所在地 | 739-0198 広島県東広島市吉川工業団地7-10 |
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URL | https://jp.micron.com/ |
業務内容 | 最先端メモリ製品の開発、設計および生産. 最先端メモリ製品の販売およびマーケティングなど |
従業員数 | 4,400人(2022年6月時点) |
パソコンなどに使われる記憶装置のDRAMやNAND型フラッシュなど半導体メモリを製造する。中でも、DRAMのシェアは世界3位を誇る。世界の各拠点で社員が働きがいを感じられる職場づくりに取り組んでおり、国内唯一の生産拠点の広島工場(東広島市)でも同様に取り組み、GPTW2022年版広島県における「働きがいのある会社」優秀企業に選出された。同社は、ダイバーシティ(多様性:D)、イコーリティ(平等性:E)、インクルージョン(包摂性:I)を重要な価値観と位置づけ、有能な人材が継続的に成長し、力を発揮できる職場環境の整備を目指している。さらに、「DEI」を推進する企業と優先取引するなど、社内だけでなく、社外への価値観の浸透にも取り組む。工場長のジョシュア・リー氏は「働きがいの創出に取り組むことで、他のグローバル企業との差別化になり、マイクロンが世界的に認められるようになります。そして、こうしたGPTWのような調査に参加することで当社の立ち位置を再認識できます。当社が取り組んでいる『DEI』の価値観を尊重することでイノベーションが実現し、われわれのチームメンバー(社員)の体験を豊かにすることができると考えています」と話す。
マイクロンでは現在、世界17カ国で事業展開し、4万人以上が働く。広島工場でも4000人超が働いており、多様性を推進。外国人や障がい者、LGBTQ+(性的マイノリティ)といった社会的少数者に対する働きやすい環境整備を進める。性別や国、障害の有無などの区別なく公平な基準で評価できるよう各社員のパフォーマンスをデータ化し、そうしたデータ内容を基に報酬を決めているという。さらに、社員の意見を吸い上げる仕組み「フォーカスグループディスカッション」を推進。性別や国、職位別など任意に社員を選出し、意見を集約して会社全体の取組に生かしている。社員にとって、多様な意見が取り入れられることで、組織に貢献できるといった実感につながっている。
多様な人たちが働く中でパフォーマンスを上げるには、人と人とのつながりが重要という認識につながったという。広島工場ではカラフルなソファや、さまざまな大きさのデスクを配置して、気軽に交流できるような雰囲気づくりを心掛けている。人事部門ディレクターの鈴木直人氏は「当社では国内外の社員が働いており、日本語や英語でコミュニケーションを図っています。カジュアルな雰囲気の中で生まれるアイデアやイノベーションはとても大切です。それらを会社が認めて取り上げ、成功に導くことで、社員個人が誇りを持って働けるようになります」と語る。今後も仕事やプライベートの話ができるトーキングルームを社内に整備するほか、工場内に人気カフェチェーンをオープン予定で、一層の交流促進に期待をかける。多様な国の人たちが働くからこそ、互いを理解・尊重することが重要で、そのためにも、さまざまな交流を生む施策を試み、仲間意識・連帯感を持つ組織づくりを進める。
心身ともに幸福な状態を表す「ウェルビーイング」という概念を経営に取り入れ、社員の仕事に関する悩み事から個人的、または家族に関する心配事まで、さまざまな事柄を専任の支援者に相談できる体制を整える。悩み事などを相談できる「ウェルビーイングルーム」を社内に設け、いつでも利用できる。専任の支援者が社員の話を傾聴し、解決に近づけるようサポート。マネージャークラスも利用しており、例えば、配下の社員が障がい者だった場合の接し方などについて相談に乗っている。鈴木氏は「何より重要なのは傾聴です。答えを教えるのではなく、社員自身に気付いてもらうよう促す仕組みとなっています。自分自身が気付くことで本人の成長になり、その後の自発的な行動へとつながっていきます」と話す。会社として社員の心身の健康に気を配ることで、幸福度の高い社員が増え、生産性の向上や採用面での好影響がもたらされている。
「従業員リソースグループ(ERG)」という社員による自発的なボランティア団体を結成しており、世界で10団体、国内で6団体が活動している。グループリーダーは会社幹部が務め、一過性ではなく継続的に取り組む。例えば、目に見える/見えない障害を認知・啓発する団体や、LGBTQ+を認知・啓発する団体、多国籍の文化や背景を理解促進する団体などさまざま。こうした活動は同社の大切にする価値観「DEI」に基づいており、さまざまな背景を持つ社員の相互理解へとつなげている。ジョシュア・リー氏は「社員のボランティア参加率は80%を超えています。ERGは、人々を結びつける役割を果たすとともに、多様な文化への理解を促します。この活動は、さまざまなコミュニティや社会に対して、例えば教育の機会の提供や経済的支援といった面で利益をもたらしており、今後も地域社会への貢献を拡大したいです」と話す。
マイクロンは「DEI」をはじめ、多様性や異質なものを受け入れ、それを会社の強みに変えることを推進しているが、日本ではそれが浸透するにはまだ時間がかかると考えている。鈴木氏は「頭では良いと分かっていても、多様性や異質なものを受け入れることに尻込みをする人もおり、現実的に実行していくには工夫が必要と感じています。継続的な人材育成を進めるとともに、価値観に共感する社員を採用し、徐々にグローバルスタンダードに近づけたいです」と話す。
個人が持つ特有のスキルや経験、価値観などが認められ、活用される社会・組織を目指している。ジョシュア・リー氏は、「広島工場の社員は、米国をはじめ、シンガポール、マレーシア、中国などから集まっており、多様性に富んでいます。そうした人たちが働く中で『DEI』を尊重する文化は、さまざまな恩恵をもたらしてくれています。多様性(D)があるからこそ革新性のあるアイデアが生まれます。機会は平等(E)に与えられており、包摂性(I)を大切にする文化によってお互いが支え合い、チームの成長へとつながります。社員の意欲を高め、前向きな職場づくりを心掛けています。今後も『DEI』の文化をさらに広めるとともに、人材育成を継続することで、マイクロンを広島、日本、そして世界で最も働きがいのある場所にしたい」と展望を語る。
人事部門 ディレクター
日本地域ビジネスパートナー
鈴木 直人 氏
東広島の工場で働く社員からは、雇用創出や地域経済への影響という点だけでなく、地域へのボランティア活動など、あらゆる面で貢献できていることに誇りに感じている、といった声が上がっています。当社では全ての社員が自分自身の価値観や考え方を認められていると感じる職場環境を目指しており、いたるところに「DEI」の文化の浸透への仕掛けが施されていると感じています。今後も当社の理念に共感する多様な人材の採用活動を積極的に行い、ここで働いて良かったと思えるような会社を目指したいです。
取材日 2022年6月