揚げかまぼこのガス置換包装
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Q 揚げかまぼこの保存性をよくしたいのですが、ガス置換包装や脱酸素剤の利用方法と効果を教えてください。
A 通常の含空気包装の主なガス組成は、窒素78.09%、酸素20.95%、アルゴン0.93%、炭素ガス0.03%であり、この中で約1/5を占める酸素が食品の変敗と変質(酸化)を早めます。ガス置換包装は、窒素ガス(N2)、炭酸ガス(CO2)または両者の混合ガスを空気と置換する包装であって、残存酸素量は通常0.5~1.0%です。また、脱酸素剤の場合は、それを食品とともに密封包装するだけでよく、残存酸素量は1日で0.1%以下になります。
このような嫌気的包装(酸素をできるだけ除去する包装)の防腐効果は、残存酸素量、封入ガス、汚染微生物及び包装材の種類によって変わります。
揚げかまぼこについては、脱酸素剤がカビに対して有効です。しかし、酸素量の低減によりネト(細菌の増殖によりかまぼこ表面に生じる粘性物質)の発生が抑制できるとは限りません。ネトには好気性菌(酸素がないと発育しない)によるものと、嫌気性菌(酸素がなくても発育する)によるものがあるためです。したがって、嫌気的包装をする場合、嫌気性菌によるネトの発生をいかに抑制するかがポイントになります。
以下に、このことについて述べます。
- N2置換包装
ネトの発生を抑制する効果はほとんどありません。 - CO2置換包装
CO2の細菌の代謝系を阻害する作用が加わるので、ネトの発生はかなり抑制される傾向にあります。なお、ガス透過率の極めて小さい包装材を使わないと、C02が抜け出して脱気状態になります。 - 脱酸素剤充てん包装
残存酸素量が極めて少ないため、好気性菌によるネトの発生は抑制されます。 - 嫌気的包装の効果を高める方法
二次汚染の防止
包装後の加熱殺菌併用
残存酸素量をできるだけ低く保つこと
嫌気性菌の生育を助長する糖類を添加しないこと
日持ち向上剤等の有効利用
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