法人名 | MerryGate ホールディングス株式会社 |
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所在地 | 【広島本社】広島市東区光町1-9-19 【東京本社】東京都中央区八重洲2-4-6 |
URL | https://www.merrygate.co.jp/ |
業務内容 | 母体となる中国総合信用株式会社(以下、中総信) は、1973年に創業し、金融機関の取り扱う住宅 ローンや消費者ローンなどの個人向けローンの 信用保証業務で主に中国地方で地域貢献してきた。 47年間で培った信用保証業務のノウハウと新たな ソリューション提供を全国の金融機関に行うべく、 2018年にMerryGate ホールディングスを設立し、 金融機関向けITソリューションの提供を行う一方、 グループ内の会計、経理、システム管理等の事務代 行業務を行い、グループ企業の中核となっている。 |
従業員数 | 76名 |
女性従業員比率 | 44.7% |
女性管理職比率 | 21.4% |
(2020年12月現在)
広島市東区に広島本社を構えるMerryGate ホールディングス株式会社(以下、MGHD)の母体となる中国総合信用株式会社は、信用保証業務の先駆者として1973年に設立され、中国地方の地域社会に貢献してきた。2018年にMGHDを設立し、保証業務で培ったノウハウを生かし、金融機関向けITソリューションの提供を行うなど業務領域、顧客ネットワークを全国に拡大中だ。「女性従業員に対して、配慮はしますが、特別扱いはしません」と取締役社長 加藤裕史氏(以下、加藤社長)が言うように、フラットな組織風土の同社では、既に6名の女性管理職が活躍している。女性活躍を含めたダイバーシティを見据えて取り組む同社に話を聞いた。
2017年に取締役社長に就任した加藤社長は、金融機関向けITソリューションをはじめ、新たな収益の柱の構築を牽引するとともに、性別にかかわらず能力と意欲の高い人材の登用を進めるなどさまざまな改革を進めている。
「お客様である金融機関が提供するサービスは、ここ数年で大きく変化しました。我々も時代の変化や顧客ニーズに合わせて変わっていかなければなりません。これまで培った信用保証業務のノウハウをベースに、さらなる付加価値を提供すべく人材の多様化と育成を進めています。お客様のニーズや人々の暮らしがますます複雑化していく中で、多様な価値観を受け入れ、柔軟な発想で新たなサービスを開発・提供していくことは、当社が持続的に成長する上で必要不可欠です」。
加藤社長は、こうした考えを全従業員に伝え続けながら、さまざまな取組を進めている。
例えば、東京で開催する研修プログラムへ参加する機会を設け、自分たちの普通とは違う背景や文化を持つような他社の人たちと接することで、見識を深めたり、意識改革を促したりしている。具体的には、ミュージカル劇団主催の自分の殻を破る事を目的としたスキルアップ研修や、アミューズメント施設主催の顧客満足度研修などユニークな研修プログラムを追加したそう。一見すると業務に関係がないように思えるが、「普段接しないものに触れたときに、『何を感じるか』を大事にしてほしいと思っています。また、新しい経験は視野を広げる良いきっかけになります。普段仕事をしている地域や顧客、人だけに目を向けるのではなく、そうした機会を通じて、多様性を感じ、考え方の幅を広げてほしい」という意図なのだそうだ。
また、新事業の軸となるシステムエンジニアや、他業界から未経験者を採用し、社内人材の多様化を図り、新たな風を入れつつ、顧客から求められるサービスを常に提供し続けられるように組織のアップデートを進めている。
同社の直近5年間の新卒採用実績は、女性比率が67%と、男女の区別なく採用している。さらに、採用後の悩みの一つとして「せっかく採用した新人がすぐに辞めてしまう」とよく聞くが、MGHDが属する金融・保険業の新卒3年目離職率が24.8%であるのに対し、同社は0%だそうだ。
