対策は、大きく分けると次の3点が考えられます。
1 室内における空気汚染物質の発生量を抑制するため、化学物質の放散量が少ない建材、家具、日用品を使用するようにしましょう。
2 とはいえ、室内からすべての化学物質を除去することは不可能ですから、換気によって室内の化学物質を排出するよう心がけましょう。
特に夏期は、室内温度が上昇し、化学物質の放散が増加するので、注意が必要です。
機械力を使って強制的に換気するため、計画的に換気量を設定することが可能です。最近の高気密住宅では、必要な換気量をまかなえるように機械換気システムが備え付けられているものがあるので、常時システムを作動するなど有効に活用しましょう。
機械換気システムが備え付けられていない場合には、自然力を利用したこの方法に頼ることになりますが、次の点に注意することで、効果的な換気ができます。
(1) 窓を開けるときは開口部(主に窓)を2か所以上つくりましょう。
風上と風下の両方を開放するのが最も効果的ですが、難しい場合は風上と側面を開放するようにしましょう。空気の通り道を作ることが大切です。
空気の流入が明らかに感じられるときなど、風が強い時には5分程度の窓の開放でも空気は入れ換わると思われます。特に、外出等で部屋が長時間締め切られていた時などは、まず窓を全開して空気を十分入れ換えるようにしましょう。
(2) 換気用小窓、ガラリ、換気口を利用しましょう。
最近の住宅では、サッシやドアに換気用小窓やガラリが、壁には換気口が備え付けられています。換気口を気付かないうちに家具などでふさいでいないか確かめるとともに、なるべく開放しておくようにしましょう。
(3) 補助的に局所換気(換気扇)を利用しましょう。
無風で自然換気があまり期待できそうにない場合や集合住宅で窓が一面しかない場合などは、これらを補助的に活用するのは有効です。この場合、換気扇と給気口(開口部)が離れているようにすると、より効果的な換気ができます。
上記の方法で適切な換気量が得られにくい場合は、換気扇や機械換気システムの導入の必要が考えられます。
また、周囲の特異な環境により流入する空気が汚染されていた場合は、たとえ換気をしたとしても、室内空気環境が改善されないのはいうまでもありません。
3 それでもなお、気になる場合には、次の方法も考えられます(現在のところ、研究段階のものが多く、今後の研究が期待されます。)。
(1) ベイクアウト
一定時間室内温度を高め、揮発性有機化合物の放散を促進させ、それらを換気により除去することで、建材などから化学物質を排除することをいいます。
ただし、建材の加工状態などにより最適な条件は異なり、また加熱しすぎると建築物にダメージを与えることもあるので、注意が必要です。
(2) 空気清浄機
製品によって、効果にばらつきがあるので、対象とする物質や原理などについて確認してから使用することが必要です。
(3) その他
炭、吸着シート、吸着塗料などが開発されていますが、効果については不明な点もあります。