6-6 産休を申し出たら,辞めろと言われた|労働相談Q&A
6-6 産休を申し出たら,辞めろと言われた
質問
私は,現在,妊娠しています。予定日があと1か月と迫ってきたために,社長に産休を申し入れたところ,「こんな忙しい時期に休むのなら,辞めてもらうことになる。」と言われました。このまま会社を辞めざるを得ないのでしょうか。
回答
<ポイント!>
- 休業の請求を行った産前6週間以内の女性及び産後8週間以内の女性を就業させることはできません。
- 妊娠,出産,産前・産後休業の取得を理由とする解雇は,法律で禁止されています。
産前・産後の休業
労働基準法では,産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内の女性が休業を請求した場合には,使用者は,その労働者を就業させてはならないと定めています(第65条第1項)。
また,産後8週間を経過していない女性については,本人の請求の有無にかかわらず,原則として就業させてはいけません。ただし,産後6週間を経過した者から請求があった場合には,医師が支障がないと認めた業務に就かせることは可能です(同条第2項)。
更に,産前・産後の休業期間及びその後の30日間は,その労働者を解雇することが禁止されています(第19条)し,妊娠,出産,産前・産後休業の取得などを理由として解雇することはもちろん,解雇以外の不利益な取扱いもすることができません(男女雇用機会均等法第9条第3項)。
また,妊産婦の解雇は,使用者が妊娠・出産等を理由とする解雇でないことを証明しない限り,無効となります(同条第4項)。
産前・産後休業中の賃金
産前・産後の休業中の賃金については,法律には規定されていませんので,就業規則や労働協約の定めるところによりますが,健康保険によって,出産日(出産が予定日より遅れた場合は予定日)以前42日から出産日後56日までの期間で就労しなかった日数について,1日につき標準報酬日額の3分の2の出産手当金が支給されます。
妊産婦等への配慮
妊娠中の女性が請求した場合は,使用者は,他の軽易な業務に転換させなければなりません(労基法第65条第3項)。
また,妊産婦(妊娠中及び産後1年を経過しない女性)を重量物取扱業務,有害ガス発散場所での業務など,危険有害業務に就かせることは禁止されており(第64条の3),妊産婦の請求があった場合には,時間外労働や休日労働,深夜業をさせてはなりません(第66条)。
更に,事業主は,妊娠中及び出産後の女性が母子保健の指導や健康診査に必要な時間を確保できるようにしなければならず(男女雇用機会均等法第12条),そこでの指導事項を守ることができるように,勤務時間の変更,勤務の軽減等必要な措置を講じなければなりません(第13条)。
こんな対応を!
以上のように,産前・産後休業の取得は,労働基準法によって保障されており,産前・産後休業の取得を理由として解雇することは許されません。
その趣旨を社長に話し,再度,休業を申し入れましょう。話し合っても聞き入れてくれない場合は,労働局の雇用環境・均等室や労働基準監督署に相談しましょう。