勧奨に応じるかどうかは,労働者の意思で自由に決めることができますので,辞めたくなければ応じる必要はありません。
2. 退職勧奨なのか解雇通告なのか,あいまいな場合がありますので,会社に真意を確かめましょう。
 
退職勧奨と解雇
「解雇」とは,労働契約を使用者が一方的に解約することであり,労働者が自分の意思に基づいて労働契約を解約する退職と区別されます。
「退職勧奨」とは,いわゆる肩たたきや希望退職募集など,会社が労働者に退職を勧めることをいいますが,退職勧奨に応じて会社を辞めることは「退職」となるので,「解雇」の場合に必要な,予告期間や予告手当の支払(労働基準法第20条)は不要となります。
更に,離職の理由が解雇などの会社都合によるものか,自主退職などの自己都合によるものかによって,雇用保険の支給開始日や給付日数に差が生じてしまいます。(詳しくは,「強要された退職願を撤回したい」の項を参照してください。)
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退職勧奨に応じるかは,労働者の自由
このように,退職勧奨とは,あくまで「退職の勧め」ですから,それに応じるかどうかは労働者本人の意思に任され,辞めるつもりがなければ応じる必要はありません。
 
強迫を受けた場合は,取り消せる
労働者が自由な意思で退職届を出しますと,それで「退職」の効果が発生してしまいます。いったん提出してしまうと,撤回するのはかなり困難ですから,御自身に退職の意思のない場合は,退職届を出さないのが大原則です。
しかし,実際には,単なる「退職の勧め」という範囲を超えて,「退職の強要」が行われるケースもよくあるようです。例えば,長時間にわたって一室に隔離して執拗に退職を迫るなどの行為を受けた場合は,その行為により恐怖心が生じ,自由な意思決定を妨げられ,退職の意思表示をしてしまうことも起こります。このように,他人に害悪を示して恐怖心を生じさせ,その人の自由な意思決定を妨げる違法な行為を「強迫」といいますが,強迫を受けたために退職届を出したときは,労働者は,その意思表示を取り消すことができ,その結果,退職は,効力を失うことになります(民法第96条)。
 
こんな対応を!
会社側の言い方は,「今の会社の窮状を考えて,退職してもらえないだろうか。」とか「あなたの仕事はもうない。」など様々で,その真意があいまいなケースもよくあることです。その場合には,「退職勧奨」(使用者が労働者に自主退職をお願いするもの)なのか,「解雇」(会社の都合で労働者を辞めさせるもの)なのか,その意味するところを確認する必要があります。
また,場合によっては会社の退職勧奨に応じる気持ちがあるときでも,会社から提示された条件などをよく考慮した上で,慎重に判断しましょう。
退職の意思がない場合には,会社から勧められるままに安易に退職届を提出するのは絶対に避け,辞めるつもりのないことをはっきり会社に伝えましょう。