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魚肉ねり製品の水分活性

印刷用ページを表示する掲載日2020年11月10日

食品工業技術センター > 企業のためになるQ&A >魚肉ねり製品の水分活性


Q 魚肉ねり製品の保存基準の規定中に,水分活性0.94以下という事項がありますが,水分活性とはどういうもので,また,0.94以下にするにはどうすればよいのか教えてください。

水分活性(Aw)

 食品は水分が多い程腐りやすいのですが,同じ水分含量であっても,食品の種類によって保存性にかなり差があります。これは,pH,保存料,殺菌状態,包装などの違いによるほか,可溶性成分の濃度による影響が考えられます。
 たとえば,食塩,砂糖,ブドウ糖,アミノ酸などが多い場合,食品中の水の大部分がこれらの溶解のために費やされ,微生物の利用できる水が少なくなって充分に発育できなくなる,と考えれば理解しやすくなります。このような微生物が利用できる水の量を知るために,水分活性(Aw)という単位が用いられます。
 食品のAwは,一般的には,その食品を密封容器に入れたときの内部空間の平衡湿度の1/100をもって表されます。普通の魚肉ねり製品のAwは0.95~0.98,干しえびで0.64,いか塩辛で0.80です。

微生物とAw

 一般の微生物の増殖最適Awは大体0.990~0.999で,Awが低下するにつれて発育速度が遅くなりますが,発育可能なAwの範囲は微生物の種類によってかなり異なります。普通細菌0.90以上,普通酵母0.88以上,普通カビ0.80以上であり,0.60以下ではすべての微生物の繁殖が阻止されます。例えば,食中毒菌であるボツリヌス菌の場合,0.99で発育するには1日,0.95では2週間を要します。黄色ブドウ球菌の場合,0.87でも発育しますが,0.96以下では毒素が産出されません。また,サルモネラ菌は0.95ではほとんど発育しません。

水分活性を低くする方法

 水分を減らすか,可溶性成分の濃度を高くすればAwは低下します。可溶性成分としては,食塩,ブドウ糖,グリンシンなどの各種塩類,糖類,アミノ酸があります。同じ量を加えるとすれば,分子量の小さい成分の方が有効です。しかし,水分活性を下げるためには,多くの食塩や糖を添加する必要があるので,食品の味に影響を与えずに0.94以下にすることは難しい面があります。


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