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5-11 休憩時間がきちんと取れない|労働相談Q&A

印刷用ページを表示する掲載日2018年7月31日

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5-11 休憩時間がきちんと取れない

質問

私の課では,昼の休憩時間に毎日交替で電話当番を命じられ,当番に当たった人は,机の上で食事を取っています。電話がかかってこない場合は,実際には仕事をしていないことになるので,これで問題はないのでしょうか。

回答

<ポイント!>

休憩時間は一斉に与えられ,その利用は自由です。

法定の休憩時間

労働基準法では,労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分,8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないとされています(同法第34条第1項)。

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法の定める原則

休憩時間については,労働基準法により次の2つの原則が定められています(同法第34条第2項,第3項)。

1.一斉付与の原則

休憩は,原則として一斉に与えなければなりません。
ただし,その事業場の労働者の過半数で組織する労働組合又は労働者の過半数を代表する者との間で,一斉休憩を与えない労働者の範囲と,一斉休憩を与えない労働者に対する休憩の与え方について,書面で協定を結んだ場合には,その範囲内において一斉に与えなくてもよいこととされます。
また,バス・鉄道などの旅客・貨物運送業,物品の販売業,金融・保険業,病院,飲食店などは,事業の性質上特別な扱いが必要ですので,適用除外となります(労働基準法第40条,同法施行規則第31条)。

2.休憩時間自由利用の原則

労働基準法は,「休憩時間を自由に利用させなければならない。」と定めて,休憩時間中の労働者の行動に制約を加えることを禁止しています。
行政解釈では,「休憩時間とは,単に作業に従事していない,いわゆる手待ち時間を含まず,労働者が権利として労働から離れることが保障されている時間の意であって,その他の拘束時間は労働時間として取り扱われる」としています。つまり,手待ち時間においては,実際には作業や事務に従事していなくても,職場において待機している状態にあるので,使用者の指揮命令から離れて自由に利用できる時間(=休憩時間)とはいえず,労働時間に算入されます。
アルミニウム製造過程で電解炉の電圧が一時的に急上昇する現象が発生するおそれがあるので,休憩時間中も電解炉近くに留まることを指示されていた場合,当該時間は休憩時間とはならないとした最高裁判決があります(住友化学事件・最三小判昭和54年11月13日)。

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こんな対応を!

上に述べたとおり,休憩時間は,実質的に使用者の指揮命令から完全に離れることが保障されている時間のことですので,電話当番を命じられた場合は,休憩時間には当たらず,労働時間として取り扱われるべきです。
使用者が電話当番を命じる場合には,一斉付与の例外を設ける内容の労使協定を結んだ上で,電話当番に当たる労働者に対して別の時間帯に休憩時間を与えなければなりません。
この趣旨を伝え,自由に利用することができる真の意味での休憩が取れるように,会社に申し入れてください。
もし,会社が申し入れに応じないようであれば,労働基準監督署や労働相談機関に相談しましょう。