働き方改革事例アイコン人的資本経営の促進・開示事例

人の力で“安全”届け140年 納得感ある評価制度を構築

株式会社RTホールディングス

  • その他の業種
  • 福山市
  • 301人以上
ウェルビーイング個人の成長働き方改革エンゲージメントの最大化社員の安全・健康イノベーション人材の育成

本社外観

所在地
〒729-0104 広島県福山市松永町4-15-83
URL
https://www.royal-corp.com/
業務内容
自動車など教習所の経営、有機醤油・調味料・野菜などの製販
従業員数
889人
レポート
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目次

 
住吉常務、掛谷課長​2025年4月に発足した持ち株会社。幅広い事業を手掛ける中で代表的なのは、
広島市安芸区と福山市で運営する自動車学校「ロイヤルドライビングスクール(DS)」だ。
また祖業である、しょうゆ製造のほか、近年はM&Aなども積極化し
急速に規模を拡大。
もちろん、事業規模と同時に従業員の数も拡大している。
本格的に人的資本経営に乗り出したのは、その「人の力」をより引き出し、
企業としてさらなる高みを目指したいという思いだったという。
住吉利文常務、人事部人材開発課の掛谷望課長に話を聞いた。

 

1.規模拡大を機に人的資本経営へ

ロイヤルドライビングスクール​ロイヤルDSの年間卒業者数(2025年、四輪・二輪合計)を見ると、広島は4650人で県内28校のトップ。
続く2位が3968人の福山で、まさに広島を代表する教習所といえる。
こうした教育カンパニーでは他に、労働安全衛生教習の「ロイヤルパワーアップコーポレーション」、
船舶教習の「ロイヤルマリンコーポレーション」などを展開。また、しょうゆ製造の寺岡有機醸造をはじめとした
食品カンパニーも傘下に抱える。

 

 

 

 

 

会社外観②​同グループではHD化の前から年商100億円を目標に置き、既存事業の伸長に力を入れてきた。
さらに、ここ数年は県内外でのM&Aや資本提携も進め、県内だけでも菓子「旬果瞬菓」や
「広島チョコラ」など製造の共楽堂(三原市)、酒造の天寶一(福山市)がグループイン。
さらに県外の自動車学校、食品加工会社なども加わった結果、グループ売上高は
2020年からの5年間で約2.5倍に増え、ついに2025年度、108億円にまで達した。
 
 
 
 
 
 
 
 

2.人事部発足、役割を明文化

住吉常務​規模の拡大を見据え2024年春、経営管理本部の中に採用や労務管理を行う
人事部を新設。従来は総務部内の業務の一部という位置付けだったが、
100億円企業を志し専門部署化に踏み切った。当時の状況について、住吉常務はこう振り返る。
「中核のロイヤルDSでは、早くからインターンシップに取り組んでいたことや
学生からの認知度の高さもあり、新卒採用は比較的順調でした。
一方で課題だったのは離職率。原因を分析したところ、評価基準が抽象的な
ため、社員は納得感を十分に得られていないのではないかと考えました。」
 
早速、評価制度のブラッシュアップに着手。
第1ステップでは経営層へ対し、人的資本経営とは何か、自社の理念
「本物を創造」を踏まえて何に取り組むべきなのか、といった
全体イメージをすり合わせた。
その次の第2ステップとして、現在進めているのは「明文化」だ。
新入社員、主任級、部長級など七つある等級に対し、それぞれの役割を定義付け。
目に見える基準を作ることで、評価される側はもちろん、
評価する側も納得感が高まると見込んでいる。

3.広く会社のことを知ってもらう

掛谷課長​実務面を担うのは、人材開発課の掛谷課長。元々は人材業界で
コンサルティングなどに従事していたが、人事部の発足と同時に入社した。
「等級制度そのものは良い仕組みだと感じていました。
だからこそ社外の知見などを生かし、より分かりやすい形にできれば、社員の
エンゲージメント(帰属意識や意欲)はもっと高められると思いました。」
 
掛谷課長は続けて語る。
「各等級の役割をハッキリさせたら、第3ステップでは昇格・昇給のルールも
明確化する計画です。モチベーションに直結する領域なので、
ここは特に重要視しています。そして最終ステップは、上司など
評価者サイドに向けた研修を通して、制度全体を社内に浸透させること。
広島県の『人的資本経営促進補助金』も、この四つのステップを進めるために
活用させていただいています。」
年内には第4ステップまで完了し、翌2027年の頭には全社にアナウンス。
同年4月から本格運用を計画しているという。
 
住吉常務は、「当社は昔から売上高や利益なども含め、さまざまな経営指標を社員に公開するスタンス。現状を知ってもらうことで、一人一人が仕事への責任感を強くするという考え方です。人的資本経営に関しても同様。人的資本開示レポート*を“見られている”という意識が、より良い会社づくりに結び付くと考えています。」
*人に関する方針や取組内容をまとめたレポート

4.変わった「学びへの意識」

勤務風景​評価制度の他にも、社員の定着や成長のための取り組みは数多い。
研修は新入社員向け(8日間)に始まり、若手、次世代リーダー、中間管理職といった階層別で月1回、
学びの機会を用意。内容の充実もさることながら、社内の意識が変わりつつあると住吉常務は手応えを示す。
「研修の受講はトップダウンではなく、基本的には受けたい・受けさせたい人を募る形です。
以前は現場から『目の前の業務が忙しいから研修に人は出せない』のような反応もありました。
しかし管理職、幹部クラスが会社全体の成長や、将来のことを考えるようになってくれて、そうした声はかなり減りました。」
 
 
 
 
 
数値にも効果が表れ始めた。自動車学校など教育カンパニーでは、従来15%ほどだった離職率が、直近では10%を切ることがほとんど。事業会社によっては0%のところもある。また男性社員の育児休業取得率は2022年の20%から、2024年は44.4%にアップ。ワークライフバランスが整ってきている。

5.社員の可能性広げる制度

勤務風景②​雇用形態にかかわらず、全社員が悩み事を相談できる「ほっとライン」制度も特徴的だ。
対面だけでなく電話、メール、オンラインなど手法を選べ、掛谷課長ら窓口メンバーが
日々のちょっとしたモヤモヤに寄り添う。
「もちろん、意見を聞いて終わり、ではありません。『実はこんな仕事がしてみたい』、
『自分の得意分野を生かしたい』といった声に応えるべく、2026年7月から社内公募制度を始めました。
今は広報と、DX推進の担当者を募っています。社員の可能性を広げることは、
本人と会社の双方にとって大きなメリットになります。」
 
 
 
こうした仕組みは今後、さらに拡充させていきたいと住吉常務は語る。「まだ全て計画段階ですが、まずは社内インターン制度。例えば自動車学校の指導員に本社の業務を体験してもらうイメージです。自身の適性など新しい気付きを得て、公募制度に手を挙げる人が出れば。また、社内での副業という形も検討しています。これも自動車学校を例に出すと、しっかり働いて給料を稼ぎたいという人が、空いた時間にパワーアップスクールでクレーン操作などを教えたり、農業への従事などが進んだりすれば良いですよね。」

6.経常利益20億円へ挑戦続ける

2030年までに目指すとしていたグループ年商100億円を前倒しで達成。経常利益20億円を新たな目標として掲げ直したところだ。規模が拡大すれば人も増え、より多様な仕組みでキャリアを支えることが求められる。住吉常務は未来を見据え、こう話す。

「しょうゆ製造を始めてから140年近く。いつの時代も“人”が中心となり、教育とも共通の“安全”という価値を届けてきました。人への投資を惜しまず、これからも挑戦を続けていきます。」