魚肉ねり製品の水分活性
食品工業技術センター > 企業のためになるQ&A >魚肉ねり製品の水分活性
Q 魚肉ねり製品の保存基準の規定中に、水分活性0.94以下という事項がありますが、水分活性とはどういうもので、また、0.94以下にするにはどうすればよいのか教えてください。
水分活性(Aw)
食品は水分が多い程腐りやすいのですが、同じ水分含量であっても、食品の種類によって保存性にかなり差があります。これは、pH、保存料、殺菌状態、包装などの違いによるほか、可溶性成分の濃度による影響が考えられます。
たとえば、食塩、砂糖、ブドウ糖、アミノ酸などが多い場合、食品中の水の大部分がこれらの溶解のために費やされ、微生物の利用できる水が少なくなって充分に発育できなくなる、と考えれば理解しやすくなります。このような微生物が利用できる水の量を知るために、水分活性(Aw)という単位が用いられます。
食品のAwは、一般的には、その食品を密封容器に入れたときの内部空間の平衡湿度の1/100をもって表されます。普通の魚肉ねり製品のAwは0.95~0.98、干しえびで0.64、いか塩辛で0.80です。
微生物とAw
一般の微生物の増殖最適Awは大体0.990~0.999で、Awが低下するにつれて発育速度が遅くなりますが、発育可能なAwの範囲は微生物の種類によってかなり異なります。普通細菌0.90以上、普通酵母0.88以上、普通カビ0.80以上であり、0.60以下ではすべての微生物の繁殖が阻止されます。例えば、食中毒菌であるボツリヌス菌の場合、0.99で発育するには1日、0.95では2週間を要します。黄色ブドウ球菌の場合、0.87でも発育しますが、0.96以下では毒素が産出されません。また、サルモネラ菌は0.95ではほとんど発育しません。
水分活性を低くする方法
水分を減らすか、可溶性成分の濃度を高くすればAwは低下します。可溶性成分としては、食塩、ブドウ糖、グリンシンなどの各種塩類、糖類、アミノ酸があります。同じ量を加えるとすれば、分子量の小さい成分の方が有効です。しかし、水分活性を下げるためには、多くの食塩や糖を添加する必要があるので、食品の味に影響を与えずに0.94以下にすることは難しい面があります。
本情報の利用にあたっては、閲覧者の責任と判断において行って下さい。
本情報の利用により生じた損害については一切の責任を負いません。