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5-12 深夜に労働をしても時間単価が変わらない|労働相談Q&A

印刷用ページを表示する掲載日2018年7月31日

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5-12 深夜に労働をしても時間単価が変わらない

質問

私は,時間給のパートタイマーです。正午から午後8時までの早番と,午後2時から午後10時までの遅番の2勤体制で,それぞれ間に1時間の休憩があります。遅番の日は,しばしば残業が1~2時間くらいあるのですが,時間単価は変わりません。深夜労働は賃金が高くなると聞いていたのに,納得がいきません。

回答

<ポイント!>

深夜労働は,午後10時から午前5時までの間の労働をいい,通常の労働時間の賃金の2割5分以上の割増賃金が支払われます。

時間外労働・休日労働・深夜労働の割増賃金

労働基準法の規定では,使用者が労働時間を延長し,もしくは深夜(午後10時~午前5時)に労働させ,又は休日に労働させた場合,通常の労働時間の賃金額の2割5分以上(時間外又は深夜労働の場合)又は3割5分以上(休日労働の場合)の割増賃金を支払わなければなりません(同法第37条)。
時間外労働が深夜に及んだ場合は,時間外労働分と深夜労働分を合わせて,5割以上の割増賃金の支払いが必要となります(労働基準法施行規則第20条第1項)。
休日労働には,時間外という概念はありませんので,8時間を超えることになっても時間外割増の支払義務はありません(3割5分のままです)。もっとも,休日労働が深夜に及んだ場合は,休日労働分と深夜労働分を合わせて,6割以上の割増賃金の支払が必要となります(同規則第20条第2項)。

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「法内超勤」とは

時間外労働とは,1日又は1週の法定労働時間を超える労働をいい,休日労働とは,法定休日(労基法第35条で,毎週少なくとも1日又は4週間を通じ4日以上与えなければならないとされている休日)における労働をいいます。
法定労働時間は,休憩時間を除き原則1日8時間,1週40時間です。(労基法第32条。「会社が法定労働時間を守っているか確認したい」の項を参照してください。)
労働時間が法定労働時間より短い場合(例えば,1日7時間,5日勤務で週35時間の場合など)に法定時間の枠内で時間外労働したとき(例えば,前例で毎日1時間だけ時間外労働したとき)は,基準法上の残業とはなりませんから,残業手当(同法第37条)を支払う必要はありません。しかし,労働契約で定められた所定労働時間は超えているわけですから,これを「法内超勤」と呼び,所定労働時間を超えた労働時間に対しては通常の賃金を支払う必要があります。もちろん,法内超勤に対しても残業手当(割増賃金)を支払うことにしても問題はありません。

割増賃金の算定基礎

割増賃金の計算方法は,同法第37条などに定められています(さらに,同規則第19条)。それによると,計算に当たって,次の賃金は算定基礎から除外するものとされています(同法第37条,同規則第21条)。

  1. 家族手当,通勤手当,別居手当,子女教育手当,住宅手当
  2. 臨時に支払われた賃金(結婚祝金など)
  3. 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与,勤続手当など)

なお,上記の除外賃金に該当するかどうかは,名称によらず実質的に判断されることになっており,通勤手当と称されていても,通勤距離・費用などに関わりなく一律支給される手当(又は一律支給分)は除外賃金とはなりません。また,上記除外賃金は,いわゆる「限定列挙」であり,これ以外の賃金は除外することができません(小里機材事件・最一小判昭和63年7月14日)。

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こんな対応を!

お尋ねのケースでは,午後10時以降の残業部分は深夜労働の割増賃金(2割5分以上)が支払われます。また,労働時間が8時間を超えたときから,労基法上の時間外労働となりますので,午後11時から12時までの1時間については,加算されて5割以上の割増賃金が支払われます(下図参照)。

深夜労働・時間外労働の考え方

まず,労働協約や就業規則等で,勤務時間や残業部分の賃金支払に関する規定を確認してください。
規定がないか,あっても労基法の基準を充たしていなければ,上記のことを踏まえ,会社側に時間外労働と深夜労働の割増賃金を支払うよう請求しましょう。
応じてもらえないようなら,賃金未払いとして,労働基準監督署に相談してみましょう。