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8-12 会社を辞めたいのに辞めさせてくれない|労働相談Q&A

印刷用ページを表示する掲載日2018年7月31日

労働相談Q&A

8-12 会社を辞めたいのに辞めさせてくれない

質問

今,勤めている会社の勤務条件に不満があるため,先日,会社に退職願を提出しました。しかし,会社側は,「今は忙しい時期でもあるし,辞めてもらっては困る。」と言って,受け取りを拒否されました。いやいやでも,勤め続けなければならないのでしょうか。

回答

<ポイント!>
1. 労働者には,原則として退職の自由があります。
2. 期間の定めのある労働契約かどうかによって,結論が異なります。
 
退職するには,会社の承認までは必要でない。
労働契約に期間の定めのない場合,労働者が自分の意思によって会社を辞めることは,基本的には自由にできます。
民法の規定によると,労働者が退職を申し出た場合には,会社の承認や同意がなくても,原則として,2週間後に退職の効果が生じます(民法第627条第1項)。つまり,退職する場合には,2週間の予告期間を置くことが求められます。 
もっとも,就業規則等で2週間より短い予告期間が定められているときは,その期間を置くことで足ります。逆に,2週間より長い予告期間(1か月,2か月など)が定められていても,その規定は無効であり,2週間の予告でよいことになります。
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有期契約の場合
労働契約に期間の定めがある場合は,原則として,その期間の途中で退職することはできません。ただし,やむを得ない理由があるときは,ただちに労働契約の解約をすることが認められていますが,退職事由が労働者の過失によって生じた場合は,使用者から損害賠償を請求される可能性があります(民法第628条)。
「やむを得ない理由」かどうかは,様々な事情を総合的に判断することになりますが,回復に長期間を要する病気,パートタイム労働者で配偶者が遠方に転勤することになった場合などは,その典型例と言えるでしょう。
 
こんな対応を!
1. 自分の労働契約が期間の定めがあるものかどうか
2. 退職の手続について,就業規則にはどう定められているか
を確認した上で,改めて会社に退職を申し出てください。この場合,人事権を有する人(社長や人事部長など)に申し出を行うのがよいでしょう。
話し合いで円満に退社するのが望ましいのですが,現実には,「後任が見つかるまでは退職届は受け取れない」とか,「預かっておくから,その間に考え直してくれ。」と言われることもあります。会社側が,がんとして受理しない場合は,内容証明郵便で退職届を郵送する方法もありますが,受け取った側は,「一方的に送りつけられた。」と思い,感情的対立が深まり,退職金不払いなどの新たな問題に繋がる可能性もありますので,相手の態度が不誠実で,どうにもならないときの,いわば「最後の」手段と考えた方が良いでしょう。
 
更に詳しく
月給制の場合の退職予告
欠勤しても賃金がカットされないなど,真正の月給制の場合には,退職は翌月以降に限って認められ,しかも当月の前半に予告をしなければならないことになっています(民法第627条第2項)。
 
使用者の承認がある場合
民法に定める2週間の期間を経過しない場合でも,使用者側が退職願を受理するなどして退職を認めた場合には,退職は可能です。
また,期間の定めのある場合で,かつ,やむをえない事情がないときであっても,使用者側が退職を認めた場合は,当然,その時点で退職できます。