「入社前のイメージとのギャップ等により、入社直後に退職ということにならぬよう、採用の段階で、相互理解のための時間を多めにとるようにしているからでは」と、経営管理部長 三谷元昭氏(以下、三谷部長)は分析する。
「例えば、当社の業務の一つでもある回収業務は、借金の取り立てといったような暗いイメージが先行して誤解され、入社に対して保護者の方々が難色を示されるケースも実際にあります。我々がどういうビジョンを持って、どういう業務を行っているかをきちんと説明し、応募者からの質問には正直に答えるようにしています。また、入社後に必ず取得しなければならない資格も多く、学び続けなければならないのも当社の特徴です。包み隠さず事実を伝え、理解・納得した上で入社できるように努めているため、入社直後の離職が少ないのだと思います」。
性別にかかわらずキャリアアップできる環境も整っているそうだ。入社後は「マンツーマン教育制度」を設け、年次の近い先輩社員と新入社員が日誌を介して、質問や相談ができる体制を整えている。
「相手が理解できるように伝えるというのは意外と難しく、後輩に教える作業を通して先輩社員自身もより深く理解し、育成を通じてさらに成長してもらいたいという意図もあり、相互教育の場として役立っていると思います」と、三谷部長は言う。
新入社員は基幹業務である審査部を含め、1年から3年の比較的短期間のジョブローテーションで一連の業務を経験し、一人ひとりの適性を見極めた上でプロフェッショナルとしてのキャリアを積む。
2008年に、従来の年功序列型から能力主義をベースとした人事制度に移行後、時代の流れに応じて都度アップデートしてきたそう。採用や人事制度改革、人材育成を着実に進めてきた結果、ようやく女性管理職として活躍できる人材が育ってきたのだそうだ。
同社では、2001年から大卒者の女性採用を始めたそうだが、その第1号である経営管理部人事・財務グループ課長代理 崎手久美子氏(以下、崎手氏)、女性管理職のトップバッターの一人として活躍中だ。
従来から男女の区別なく機会を与え、育成してきた同社の中で、崎手氏も、「これまで『女性だから』という理由でマイナスに感じたことはありませんし、業務の割り振りもフラットです。入社後、ジョブローテーションで一通りの業務を経験させていただき、今の部署は6年目になりますが、自身の特性をよく見てくださった上で配置していただいていると感じます」と話す。取得が必須の資格に加え、簿記2級や宅地建物取引士資格など、業務に必要な知識やスキルを積極的に学び、管理職登用後も、女性管理職研修やダイバーシティ研修などに積極的に参加するなど自己研鑽を重ねてきたそうだ。「当社の女性管理職のロールモデルの一人として今後も活躍してほしい」と、加藤社長、三谷部長は信頼と期待を寄せており、後進の女性管理職も育ってきているそうだ。
最後に、同社の今後のビジョンについて加藤社長に聞いた。
「当社は、金融機関をベースに発展していた経緯もあり、保守的な価値観も社内に残っていましたが、今後はそうした社内の雰囲気を変えるとともに、従来の枠にとらわれず、さまざまなビジネスに取り組んでいきたいと考えています。管理職登用においても、自分の枠を決めて、自身の成長を自分で抑えるのではなく、会社としてもチャレンジを続ける中で、是非、自身の殻を破ってチャレンジしてほしいと思っています」。
柔軟な考えと強い発信力、さらには実行力を併せ持つ加藤社長のもと、会社の「ありたい姿」をしっかりと描いて制度を整備。多様な人材を仲間に迎え、ロールモデルとなる女性管理職を育成するなど、従業員の意識変革を促すさまざまな取組を、スピード感をもって進められていると感じた。
フラットな職場環境や制度を整備し、性別で分け隔てせずに仕事の機会を与えて、育成し、ロールモデルとなる女性管理職を増員。着実に女性活躍を進める同社の視線は、「ビジネス展開するために必要不可欠な多様性の実現」に向かっていると確信が持てた。
●取材日 2020年12月
●取材ご対応者
取締役社長 加藤 裕史氏
経営管理部 人事・財務グループ 部長 三谷 元昭氏
経営管理部 人事・財務グループ 課長代理 崎手久美子氏(※『崎』の右側は「大」が「立」)