佐藤 亮太さん

ひろしまブランド 「暮らしやすい」魅力

「元気・美味しい・暮らしやすい」

そんな広島をみんなで創る取り組み「ひろしまブランド」。今号のテーマは「暮らしやすい」。広島の暮らしやすい魅力とは…!NPO法人湯来観光地域づくり公社理事長 佐藤亮太さんにお話を伺いました。

「暮らしやすい」ひろしま INTERVIEW

こちらを向く佐藤さん

佐藤 亮太 さん (NPO法人湯来観光地域づくり公社)

愛知県出身。東日本大震災で被災し、当時暮らしていた福島県から広島市へ。2014年、湯来町に家族で移住。NPO法人湯来観光地域づくり公社の理事長を務め、アドベンチャーツーリズムや温泉街再生、海外20ヵ国からの農業体験者の受け入れなど、湯来町の活性化に精力的に取り組んでいる。

自然と温泉に癒やされ、広島市内にも好アクセス

桜とテント

山と渓流に囲まれた温泉の街・湯来町に住んでいて素敵だなと思うのは、景色や香りなど、五感で四季を感じられること。広島市中心部までは車で1時間ほどなので、街なかで遊べるのも魅力です。

国内外から多くの人に訪れてもらえるよう、大自然を肌で感じられるシャワークライミングやテントサウナ、キャンプのほか、源泉かけ流しの湯が楽しめる貸切露天風呂など、湯来町ならではの体験企画や施設運営をしています。

震災を機に、湯来町の小さな集落に移住

インタビューに答える佐藤さん

福島県に暮らしていた2011年3月、東日本大震災に遭ったんです。電気や水道、ガスがすべて止まり、配給頼りの生活を経験しました。そのとき「食べ物を自分で作れない限り本当の安定はない」と強く思うようになったんです。

震災後、縁あって広島市に転居しました。温泉が大好きなので、市内から湯来町に何度か訪れたことがあるんです。ここには農作物を作れる環境と大好きな温泉、そして市内との距離感の良さという魅力があると感じ、2014年に湯来町へ家族で移住しました。

僕たちが移り住んだのは、人口100人ほどの上多田地区。この地区の移住者第1号でした。かつて宿場町だった土地柄と、地元の方々の「地区を存続させたい」という想いから、外から来た人を快く受け入れる雰囲気が出来上がっていて、スムーズに溶け込むことができました。僕自身も、住むなら地元の方と色んなことを一緒にやれる場所がいいと思っていたので、最高の環境でした。

仕事を決めずに家だけ決めたところからのスタートでしたが、家から徒歩2分の場所にオシャレなカフェがあったんです。オーナーをSNSで探して会いに行ったら意気投合して、そのカフェを任せていただけることになりました。そこから、カフェを使って集落を発信していく取り組みを始めました。

湯来町で人生をゆっくり考えてほしい

湯来町の風景

「この店に来て、人生で忘れていたものに気付くことができた」。カフェに来たお客さんがくれたその言葉をきっかけに、訪れた人が街なかの喧騒から離れ、生活や人生について考えられる場所を作りたいと思い始めました。

その後、農業を通じた交流制度『WWOOF』を活用したところ、2年間で20ヵ国70人もの外国人が湯来町に来てくれました。この町の緑豊かな山や透き通った清流は、海外の人々からしたらすごく珍しいみたいで。

あるドイツ人の男の子は、湯来町に4カ月ほど滞在する中で「ハンターになりたい」という夢を見つけ、今ではドイツでハンターをしながら、大学院で林業を学んでいます。彼からその話を聞いて、「湯来町は人生のターニングポイントになりうる場所なんだ!」と確信しました。

奥湯来シャワークライミングの参加者

そこから国内外の観光客に向けてPRを強化したのが、川で行う体験プログラム『奥湯来シャワークライミング』です。激しい急流を登ったり、10m近い岩場から飛び込んだり…ちょっと勇気のいる挑戦を通して「人生観が変わった」という参加者もいらっしゃいます。

挑戦して「できた」という経験が自信になるし、仲間と励まし合うことで連帯感が生まれる。親子や友達同士での参加はもちろん、企業研修にも取り入れてもらえたらいいなと思いますね。

自然×温泉を満喫できる場所づくり

湯来温泉

暮らしてみて感じる湯来町の魅力は、広島市内からそう離れていないのに、四季折々の風景が楽しめる大自然と、泉質の良い温泉に恵まれているところ。「自然×温泉」が満喫できる場所づくりも進めています。

まず2019年、地元有志で貸し切り露天風呂『誠の桧湯(まさのひのきゆ)』をオープンしました。かつて町民に親しまれていた公共露天風呂を、19年ぶりに復活させたんです。源泉かけ流しの湯に浸かりながら、自然の景色を眺められますよ。

テントサウナと参加者

また同年から、『湯来交流体験センター』でテントサウナの貸し出しも開始。サウナを出て目の前の川に飛び込んだ瞬間の爽快感は、他では味わえないと思いますね。『誠の桧湯』もテントサウナも町外・県外の利用客が増えています。

湯来温泉街を再生させて地元に恩返しがしたい

湯来温泉街

けれど、ここで満足してはいられません。僕らが目指しているのは「湯来温泉街の再生」だからです。その目標を実現させるため、現在は廃業した旅館を復活させる計画に官民連携で取り組んでいます。

温泉街を再生させて湯来町を盛り上げることで、よそ者の僕と家族を受け入れてくれた地元の方に恩返しができればと思いますね。これからも「湯来町に来たら何かが変わる」と体感してもらえる地域づくりを進めていきます。

また、広島市内や江田島、宮島などの他地域と協力してアドベンチャーツーリズムの造成も始めています。アクティビティーを体験したり、人に出会ったりしながら各地域に滞在してもらう企画です。湯来町だけでなく、広島県全体を盛り上げていきたいです。

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