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4-13 中小企業退職金共済制度とは,どのような制度か|労働相談Q&A

印刷用ページを表示する掲載日2022年4月1日

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4-13 中小企業退職金共済制度とは,どのような制度か

質問

現在,我が社には退職金制度がありませんが,従業員の退職後の生活安定などのために,退職金制度を新たに設けようかと考えています。ただ,我が社のような零細企業では,単独で退職金制度を設けるのは,現実として困難です。何か良い方法はないものでしょうか。

回答

<ポイント!>

中小企業者の互助共済と国の援助で運営される中小企業退職金共済制度があります。

中退共制度とは

中小企業退職金共済制度(略して「中退共制度」といいます。)は中小企業退職金共済法に基づく制度で,中小企業が加入することのできる社外積立型の退職金制度です。
中退共制度は,(独)勤労者退職金共済機構の中小企業退職金共済事業本部(以下「中退共本部」といいます。)が運営し,事業主が中退共本部と退職金共済契約を結び,毎月の掛金を金融機関に納付します。従業員が退職したときは,その従業員に中退共本部から退職金が直接支払われます。

加入の要件

この制度に加入できるのは,中小企業です。中小企業とは,次の「常用従業員数」又は「資本金・出資金」のいずれかを満たす条件に該当する企業をいいます。

業種別の要件
業種 常用従業員数 資本金・出資金
一般業種(製造業,建設業等) 300人以下 3億円以下
卸売業 100人以下 1億円以下
サービス業 100人以下 5,000万円以下
小売業 50人以下 5,000万円以下

従業員は原則として全員加入させてください。
ただし,次の条件にあてはまる従業員は加入させなくてもよいことになっています。

  1. 期間を定めて雇われている者
  2. 試みの雇用期間中の者
  3. 休職期間中の者
  4. 定年などで短期間内に退職することが明らかな者

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掛金

毎月の掛金は事業主指定の預金口座から,口座振替で納付します。掛金は全額事業主が負担し,掛金の一部を従業員に負担させることはできません。
掛金月額は16種類あり,事業主は従業員ごとに任意に掛金を選択できます。また,加入後いつでも増額変更することができます。

退職金の支払

退職金は,従業員が退職した場合に,中退共本部から従業員本人(死亡による退職の場合はその遺族)に直接支払われます。
支払方法は,

  1. 退職金の全額を退職時に支払う方法のほか,一定の要件を満たしている退職者から請求があれば,
  2. 全額分割払いや
  3. 一時払いと分割払いの併用の方法

も取ることができます。
なお,退職金は,掛金月額と掛金納付月数に応じて計算されますが,掛金納付月数が11か月以下の場合には,退職金は支給されません。

こんな対応を!

中退共制度の掛金は,法人企業の場合は損金,個人企業の場合は必要経費として全額非課税となります。また,新しく中退共制度に加入する事業主には,掛金の2分の1(従業員ごとに上限5,000円)を加入後4か月目から1年間,国が助成するなどの助成制度があります。
この制度をうまく活用して,退職金制度を確立し,従業員の福祉の増進を図っていきましょう。
なお,制度の詳細については,中退共本部(電話03-6907-1234)に問い合わせてください。

更に詳しく

企業年金制度として,他に次の制度があります。
・厚生年金基金制度
・確定給付企業年金制度
・確定拠出年金制度
なお,制度の詳細については,厚生労働省のホームページ及び(独)勤労者退職金共済機構のホームページをご覧下さい。