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食品工業技術センター研究報告 第23号

印刷用ページを表示する掲載日2012年1月12日

「広島県立食品工業技術センター研究報告 第23号」は,報文4報,研究ノート3報を掲載しています。

【報文】国内産・外国産乾燥昆布の性状と佃煮加工適性

著者:山内慎也,岡崎尚,米田達雄,中川禎人

昆布の洗浄歩留まりと,灰分量,カルシウム量,アルギン酸量,細胞壁構成物質量,アルギン酸の吸水率,細胞壁構成物質の吸水率との相関を調べたところ,アルギン酸と細胞壁構成物質の合計量との間で最も高かった(r=0.77)。また,洗浄歩留まりと調味歩留まりとの間には高い相関が認められた(r=0.89)。
アミノ酸含量は,昆布の種類による差が大きく,特に外国産のマコンブに多く含まれていた。アミノ酸の種類ではグルタミン酸が最も多く,次いで,アスパラギン酸が多く含まれていた。

論文のダウンロード (PDFファイル)(1.32MB)

【報文】市販品と同じ条件で冷蔵したカキむき身の核酸関連物質および有機酸の変化

著者:谷本昌太,青山康司,岡崎尚

流通中におけるむき身および閉殻筋の核酸関連物質と有機酸の変化を調べるためにカキのむき身をカキと同重量の海水中に3℃で10日間冷蔵した。

  1. むき身の核酸関連物質の総量およびAMPは,貯蔵中にほとんど変化せず,ADPおよびATPは急速に減少した。
  2. 閉殻筋中の核酸関連物質の総量,ADP,AMP,IMPは,貯蔵1日間で急激に減少し,その後もゆっくりと貯蔵中に減少した。
  3. むき身のコハク酸は貯蔵中に増加し,むき身および閉殻筋の酢酸は貯蔵4日目から急激に増加した。
  4. むき身のA.E.C.値は貯蔵中に直線的に減少した。一方,むき身のK値,K’値および閉殻筋のK値,K’値,A.E.C値は,いずれも貯蔵中に特徴的な変化を示さなかった。
  5. 以上の結果から,むき身のA.E.C.値,コハク酸,酢酸また閉殻筋の酢酸は,カキむき身の鮮度指標として有用であることが明らかになった。

論文のダウンロード (PDFファイル)(1.28MB)

【報文】カプロン酸エチル高生成酵母の開発

著者:大土井律之,松本英之,藤井一嘉,谷本昌太,末成和夫

県内酒造会社の市販吟醸酒の品質向上を目的として,吟醸酒の香気成分の大部分を生成する酵母の育種を行った。香りの主要成分の一つであるカプロン酸エチルを高生成する酵母の育種を試み,実用規模でカプロン酸エチル10ppm以上の華やかな香りを特徴とする吟醸酒を製造することが可能な「広島吟醸酵母(13BY)」を開発した。
なお,この分離については,月桂冠株式会社が所有する特許発明の実施に関する契約を結んでいる。

論文のダウンロード (PDFファイル)(770KB)

【報文】カタクチイワシ変敗菌の圧力発育抑制

著者:青山康司,重田有仁,岡崎尚,鈴木寛一

  1. カタクチイワシを50℃・常圧保存下で変敗させ,変敗原因菌を4株分離した。
  2. 分離された菌はいずれもグラム陽性の偏性嫌気性有芽胞菌であった。
  3. 4株の胞子を分離後,栄養培地中で圧力発育抑制試験を行った。その結果,40MPaでは発育したが,50MPaでは発育が抑制され,しかも生菌数が大幅に減少した。
  4. ミンチにしたカタクチイワシに4株の変敗原因菌を添加し,50℃・50MPa・48時間加圧処理を行った結果,いずれの試料も腐敗せず,白己消化された。このことから,カタクチイワシ中では50MPaで発育が抑制されることが分かった。

論文のダウンロード (PDFファイル)(875KB)

【研究ノート】カキの閉殻筋の弛緩に及ぼす超音波照射の影響

著者:谷本昌太,米田達雄,中村文唯

カキ打ち作業を省力化する目的でカキに超音波を照射し,カキ閉殻筋の弛緩に及ぼす照射時間および周波数の影響を調べた。

  1. 28.0kHzの超音波の2,3.5,5および10分間の照射は,全てにおいてカキの閉殻筋の弛緩を促した。その照射時間の中で2分が最も高い開殻率を示した。
  2. 19.5,28.0および600kHzの周波数で2分間の超音波照射は,カキの閉殻筋の弛緩を促した。19.5kHzおよび28.0kHzの低周波は600kHzの高周波に比べて高い開殼率を示した。
  3. 以上の結果から,超音波をカキに照射し,閉殻筋の弛緩を促すことで,簡単に貝桂の切断ができ,カキ打ち作業の低減化が可能となると考えられた。

論文のダウンロード (PDFファイル)(575KB)

【研究ノート】圧力酵素分解技術に利用する原料魚の氷蔵期間と分解液の品質との関係

著者:岡崎尚,重田有仁,青山康司,松井利郎,難波憲二

圧力分解に用いる原科適正を検討するために,新鮮なカタクチイワシを用いて氷蔵期間を調べた。

  1. 氷蔵中の原料の一般生菌数および低温性細菌数は,それぞれ3日目以降と4日目以降に増加した。
  2. 分解液の窒素濃度およびBrixは,原料の氷蔵期間が長くなるに従ってわずかに低下する傾向が見られたが,分解液の回収率は原料の氷蔵期間に影響されなかった。

論文のダウンロード (PDFファイル)(630KB)

【研究ノート】市販酵素製剤によるマイワシ圧力酵素分解の促進

著者:重田有仁,青山康司,岡崎尚,松井利郎,難波憲二

マイワシを用いた圧力酵素分解技術の実用化を目的とし,市販酵素製剤の添加による分解時間の短縮化について検討した。7種類の中性プロテアーゼを用いて実験を行った結果,オリエンターゼONSに最も高い窒素回収率(%)の改善効果が認められた。酵素無添加の場合,4時間では殆ど分解することができなかったが,添加酵素をオリエンターゼONS,添加量を0.5%(w/w)とすることでカタクチイワシを用いた場合とほぼ同等の濃度の分解液を24時間で得ることができた。

論文のダウンロード (PDFファイル)(1.03MB)

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