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7-5 企業合併,営業譲渡で労働契約はどうなるか|労働相談Q&A

印刷用ページを表示する掲載日2018年7月31日

労働相談Q&A

7-5 企業合併,営業譲渡で労働契約はどうなるか

質問

この度,会社が吸収合併されることになりました。現在の労働契約内容はどのように変わるのでしょうか。

回答

<ポイント!>
1. 合併の場合は,労働関係については存続会社(または新設会社)に包括継承されると解されています。
2. 営業譲渡の場合は,労働関係については,原則として当事者間の譲渡契約によって決められます。
 
包括承継と契約による譲渡
合併の場合,法的にも,解散会社の一切の権利義務は存続会社(または新設会社)に包括継承されることになるので,労働契約及び労働協約等についても同様に包括継承されます。合併に際しては,余剰人員の整理や労働条件の調整の問題が生じることもありますが,それらは,労働契約包括承継後の整理解雇,配転・出向等の問題として,あるいは労働協約・就業規則の不利益変更の問題として処理されます。
これに対し,営業譲渡の場合には,譲渡会社の財産は,それが譲受会社に承継されるかどうかは,当事者間の契約によって個別的に(1個1個)決まるため,譲渡会社と労働者との間に存在していた法律関係も,原則として譲渡契約の内容によって決められることになります。したがって,譲受企業で引き続き働くことを希望していてもかなわないことがでてきます。しかし,どの労働者を受け入れるかの選定は差別的なものであってならないことはもちろん,合理的なものでなければならないと考えます。
したがって,例えば組合活動家を排除することなどは許されません。
一方,労働者の側についていうと,譲受会社への異動には本人の同意が必要とされています(拒否する自由があるということです)。営業「財産」といっても人はモノではないのですから,本人の意思を無視して異動させることができないのは当然です(民法625条参照)。
 
こんな対応を!
合併契約書や譲渡契約書などで,合併や営業譲渡後に労働条件がどのように取り扱われるのか事前に確認が必要です。
労働組合などを通じて,早期に会社と話し合いをもち,納得のいく解決を見出してください。