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4-11 急に退職金支給が廃止されて困っている|労働相談Q&A

印刷用ページを表示する掲載日2018年7月31日

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4-11 急に退職金支給が廃止されて困っている

質問

私は,家庭の事情で12月1日付けで退職することにしました。しかし,私が勤務している会社には,就業規則に退職金規定がありません。過去,退職金は,慣例として支給されていましたが,現在の厳しい経営環境から,本年度で廃止されることとなりました。
私は,退職金を前提に今後の生活設計を考えていたのですが,この廃止により大きく計画変更することを余儀なくされました。会社側のこの措置に問題はないのでしょうか。

回答

<ポイント!>

  1. 退職金については,法律上,支払が義務付けられていませんので,支払われるかどうかは,就業規則,労働契約等にその根拠があるかどうかによります。
  2. 明文の規定がなくても,これまでに退職金が支払われていた慣行や,支払について個別的な合意があれば,そのことが退職金を請求する根拠になると考えられます。

規則等があれば支給は必要

就業規則,労働契約,労働協約などで,退職金を支給することやその支給基準が定められている場合には,使用者は退職金を支給する必要があります。この場合,退職金は,労働基準法第11条に定める「賃金」と認められ,同法の保護を受けることになります。
就業規則に退職金を支払う旨の規定がある場合,就業規則の中に「対象労働者の範囲」,「退職金の決定・計算・支払方法・支払時期」を定める必要があります(労基法第89条第1項第3号の2)。
また,労使慣行として定着している退職金支給について,これを使用者が一方的に変更することはできません。(詳しくは「労使慣行に基づく退職金の支給は,一方的に打ち切ることが可能か」の項を参照してください。)

退職金の支払期日

退職金の支払期日については,就業規則等で時期を定めた場合は,それによることとなりますが,特段の定めがない場合や慣行に基づいて支給している場合は,労基法第23条第1項によって,使用者は,労働者の請求後7日以内に支払わなければなりません。

中退共等

中小企業退職金共済事業団などの社外機関に掛金を積み立て,社外機関が退職手当を支給する方式の場合は,退職手当は「使用者が労働者に支払う」ものではないため,労基法上の「賃金」とはなりません。
例えば,中小企業退職金共済の場合,中小企業退職金共済法に定める退職金共済契約に基づき,被共済者(労働者)が退職すれば,就業規則等に支払基準が定められていない場合でも,退職金の請求権が発生することになります。(中退共制度の詳細については,「中小企業退職金共済制度とは,どのような制度か」の項を参照してください。)

こんな対応を!

まず,会社の規定やこれまでの慣行などを確認しましょう。明文の根拠や支給の慣行があると認められるのであれば,それに基づき会社側に請求することができます。
なお,慣行に基づいて支給されている場合には,労働契約の明確化を図るため,就業規則に規定し明文化する必要があります。