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5-1 会社が法定労働時間を守っているか確認したい|労働相談Q&A

印刷用ページを表示する掲載日2018年7月31日

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5-1 会社が法定労働時間を守っているか確認したい

質問

私の会社の勤務時間は,月曜日から金曜日までは,朝9時から夕方6時まで,土曜日は,朝9時から昼の12時までと決められています。月曜日から金曜日までは,昼の12時から1時までが休憩時間となっていますが,それにしても,他の会社に比べて労働時間が多いような気がします。問題はないのでしょうか。

回答

<ポイント!>

法定の労働時間は,原則として,1日8時間,1週40時間が上限です。

法定労働時間

労働基準法第32条は,使用者は,労働者に,休憩時間を除き1週間について40時間を超えて,また,1日について8時間を超えて,労働させてはならないと定めています。

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週40時間の例外

上に述べた原則に対し,労働基準法施行規則第25条の2によって,常用労働者が9人以下の事業所においては,次のように特例措置が設けられています。(9人以下かどうかは,企業全体ではなく,個々の事業場(例えば,○○支店,△△工場など)ごとに判断されます。)

物品の販売・配給・保管・賃貸,理容の事業 1週44時間まで
映画の映写,演劇その他興行の事業
病者・虚弱者の治療,看護その他保健衛生の事業
旅館,料理店,飲食店,接客業,娯楽場の事業

こんな対応を!

お尋ねの事例では,1日の実労働時間(休憩時間を除く労働時間)は最大で8時間,1週間の実労働時間は43時間となります。
したがって,1日では法定の基準を満たしていますが,週でみれば,一般的には法定の基準をオーバーしています。上に述べた「週40時間の例外」に該当しない場合は,事業主に対して改善を申し入れましょう。
事業主が改善に応じてくれない場合には,労働基準法違反として,労働基準監督署に相談しましょう。
実際の労働時間が法定労働時間を超える場合で,その超える部分の時間が時間外労働の要件を満たさない場合(36協定が締結されていない等)には,使用者には,労働基準法違反として罰則が適用されます。
なお,このような違法な時間外労働についても,使用者は割増賃金を支払う義務を免れることはできません。

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更に詳しく

労働時間の概念

「労働時間」とは,労働者が使用者の指揮・命令下に拘束されている時間をいいます。したがって,使用者の指揮監督から離れ,労働者が自由に利用できる時間である「休憩時間」は除かれますが,作業の準備や後片付けを事業所内で行うことを使用者から義務づけられたり,またはこれを余儀なくされたときは,これに要した時間は,労働時間となります(三菱重工長崎造船所事件・最一小判平成12年3月9日参照)。
また,作業と作業との間の待機時間である「手待時間」も労働時間に含まれます。「手待時間」においては,使用者の指示があれば直ちに作業に従事しなければならならず,使用者の指揮監督のもとに置かれているからです(後掲住友化学事件・最三小判参照)。
更に,最高裁は,ビル管理者など長時間勤務者に認められることがある「仮眠時間」についても,実作業に従事していない(睡眠も許されている)だけでは労働時間でないとはいえず,当該時間に労働者が労働から離れることを保障されていてはじめて,そのようにいえるとの観点にたって,仮眠室における待機(場所的拘束)と警報・電話等に対して直ちに相当の対応をすることが義務づけられていること,そのような対応をとることが皆無に等しいとはいえないことなどから,仮眠時間を労働時間に当たると判示しています(大星ビル管理事件・最一小判平成14年2月28日)。