ヤングケアラーについて
「ヤングケアラー」とは
ヤングケアラーとは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子供をいい、責任や負担の重さにより、学業や友人関係などに影響が出てしまうことがあります。

子供が、家族の世話や家事の一部をすることは、家庭内での役割として一般的に行われていることであり、子供の年齢や成熟度に合った家族のケア、世話やお手伝いは、思いやる気持ちや責任感などを育むなどの良い面もあります。
一方で、子供の年齢や成熟度に合わない重すぎる責任や作業など、過度な負担(※)が続くと、
・子供自身の心身の健康が保持・増進されない
・学習面での遅れや進学に影響が出る
・社会性発達への影響
・就労への影響
などが出てくることがあるとの報告もあります。
※「過度な負担」とは、世話をする時間が労働の負荷などの量的な負担だけではなく、本来大人が果たすべき責任や精神的な苦しさなどの質的な負担も含まれます。
「ヤングケアラー」は、家庭内のとてもデリケートな問題であって表面化しづらく、また、子供自身や家族の認識がない等の場合もあり、周囲からは支援の対象として認識されにくいものです。
そこで、本ページでは、まずは「ヤングケアラー」の存在を知っていただくために、全国調査や本県の調査結果等を紹介するとともに、「気づき」へのヒントや、支援に「つなぐ」相談窓口等をご案内しています。
ひろしま子供の未来みんなで応援プランについて
すべての子供・若者が、社会の宝として、成育環境の違いに関わらず、健やかに夢を育むことができ、子供を持ちたいと思う人が安心して子供を持ち、育てられる社会の実現』を目指し、子供・子育て施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、広島県では、「ひろしま子供の未来みんなで応援プラン」を策定しました。
本プランにおいて、ヤングケアラーを「特に考慮が必要な社会情勢等の変化」の一つとして記載し、目指す姿に向けて取り組むこととしています。
○計画期間
令和7(2025)年度~令和11(2029)年度の5年間
○プランの対象
妊娠期からおおむね30歳未満のすべての子供・若者と子育て家庭及び子供・若者を取り巻く社会のすべての構成員
○目指す姿
ヤングケアラーとその家族が、地域や様々なかかわりの中で見守られながら、それぞれの移行や希望に応じて必要な支援を受けることができており、ヤングケアラー本人の学業や友人関係、将来等の不安、ならびに家族全員が日々の生活に不安を感じることなく暮らすことができています。
○成果指標
ヤングケアラーの認知度を令和11年度までに70%とすることを目指します。
ヤングケアラーについて | R6年度(現状) | R7年度(目標) | R11年度(目標) |
---|---|---|---|
1.知っているし、理解している | 37.0% | 44.0% | 70.0% |
2.聞いたことがあるが、よく知らない | 32.4% | ― | ― |
3.聞いたことがない | 30.5% | ― | ― |
ヤングケアラーコーディネーターの配置について
広島県では、ヤングケアラーとその家族が、地域や様々なかかわりの中で見守られながら、それぞれの意向や希望に応じて必要な支援を受けることができ、ヤングケアラー本人の学業や友人関係、将来等への不安、並びに家族全員が日々の生活に不安を感じることなく暮らすことができる社会を実現するため、ヤングケアラーコーディネーターを設置しました。
○ヤングケアラーコーディネーターの役割
1.ヤングケアラーに係る取組・地域資源等に係る情報収集
市町と連携し、ヤングケアラーに係る地域の情報収集に努めます。
2.市町の抱えるケース対応・相談支援に関する助言
市町を対象として、ケース対応や関係ネットワーク構築等の体制強化に資する助言を行います。
3.ヤングケアラーに関する理解を深める研修の開催
学校(教員、スクールソーシャルワーカー、生徒)や支援関係者(民生委員児童委員、ケアマネ、相談支援専門員、子供食堂などの居場所の関係者等)、一般住民を対象に、要請に応じた出張出前講座や市民セミナーの講師派遣への協力を行います。
4.ヤングケアラー支援マニュアルの作成
対応力の底上げ、質の平準化に資するマニュアルを作成します。
「ヤングケアラー」に関する調査
