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5-5 18歳未満の労働者に残業を命じてはいけないのか|労働相談Q&A

印刷用ページを表示する掲載日2018年7月31日

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5-5 18歳未満の労働者に残業を命じてはいけないのか

質問

私は,ある機械部品の製造工場に勤めている16歳の者です。採用されるときには,「残業はない。」と言われていたのですが,最近になって仕事が忙しくなり,残業を命じられるようになりました。友達に聞くと,18歳未満の労働者に残業をさせることはできないという規定があるとのことですが,本当でしょうか。

回答

<ポイント!>

18歳未満の者に時間外労働を命じることは,原則として認められていません。

最低年齢

使用者は,満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの児童(以下「15歳年度未終了児」といいます。)を使用してはなりません。
ただし,満13歳以上の児童については,修学時間外に限り,労働基準監督署の許可を受けた上で,児童の健康・福祉に有害でなく,労働が軽易な「非工業的事業」(労働基準法別表第1第1号から第5号までに掲げる事業以外)に使用することができます。
また,映画の製作や演劇の事業については,同様の条件を満たす場合には,13歳未満の児童を雇うことができます。(労基法第56条)

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証明書の備え付け

使用者は,18歳未満の者(総称して,労基法は「年少者」と呼んでいます。)を使用する場合は,年齢を証明する戸籍証明書を,15歳年度未終了児を使用する場合は,加えて,修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書と親権者又は後見人の同意書を,それぞれ事業場に備え付けなければなりません。(労基法第57条)

労働時間・休日

18歳未満の者については,時間外及び休日の労働は,原則として認められていません。すなわち,満15歳に達した日以降の最初の3月31日が終了した者であって満18歳未満の者(以下,「満15歳年度終了児」と言います。)については,1日について8時間,1週間について40時間を超えて労働させることはできません。
また,満15歳年度未終了児については,1日について修学時間を通算して7時間,1週間について修学時間を通算して40時間を超えてはなりません(労基法第60条)。
ただし,18歳未満の者についても,非常時の時間外・休日労働(例えば,台風接近に備えて待機するなど)は認められており(労基法第33条第1項),また,満15歳年度終了児については,18歳以上の労働者の場合より厳しい条件がついていますが,変形労働時間制を適用することは認められています(労基法第60条第3項)。

深夜労働

交替制によって使用する満16歳以上の男性を除き,18歳未満の者を午後10時から(満15歳年度未終了児にあっては午後8時から)午前5時までの深夜に使用してはなりません。(労基法第60条,第61条)
なお,交替制によって労働させる事業については,労働基準監督署の許可を受けた上で,午後10時30分まで労働させることができますが,この場合には,所定の深夜割増賃金を支払う必要があります(労基法第37条)。

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危険有害業務等の制限

18歳未満の者を,坑内労働や,危険な業務,重量物・毒劇物等を取り扱う業務,有害ガス等を発散する場所や高温・高圧の場所における業務等,安全・衛生・福祉に有害な場所における業務に就かせてはなりません。(労基法第62条,第63条)

親権者等との関係

親権者や後見人であっても,未成年者に代わって労働契約を締結することはできません(労基法第58条第1項)。ただ,未成年者が労働契約を結び職業に就くためには,親権者や後見人の同意・許可が必要です(民法第5条第1項,第823条第1項)。
また,親権者や後見人が未成年者の賃金を代わって受領することはできません。未成年者は,賃金の請求を独立して行うことができます(労基法第59条)。
なお,親権者や後見人,労働基準監督署は,労働契約が未成年者に不利であると認める場合には,その契約を解除することができます(労基法第58条第2項)。

こんな対応を!

いわゆる三六協定が締結されている場合でも,18歳未満の労働者に1日8時間・週40時間を超えて労働をさせることは許されません。会社側に,今後は時間外労働を命じないように申し入れましょう。