煮詰めた砂糖にレモン果汁を添加する時の注意点
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Q 砂糖にレモン果汁を混ぜて煮詰めたら固まりません。どうすれば固まるようになるか教えてください。
A 菓子製造において、飴等を製造する時に、砂糖を冷水に溶かして煮詰める工程があります。このとき、水と同時にレモンを混ぜて煮詰めていくと、レモンに含まれるクエン酸と加熱の影響で砂糖の主成分であるショ糖が加水分解され、ブドウ糖と果糖ができます。分解によって生成した果糖は、ショ糖の結晶化を阻害するため、レモンを投入した砂糖は煮詰めても固まらなくなります。
そこで、うまく固まるようにするためには、酸または加熱の影響を除いて、ショ糖の分解を抑える必要があります。例えばレモン飴の製造では、レモンの代わりにクエン酸(粉末)と香料を使用しますが、これらは煮詰めの後に冷却しながら添加します。このとき、熱はそれほど加わりませんので、ショ糖の加水分解はほとんど起こりません。
一方、煮詰め後に糖蜜(砂糖を煮詰めたもの)が固まらないよう高温に保つ必要がある場合に、煮詰めの最後にクエン酸と香料を入れると熱によりショ糖は徐々に分解してしまいます。解決法としてはpHを上げて、仕上がり段階でレモン果汁を加える方法がありますが、仕上がりの糖度は、果汁の添加により低下するので、予めそれを予測して糖蜜の糖度を上げておく必要があります。この方法でショ糖の分解はかなり抑えられますが、レモンや糖の種類等で状態が変わることがあるので、その都度調整が必要となります。また、pHを上げ過ぎると味が悪くなることや酸味が弱くなることがあるので注意が必要です。
レモンを使用した商品は常温で保存しておくと香りは変化します。長期の保存については別途検討が必要です。
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