厚生労働省の調査(R2・R3)では、世話をしている家族が「いる」と回答したのは、小学6年生で6.5%(約15人に1人)、中学2年生で5.7%(約17人に1人)、全日制高校2年生で4.1%(約24人に1人)、大学3年生で6.2%(約16人に1人)でした。
これは、小学6年生の場合、回答した人の約15人に1人、中学2年生の場合、約17人に1人が世話をしている家族が「いる」と回答したことになります。
広島県が実施した「子供の生活に関する実態調査」(R5)によるアンケート調査では、次のとおり回答が得られています。
回答(選択) | 小学5年 | 中学2年 |
---|---|---|
あてはまる | 1.6% | 1.0% |
あてはまらない | 66.3% | 73.8% |
分からない | 29.6% | 22.8% |
「あてはまる」と回答した子供は、それぞれ1%台ですが、「分からない」と回答した子供は、小学生で約30%、中学生で約20%を占める結果でした。
「ヤングケアラー」自体の認知が十分ではない実態がうかがえる結果であり、また、回答した中には、自身がヤングケアラーであると判断できない場合も含まれている可能性も考えられます。
回答(選択) | 小学5年 | 中学2年 |
---|---|---|
世話をしている人はいない | 72.6% | 82.3% |
きょうだいの世話をしている | 15.9% | 8.9% |
父親・母親の世話をしている | 父:2.6% 母:4.1% | 父:1.3% 母:2.3% |
祖父・祖母の世話をしている | 祖父:1.4% 祖母:1.7% | 祖父:0.5% 祖母:1.0% |
子供たちが世話をしている家族は様々ですが、小学5年、中学2年のともに「きょうだい」が最も多いという結果でした。これは国の調査においても同様であり、幼かったり障害のあるきょうだいのお世話などをしているなどの状況にあるものと思われます。また、父母や祖父母のケアをしているという子供も一定数存在しているという結果も得られました。
ヤングケアラーへの理解について
「ヤングケアラー」を理解する
ヤングケアラーは、家庭内の問題であり、表面化しづらいことが大きな課題です。子供とその家族に関わる機会の多い関係者の方をはじめ、地域で暮らす人の全員が、ヤングケアラーについて理解し、気づいたときには声を掛け、本人の気持ちに寄り添いながら必要に応じて支援につなぐ意識を共有して行動を広げていくことが重要です。
○こども家庭庁 (引用元:こども家庭庁HP)
○(公財)広島県男女共同参画財団「エソール広島」(引用元:エソール広島)
ヤングケアラーに「気づく」ポイント
ヤングケアラーの存在に気付くには、普段から「身近にヤングケアラーの子がいるかもしれない」ということを意識することが大切です。
日常の暮らしの中で「気づき」につながるきっかけの例をご紹介しますので、日ごろ子供と接する様々な場面での気づきの参考にしてください。
自分が「ヤングケアラー」かもしれないと感じている方へ
あなたが家族のお世話をすることは、大変すばらしいことです。しかし、あなたにとって「やりたい」と思うことや、年齢に応じた子供らしい暮らしを送ることも同じように大切です。日々の生活のなかで、学校生活や勉強のこと、将来の進路などの悩みや不安な気持ちを誰かに話してみたいと思ったら、先生や信頼できる身近な大人のひと、相談機関などに相談してみてくださいね。
家族が「ヤングケアラー」かもしれないと感じている方へ
家庭内で子供によるケアの負担が大きいと思われている家族の方は、身近な相談窓口もありますので連絡してみてください。
相談することは勇気がいることかもしれません。ですが、家族の安心な暮らしにつなげるためのきっかけとなる第一歩です。ご家族の状況によっては、福祉サービス等の公的支援制度を利用することで、負担軽減につながる可能性もあります。
子供と接する機会や関わることが多い人・地域の皆様へ
日々、子供と接する中での様子や変化に気づいたときなど、気になる点があれば、本人の気持ちに寄り添いながら声を掛け、相談内容や家庭状況等から「相談機関を紹介する」・「相談機関につなぐ」など必要に応じて関係機関と連携した支援をお願いします。
ヤングケアラーに関する相談窓口について
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