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魚肉ねり製品の水分活性

印刷用ページを表示する掲載日2025年2月7日

食品工業技術センター > 企業のためになるQ&A >魚肉ねり製品の水分活性


Q 魚肉ねり製品の保存基準の規定中に、水分活性0.94以下という事項がありますが、水分活性とはどういうもので、また、0.94以下にするにはどうすればよいのか教えてください。

水分活性(Aw)

 食品は水分が多い程腐りやすいのですが、同じ水分含量であっても、食品の種類によって保存性にかなり差があります。これは、pH、保存料、殺菌状態、包装などの違いによるほか、可溶性成分の濃度による影響が考えられます。
 たとえば、食塩、砂糖、ブドウ糖、アミノ酸などが多い場合、食品中の水の大部分がこれらの溶解のために費やされ、微生物の利用できる水が少なくなって充分に発育できなくなる、と考えれば理解しやすくなります。このような微生物が利用できる水の量を知るために、水分活性(Aw)という単位が用いられます。
 食品のAwは、一般的には、その食品を密封容器に入れたときの内部空間の平衡湿度の1/100をもって表されます。普通の魚肉ねり製品のAwは0.95~0.98、干しえびで0.64、いか塩辛で0.80です。

微生物とAw

 一般の微生物の増殖最適Awは大体0.990~0.999で、Awが低下するにつれて発育速度が遅くなりますが、発育可能なAwの範囲は微生物の種類によってかなり異なります。普通細菌0.90以上、普通酵母0.88以上、普通カビ0.80以上であり、0.60以下ではすべての微生物の繁殖が阻止されます。例えば、食中毒菌であるボツリヌス菌の場合、0.99で発育するには1日、0.95では2週間を要します。黄色ブドウ球菌の場合、0.87でも発育しますが、0.96以下では毒素が産出されません。また、サルモネラ菌は0.95ではほとんど発育しません。

水分活性を低くする方法

 水分を減らすか、可溶性成分の濃度を高くすればAwは低下します。可溶性成分としては、食塩、ブドウ糖、グリンシンなどの各種塩類、糖類、アミノ酸があります。同じ量を加えるとすれば、分子量の小さい成分の方が有効です。しかし、水分活性を下げるためには、多くの食塩や糖を添加する必要があるので、食品の味に影響を与えずに0.94以下にすることは難しい面があります。


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